4.人跡未踏(じんせきみとう)の領域④--〔小さな同伴者〕
第13話を開いていただき、ありがとうございます。水月です。
次のシーンは一日お休みを挟み、再び毎日更新を予定しています。
それでは、本日のシーンもどうぞお楽しみください!
テンマは剣を鞘へ収め、再び歩き始めた。
ポタ……。
水滴が落ちる音。
コツ、コツ……。
足音だけが静かな通路へ響いていく。
しばらく歩いたところで、ふと違和感を覚えた。
背後を振り返る。
そこには、さっきの小さな魔物がいた。
褐色の身体をぷるりと揺らしながら、少し離れた場所でこちらを見上げるように止まっている。
「あっちへ行け」
テンマは手を振って追い払う。
小さな魔物は身体を揺らしただけで、動こうとはしない。
テンマは小さく息を吐き、再び歩き出した。
ポタ……。
コツ、コツ……。
ぷる。
コツ、コツ……。
ぷるぷる。
コツ、コツ……コツ……。
ぷる……ぷる。
テンマは足を止める。
ゆっくりと振り返った。
……まだいるのか?
小さな魔物は、先ほどと変わらない距離で、ぷるぷると身体を揺らしていた。
まるで、歩幅を合わせるように。
「あーっ!!」
思わず声が洞窟へ響く。
「なんなんだ、こいつ……!」
テンマは額へ手を当て、大きくため息をついた。
「……好きにしろ」
もちろん返事はない。
小さな魔物は、褐色の身体をぷるりと揺らしただけだった。
テンマは肩をすくめ、再び歩き始めた。
ポタ……。
コツ、コツ……。
少し遅れて、
ぷる……。
テンマは振り返らない。
コツ、コツ……。
ぷる、ぷる……。
もう追い払うこともしなかった。
ポタ……。
コツ、ぷる……。
コツ、ぷる……。
水滴の音だけが響く洞窟に、小さな足音が一つ増えた。
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