丘の上から見た絶望
三十二層に足を踏み入れた私たちは、入り口から少し離れた場所に小高い丘を見つけ、そこを目指すことにした。
「見晴らしが良さそうだね」
丘を登り切り、見下ろした光景に、私は思わず息を呑んだ。
地上に、淡く輝く人型の影が無数に蠢いている。そのうち九体ほどは、これまでのエレメントよりも一回り大きい――エレメンティス。そして、さらにその奥、ひときわ強い光を放つ影が、三体。
「鑑定……」
固有スキルを発動させると、視界に数値が浮かび上がった。
『エレメンティス――存在値21%』
『エレメンタリニティー――存在値33.1%(自然加算・環境割合適用)』
「存在値、十二ポイントしか違わないのに……」
「でも、この自然加算と環境割合ってやつが厄介そうだね」
紫苑の言葉に、私は頷いた。計算してみると、エレメンタリニティーの実質的な強さは、エレメンティスの約三十四倍にも上るらしい。
まずはエレメンティスから片付けよう――そう判断した私たちは丘を下り、エレメントの群れへと切り込んだ。こちらは、存在値の数字通り、そこまで苦戦する相手ではなかった。
問題は、その先だ。
三人がかりで、一体のエレメンタリニティーに挑む。約二時間、ひたすらタゲを取り合いながら削り続け、ようやく一体を撃破することができた。
「……やった、ね」
息も絶え絶えになりながら、私たちはその場に座り込んだ。少し休もうと腰を下ろした、その三十分後――。
「――嘘でしょ」
倒したはずのエレメンタリニティーが、何事もなかったかのように、再び姿を現していた。
「まさか……」
鑑定で確認すると、最悪の事実が判明した。
『トリリアンモンスター――三体を誤差三十分以内に討伐しなければ、復活する』
「三体、同時に倒さないといけないってこと……?」
絶望的な数字を前に、私たちは思わず顔を見合わせた。




