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第27話ずれていく

朝。


目が覚めた瞬間、なにかが引っかかった。


「……」


理由はわからない。


ただ、すぐに起き上がれなかった。


ぼんやりと天井を見る。


——静かすぎる。


「……こんなだっけ」


小さく呟く。

前からこうだった気もする。


でも、

少しだけ違う気もする。


ドアの前に立つ。


開けようとして、

一瞬、手が止まった。


「……」


違和感。


鍵。


——昨日、増えた。


そうだ。


「……」


ゆっくりとノブを回す。

開く。


でも、“前より重い気がする”。


ただそれだけのこと。


なのに、

妙に引っかかる。


廊下に出る。


静かだ。


音がしない。


人の気配もない。


「……シオン?」


呼んでみる。


返事はすぐに来た。


「いるよ」


遠くから。


いつも通りの声。

それだけで、少し安心する。


——でも。


(……どこから?)


位置が、よくわからない。


さっきまで近くにいた気がするのに。


「……」


小さく息を吐く。


考えすぎだと思うことにした。


昼。


リビングにいるのに、落ち着かない。


理由が、わからない。


「……」


視線を動かす。


壁。

棚。

窓。


——何かがおかしい。


「…ここって、こんなんだったっけ」


自分でも何を言ってるのかわからない。


そのとき。

ふと、目が止まる。


部屋の隅。

小さな違和感。


「……」


一歩、近づく。


「これ……」


指を伸ばす。


触れようとした、その瞬間——


突然寒気がした。


「……っ」


反射的に、手を止める。


触れたらいけない。


理由はわからないのに、


強く、そう思った。


「……なんで」


小さく呟く。


でも、体が動かない。


「疲れてるだけだよね…?」


気のせいだと思うことにした。


さっき見ていた場所には、

もう目も向けなかった。


そこにあった“違和感”も——

最初からなかったみたいに。


――第27話 終――


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