6.奥にあるモノ⑧--〔終わり、そして…〕
第25話を開いていただき、ありがとうございます!水月です。
マイペースではありますが、しっかり物語を届けていきます。
5つのゲームから影響を受けている部分もありますので、「ここはあのゲームかな?」などと予想しながら観ていくのも楽しいかもしれません。
それでは、本日のシーンもどうぞお楽しみください!
やがて、テンマは壁へ手をついた。
「……っ」
急に息が苦しい。
胸の奥が焼けるように熱い。
「なん、だ……」
さっきまで歩けていたはずなのに。
力が入らない。
膝が笑う。
一歩踏み出しただけで身体が傾き、そのまま岩肌へ肩をぶつけた。
「ぐっ……」
額から汗が流れる。
視界が滲む。
袖で拭おうとする。
だが、腕は思うように動かなかった。
「疲れ……ただけ、だろ……」
そう言い聞かせる。
それでも身体はいうことを聞かなかった。
足がもつれ、その場へ膝をつく。
「ザイド……」
返事はない。
洞窟は静まり返ったままだ。
ぷる……。
小さな音が近付く。
足元の小さな魔物だった。
「……来るな」
掠れた声で呟く。
小さな魔物は止まらない。
ぷる。
ぷる……。
ゆっくりとテンマへ近付き、その左腕へ身体を寄せた。
「っ……」
傷口へ覆い被さるように、小さな身体が伸びる。
薄れていく意識の中で、テンマはその光景を見つめた。
――食われる。
やはり魔物だった。
助けたことも。
ついてきたことも。
全部――獲物を逃がさないためだったのか。
「……所詮、魔物……竜と一緒か」
力なく呟く。
その瞬間、不意に一つの声が頭へ浮かんだ。
『ちゃんと帰ってきてね』
リディアの声だった。
『だって、お兄ちゃん無茶するもん』
『今のお兄ちゃん、お父さんと同じ顔してる』
「……リディ、ア……」
帰る。
そう約束したはずだった。
伸ばしかけた手は、力なく地面へ落ちる。
意識が、ゆっくりと闇へ沈んでいった。
最後に感じたのは。
左腕を包み込む、小さく柔らかな温もりだけだった。
最後まで読んでいただき、本当にありがとうございます!
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