五つの贈り物
「よって五つの贈り物が与えられます」
声は、淡々と、それでいてどこか荘厳な響きを持って続いていく。
「一つ目は唯一スキル【ステータス変動】の付与。二つ目は職業レベル上限解放の情報が開示されます。尚、この情報については現時点での他プレイヤーに対する開示は認めません。三つ目は既存スキルの強化が施されます。四つ目は職業スロットの5枠増加――最大20から25になります。追加した1枠には、それぞれの最終職をレベル上限で割り当てます。五つ目は古代スキル【上限無効】と古代スキル【軽減貫通】のレベル10――最大値――での付与」
五つの贈り物の内容が告げられるたび、私たちは言葉もなく顔を見合わせていた。あまりにも現実離れした内容に、頭の処理が追いついていない。
「……規格外すぎない、これ」
紫苑が、掠れた声で呟いた。
ここから、声の調子が変わる。個別のアナウンスが始まった。
「贈り物を確認……実行します」
まず、私に向けて。
唯一スキル【亜空間庫】、固有スキル【アイテムボックス】【継続回復】【鑑定】、常在スキル【HP回復】【MP回復】、固有スキル【追撃ダメージ】――これまで育ててきたスキルたちが、次々とレベル10へと一気に引き上げられていく。体の奥で、何かが満たされていくような感覚があった。
そして、ひときわ重みのある宣告が続いた。
「唯一スキル【自傷ダメージ】は永劫真髄スキル【極命破神者】に昇華し、レベル20に上昇」
――自傷ダメージが、昇華した。
五年前、あの絶望的な欠点として私を苦しめ続けたスキルが、今は想像もつかないほどの力へと姿を変えようとしている。胸の奥が、小さく震えた。
続けて、唯一スキル【HPゲージ付与】、【HP上昇】、古代スキル【ステータス】、【ステータス変動】、【上限無効】、【軽減貫通】が、それぞれレベル10で付与される。
職業スロットが25に増加し、21枠目には終焉職――【永劫奏魔劍皇】。久遠の魔剣皇、ヴラディカ・エオーニアス・カタストロフィス――が、レベル上限である2000で与えられた。
次に、紫苑への個別アナウンスが始まる。
「唯一スキル【武器に愛されし者】を永劫スキル【武極終焉者】に昇華させレベル20に上昇。大罪スキル【強欲】、美徳スキル【慈愛】をレベル10に上昇」
続けて、私と同じ古代スキル群がレベル10で付与され、職業スロットが25に。21枠目には終焉職【抑敵振軍鎮戰神】――戦神、テオマコス・グロズダル――が、レベル上限2000で授けられた。
隣で紫苑が、呆然とした表情で自分の両手を見下ろしている。
最後に、鏡花への宣告。
「唯一スキル【未来視】を永劫スキル【掌時識命者】に昇華させレベル20に上昇。大罪スキル【色欲】、美徳スキル【節制】をレベル10に上昇」
同様に、古代スキル群が付与され、21枠目には終焉職【究導参天地者】――テオス・アルカノフ・ミロス――が、レベル上限2000で授けられる。
三人分のアナウンスが流れ終わると、私たちの目の前に、ふわりと一枚の皮羊紙が浮かび上がった。
「これ……」
そこには、限界突破素材の情報が、あの時と同じ内容で綴られていた。
「以上、三名に全ての贈り物を贈呈致しました」
その声を最後に、辺りに静寂が戻ってくる。
私たちはしばらくの間、言葉を発することもできずに、ただお互いの顔を見つめ合っていた。




