規格外のステータス
ようやく落ち着こうとした、その矢先。
けたたましいレベルアップの音が、立て続けに鳴り響き始めた。
「な、何、この音……!」
表示された数字に、私たちは揃って絶句した。
私の第一職・剣士は、100から198へ。第二職・双剣士は、100から190へ。第三職・魔法使いは、23から180へ。
「嘘でしょ……私も」
紫苑の第一職・魔法使いは、100から197へ。第二職・斥候は、100から191へ。第三職・陰陽師は、23から177へ。
「私も、こんな……」
鏡花の第一職・剣士は、100から199へ。第二職・刀使いは、100から193へ。第三職・薙刀使いは、23から175へ。
「なんで、上限が解放されてるの……?」
誰ともなく漏らした疑問に、答えは出ないままだった。本来、職業レベルの上限は100のはずだ。それが、ほぼ倍近くまで引き上げられている。
「ねえ、新しいスキルのステータス、確認してみようよ」
紫苑の提案に、私たちは互いに頷き合った。
「せーの」
「――ステータス」
三人で声を揃えた瞬間、視界いっぱいに、見たこともない数字の羅列が浮かび上がった。
[朝露凜]
Lv.2568
HP 385200
MP 25680
SP 51360
STR 41088
VIT 41088
INT 41088
AGI 41088
DEX 41088
LUC 1000
[菫川紫苑]
Lv.2575
HP 257500
MP 38625
SP 51500
STR 41200
VIT 41200
INT 41200
AGI 41200
DEX 41200
LUC 750
[氷山鏡花]
Lv.2567
HP 256700
MP 25670
SP 51340
STR 41072
VIT 41072
INT 41072
AGI 41072
DEX 41072
LUC 760
「……規格外すぎる」
震える指で、私は古代スキル【上限無効】を鑑定してみた。
『上限無効――あらゆるダメージ上限を無効化する。上限を無効化できない場合は、その上限値を二倍にする』
「これのせいで……」
声が、自然と小さくなった。
「本来上限100レベルだった職業が、レベル上限が200に。レベル1000で付与されるはずだったものが、2000に……そういうこと?」
背筋に、冷たいものが走った。
これはもう、私たちがこれまで思い描いていた「強さ」の次元を、完全に超えてしまっている。この世界の最高レベルが2000で頭打ちになっていることを、私はもう知っていた。アメリカ、ロシア、日本、中国、イギリス――各国を代表する実力者たちが総力を挙げても、ようやく到達できる領域。
そこに、私たちは三人揃って、気づかぬうちに足を踏み入れてしまったらしい。
「……とりあえず」
私は、震える声をどうにか抑えながら口を開いた。
「この力は、しばらく隠しておこう」
鏡花と紫苑が、無言で、けれど強く頷いてくれた。
その沈黙の中に、これから先に待ち受けているであろう、まだ見ぬ道のりへの覚悟が、静かに滲んでいるような気がした。




