5.水晶の領域①--〔青白い空間〕
第14話を開いていただき、ありがとうございます。水月です。
引き続き、しばらく短めの話が続くため、数話ずつ毎日更新いたします。
それでは、本日のシーンもどうぞお楽しみください!
テンマは歩みを止めることなく、洞窟のさらに奥へと進んでいった。
「ザイド!」
返事はない。
静まり返った通路へ、自分の声だけが虚しく吸い込まれていく。
(どこまで飛ばされたんだ……)
試験用の洞窟とは思えなかった。
先ほどまで見えていた褐色の水晶は、奥へ進むにつれて数を増していく。
その間に、青白く輝く水晶がぽつり、ぽつりと姿を見せ始めていた。
まるで夜空に星が増えていくように、淡い光が洞窟を少しずつ照らしていく。
足元へ落ちる影も、どこか柔らかくなっていた。
ポタ……。
水滴が静寂を揺らす。
コツ、コツ……。
テンマの足音が続く。
その少し後ろから、小さく身体を弾ませる音が重なった。
ぷる……。
振り返るまでもない。
あの小さな魔物が、まだついて来ているのだろう。
「……」
テンマは何も言わず、そのまま歩き続ける。
洞窟はさらに奥へ続いていた。
褐色だった光は、いつしか青白い輝きを増し始めている。
その淡い光を受け、小さな魔物の身体の奥でも、かすかな青白い光が揺らめいたように見えた。
(……光のせいか)
テンマは深く考えることなく、再び前だけを見据えて歩みを進めた。
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