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5.陸へ進出

まあ身体の半分が魚の人魚さんだって陸上に上がれる(創作の中では)訳でして、それなら9割以上人間である魚人族の私が水中じゃなくても呼吸できることは、よくよく考えると大して変なことではなかった。

と、私は思ったんだけど⋯⋯



「スイウ、大丈夫なの⋯⋯?苦しくない⋯⋯?」


「姫、ひとまず落ち着いてください。スイウだって魚じゃ無いんですから」


「でも、でも⋯⋯気付いたら干物になっちゃってるかも⋯⋯」



王女様は私の事が心配なようで、おろおろとまだフレンチトーストを食べている私を触っている。というか干物は嫌だな⋯⋯ならないよね?

もしかしたら転生者だから呼吸できてる可能性もあるのかな。そしたら本当に気付いたら干物になってる⋯⋯?

まあ、1回死んでるしその時はその時⋯⋯いや、やっぱり嫌だ。今回は長生きしたいなぁ。



「はあ、姫は心配性なんですから。そこが良いところでもあるんですけどね⋯⋯テル、ジア」


『はーい』



メイドさんに言われて、テルとジアが両側から王女様に抱きついた。



「姫様、姫様」


「遊ぼー?」


「え、でも⋯⋯」


「たぶん、だいじょうぶ」


「あっちいこー」



それから2人は尻尾をそれぞれ抱きついている腕に絡ませた。私から見てても、とても愛らしい。

そうして王女様は少し抵抗は見せたものの、テルとジアによって別室に連れていかれた。実に鮮やかだった。



「⋯⋯えーっと、王女様放っておいていいんですか?」


「ああでもしないと話が進まなそうだったので」


「あ、そうですか」



以外と王女様はぞんざいな扱いを受けていた。まあ親しまれているとも言うか。



「改めまして、私は姫の侍女であるハイネ・ミラーです。それでスイウ、水槽から出ることは出来ますか?」



メイドさん改めハイネさんは少し首を傾けて私に尋ねた。



「なんか出来そうな気はしますけど⋯⋯どうしてですか?」


「とりあえずお風呂に入って欲しいのです。その、今まで奴隷市場に居たので」


「⋯⋯あー」



そういえば確かに攫われた時から身体は洗っていなかった。

けど、水の中にいるから汗とかそういう汚れは問題無かったんだよね。そもそも魚って汗かかないし。⋯⋯あれ、そういえば私はどうなってるんだ?哺乳類なの?魚類なの?



まあそれはともかく、お風呂には入りたいかな。竜宮城にはお風呂なんて無くて、なんか硬い海藻で身体ごしごし洗うだけだったから。



私はとりあえず懸垂の要領で自分の身体を持ち上げて水槽の外に出ようとしてみる。が、中々持ち上がらない。この身体、あまりに非力すぎる。



「あの、すみません、助けてください⋯⋯」



ハイネさんに恥を忍んで助けを乞うと、慣れた手つきで私の脇下に手を入れて持ち上げ、そのまま真っ白なバスタオルで包んでくれた。

⋯⋯って、身体重っ!



水から出たせいで浮力が消え、素の自重が一気に襲いかかってくる。

先程まで身体を持ち上げられなかったのはこういうわけだった。

これが陸にあげられた魚の気分⋯⋯?



「はい、浴場に行きますね」


「あ、ちょ、まっ」



と、私は為す術なく浴場へと輸出されたのだった。

重力、あなたって強いのね⋯⋯



重力云々の辺りは想像で書いていくので、変だったらすみません⋯⋯

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