3.冒険者試験①--〔試験開始前〕
第6話を開いていただき、ありがとうございます。水月です。
引き続き、2日に1シーンのペースで更新していく予定です。
それでは、本日のシーンもどうぞお楽しみください!
待合室で長く待つことはなかった。
その短い時間の中でも、テンマの胸から、街へ入った高揚感と酒場で感じた緊張は消えなかった。
「受験者の皆さん、試験会場へ案内します。」
受付係の声に導かれ、一行は酒場を後にした。
街を抜け、森の中を数十分歩く。
木々の隙間から差し込む陽射しも次第に薄れ、やがて一つの洞窟が姿を現した。
洞窟の入口には、すでに数十人の受験者が集まっていた。
岩肌には等間隔に松明が掲げられ、暗い洞窟の奥へと細い光が続いている。
見渡せば、受験者のほとんどは男性だった。
女性の姿もあるが、その数は少ない。
魔物を相手にする冒険者は、危険と隣り合わせの仕事だ。
力仕事も多いことを考えれば、この光景も不思議ではなかった。
やがて、洞窟の前に立っていた試験官が一歩前へ出る。
「それでは、試験内容を説明する。」
その一言で、ざわついていた受験者たちが静まり返った。
「この洞窟の最深部には、合格証が人数分置かれている。持ち帰った者から合格だ。」
「協力するも、一人で挑むも自由。ただし、それも冒険者としての自己責任になる。」
試験官は一度受験者たちを見回した。
「その前に聞こう。この中で、戦理や闘式を知っている者はいるか?」
一瞬、静寂が流れる。
「知らない者もいるかもしれないな。」
「戦理も闘式も、冒険者なら知っていて当然の知識だ。知らない者は、この機会に名前だけでも覚えておけ。」
戦理。
闘式。
どちらも初めて聞く言葉だった。
その後も、試験官から戦理と闘式についての説明が続いた。
簡単に言えば、戦い方の考え方を戦理、武器ごとの技術体系を闘式というらしい。
詳しいことまでは分からなかった。
それでも、冒険者なら誰もが知っている常識なのだということだけは伝わってきた。
試験官は少し間を置き、付け加えるように口を開いた。
「あとな、洞窟には魔物だけじゃない。罠が仕掛けられていることもある。」
「例えば転移罠。踏めば別の場所へ飛ばされる。」
「まぁ、この洞窟に転移罠は置いてないがな。」
「だから安心しろ……とは言わん。知らない罠に出会った時、慌てないために覚えておけ。」
冒険者は剣の腕だけでは生き残れない。
戦い方を知ることも、生き残るための技を知ることも、同じくらい重要なのだという。
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