5.水晶の領域②--〔静寂〕
第15話を開いていただき、ありがとうございます。水月です。
引き続き、2日に1シーンのペースで更新していく予定です。
それでは、本日のシーンもどうぞお楽しみください!
テンマは歩きながら、何度目か分からないほど辺りを見回した。
「……どこに行ったんだ」
小さく漏れた独り言は、青白い光に包まれた洞窟へ静かに溶けていく。
ザイドの姿は見当たらない。
試験はどうなったのか。
無事でいてくれればいい。
そんな思いとは裏腹に、洞窟の奥へ進むほど胸の焦りは少しずつ膨らんでいった。
それなのに――。
不思議と足を止めたくなるような静けさが、この場所にはあった。
青白い水晶はさらに数を増し、柔らかな光が岩肌を淡く照らしている。
足元に薄く溜まった水へ光が映り込み、ゆらゆらと揺れていた。
洞窟全体が、静かに呼吸をしているようにも見える。
ポタ……。
水滴が落ちる。
その音さえ心地よく感じるほど、胸のざわめきは少しずつ薄れていった。
「……なんだ?」
思わず足を止める。
初めて足を踏み入れたはずの場所。
それなのに――。
どこか懐かしい。
そんなはずはない。
この洞窟へ来たのは今日が初めてだ。
まして、この隠し通路など見たこともない。
「……気のせい、か」
自分へ言い聞かせるように小さく呟き、首を振る。
考えても答えは出ない。
テンマは再び前を向き、青白い光が続く洞窟の奥へと歩き始めた。
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