6.奥にあるモノ⑦--〔凶兆〕
第24話を開いていただき、ありがとうございます。水月です。
一日お休みを挟み、更新いたします。
それでは、本日のシーンもどうぞお楽しみください!
テンマは洞窟の奥へ向かって歩き続けた。
「ザイド!」
呼びかける声は、青白い光に照らされた洞窟へ静かに吸い込まれていく。
返事はない。
「……どこまで飛ばされたんだ」
小さく息をつき、再び歩き出す。
ぷる。
ぷる……。
後ろでは、小さな魔物が変わらず身体を弾ませていた。
その音も、いつしか聞き慣れたものになっていた。
しばらく歩いた、その時だった。
「……ん?」
ふと、足が重い。
思わず歩みを緩める。
先ほどの獣との戦いで、力を使い果たしたせいだろうか。
朝から鍛錬をして、試験を受け、洞窟を歩き続けている。
疲れが出ても不思議ではない。
「はぁ……」
息を吐く。
思っていたより呼吸が荒い。
額から流れた汗が目に入り、視界がわずかに滲んだ。
袖で乱暴に拭う。
「少し休めば治るか」
そう呟きながら、また一歩を踏み出した。
ぷる……。
小さな魔物が、そっとテンマの左側へ寄ってくる。
「ん?」
テンマが視線を向けると、小さな魔物は身体を寄せるようにぴたりと並んだ。
「……そんなに近いと歩きにくいぞ」
苦笑しながら軽く身体を離す。
小さな魔物は少し距離を取るものの、また同じように左側へ寄ってきた。
「まったく……変なやつだ」
テンマは小さく笑い、再び歩き始める。
その足取りは、気付かないうちに少しずつ重くなっていた。
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