1.やり直し?②--〔思い出す〕
引き続き読んでいただき、ありがとうございます!水月です。
第二章の開始です。
じっくり読み進める形式の小説のため、少しずつ物語が動き始めます。
その為、ゆったり楽しんでいただけましたら嬉しいです。
それでは、本日のシーンもどうぞお楽しみください!
部屋を出ると、廊下はまだ朝の静けさに包まれていた。
一段、一段、階段を下りる。
その足が、不意に止まった。
壁際に立て掛けられた、一振りの剣と一枚の盾。
父の剣。
父の盾。
見慣れているはずのその姿に、言いようのない違和感を覚える。
傷が、ない。
幾度となく研がれた刃は、まだ新品の輝きを残している。
あの深い裂傷が刻まれていたはずの盾も、滑らかなままだった。
「――っ」
思わず、盾へ手を伸ばす。
父さんは、まだ――
「テンマ? 起きたの?」
不意に聞こえた母の声に、伸ばしかけた手が止まる。
台所から聞こえてくる、聞き慣れた優しい声。
「!!……」
テンマは伸ばしかけた手を、ゆっくりと下ろした。
胸の奥で何かが込み上げる。
それを押し込めるように、小さく息を吐く。
台所から聞こえてきた声に導かれるように、歩みを進めた。
部屋へ入ると、朝食の湯気が柔らかく立ち上っていた。
温かな香りが部屋いっぱいに広がり、窓から差し込む朝の光が食卓を優しく照らしている。
その中心には、いつもと変わらない服装で朝食の支度をする母の姿があった。
「おはよう。やっと起きたのね。」
その何気ない一言に、テンマの足が止まる。
ふと、あの朝を思い出す。
まだ日も昇りきらない、冷たい朝。
誰も起こさないよう静かに家を出た。
すぐに戻るつもりだった。
だから――
「行ってきます。」
その一言を、言わなかった。
胸の奥が締め付けられる。
目の前にいる母は、あの日と何一つ変わらない笑顔でこちらを見ていた。
「どうしたの?」
その声を聞いた瞬間、堪えていたものが溢れた。
気づけば、体が動いていた。
テンマは母へ駆け寄り、そのまま強く抱きつく。
「テ、テンマ!?」
驚いた声が耳に届く。
それでも腕を緩めることはできなかった。
「……あの時は、ごめん。」
かすれた声で、それだけを絞り出す。
母はきょとんとした表情で瞬きを繰り返した。
「えっ?」
「どうしたの、急に。」
少し困ったように笑いながら、テンマの頭へそっと手を置く。
「変な子ね。」
その温かな手のひらに触れた瞬間、テンマは静かに目を閉じた。
「そうだ。」
母は何かを思い出したように顔を上げる。
「今日は少し遅くなるって、お父さんが言ってたわ。」
……少し遅くなる。
その言葉が胸に引っ掛かった。
どこかで聞いた。
いや――
聞いたことがある。
その瞬間、全身を冷たいものが駆け抜けた。
――今日は、いつだ?
テンマは勢いよく母を見る。
「どうしたの?」
「今日……今日は何日?」
母は不思議そうに首を傾げながら答えた。
「今日は、五月十四日だけど?」
――そうだ。
この日だ。
このあと父さんは亜竜に……。
「テンマ?」
心配そうに呼ぶ母の声が耳に届く。
まだ、間に合う。
テンマは拳を強く握り締めた。
今度こそ、父さんを助ける。
最後まで読んでいただき、ありがとうございます!
AIを無料のものを使っている為、更新が遅くなりそう× 遅くなります〇。
(いずれ有料をつかいたいです…)
できるだけ早く投稿しますのでお待ちください。
次回は、18日に投稿します。
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