1.やり直し?①--〔いつもの風景?〕
引き続き読んでいただき、ありがとうございます!水月です。
第二章の開始です。
じっくり読み進める形式の小説のため、少しずつ物語が動き始めます。
その為、ゆったり楽しんでいただけましたら嬉しいです。
それでは、本日のシーンもどうぞお楽しみください!
全身がじっとりと汗ばんでいた。
荒い息が喉を震わせ、早鐘のような鼓動が胸を打つ。
……嫌な夢を見た。
そう思った瞬間、違うと気づく。
夢にしては、生々しすぎた。
何があったのかは思い出せない。
ただ、胸の奥に重く沈んだ気分の悪さと、理由の分からない寂しさだけが残っている。
――何を、失ったんだ?
目を閉じる。
闇の中に、ぼんやりと光景が浮かび上がった。
神秘的な洞窟。
青白く輝く水晶のような鉱石。
そして、その光を映すように身体を揺らす褐色のブロブ。
『……ブロ……あ……』
次の瞬間、途切れていた点と点が線で結ばれる。
散らばっていた記憶が、一気に繋がった。
洞窟。
ブロブ。
迫る身体。
包み込まれる感触。
「……そうだ」
テンマの顔から血の気が引いた。
「俺は……食われたんだ!」
弾かれたように上半身を起こす。
テンマは荒い呼吸を繰り返しながら、ゆっくりと息を整えた。
冷え切っていたはずの身体に、少しずつ熱が戻っていく。
……温かい。
身体を包んでいたのは、柔らかな布団だった。
窓から差し込む朝日はまだ淡く、木々の隙間を抜けた木漏れ日が部屋の床を優しく照らしている。
窓の外からは、小鳥たちの穏やかなさえずりが聞こえてきた。
さっきまで胸を締め付けていた恐怖とは、あまりにもかけ離れた、いつもの朝。
テンマはゆっくりと身体を起こし、部屋を見回す。
使い込まれた机。
窓辺に置かれた小さな木彫り。
見覚えのある景色ばかりだった。
恐る恐る左腕へ視線を落とす。
手首には細い傷跡が残っている。
そのすぐ隣には、覚えのない茶色いブレスレットが巻かれていた。
「……過去?」
思わず浮かんだ考えを、テンマはすぐに打ち消す。
「いや……違う」
「じゃあ、俺は助かったのか?」
だが、その考えも長くは続かなかった。
「あの時、俺は確かに……」
最後に思い出すのは、ブロブに包み込まれた感触。
「……どういうことだ」
ガチャ。
「お兄ちゃん、まだ寝てるの?」
扉が開くと同時に、廊下からひんやりとした朝の空気が部屋へ流れ込んできた。
布団の中の温もりが、少しだけ遠ざかる。
それでも、不思議と寒くはなかった。
振り向いた先には、小さな少女が立っていた。
まだ幼さの残る、小さな妹。
「……リディア?」
思わず漏れた声に、リディアはきょとんと首を傾げる。
「どうしたのお兄ちゃん?」
返事ができない。
目の前の光景を受け入れようとするほど、頭の中は混乱していく。
――落ち着け。
食われた。
目が覚めた。
目の前には、リディア。
つまり――
「お兄ちゃん?」
リディアの声に、考えはそこで途切れた。
心配そうに一歩近づいたリディアは、テンマの顔を覗き込む。
「顔、真っ青だよ?」
テンマは小さく息を吐いた。
「……いや、大丈夫だ。」
その一言を聞くと、リディアは「あっ」と声を上げ、得意げに笑う。
「分かった!」
「お化けの夢でも見たんでしょ?」
「だからそんな顔してたんだ!」
悪戯が当たった子どものように笑うリディアを見て、テンマの肩から少しだけ力が抜ける。
「よかったぁ。いつものお兄ちゃんだ。」
そう言って、にっこりと笑った。
「ほら、お母さんが朝ご飯できたって。」
「早く来ないと冷めちゃうよ?」
それだけ言うと、リディアは軽い足取りで部屋を出ていった。
開いたままの扉から、朝の涼しい空気が静かに流れ込んでくる。
テンマは閉まりかけた扉を見つめ、小さく息を吐く。
考えるのは後だ。
まずは、この目で確かめよう。
「……行くか。」
テンマはそう小さく呟くと、ゆっくりと布団から足を下ろした。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
AIを無料のものを使っている為、更新が遅くなりそうです。
できるだけ早く投稿しますのでお待ちください。
次回は、16日に投稿します。
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