支部長ダランとの出会い
翌朝、鳥のさえずりに似た魔物の鳴き声で目を覚ました。
身支度を整え、私は二十一層の探索を再開する。
草原の起伏に沿って進むと、丘の陰からゴブリンの一団が飛び出してきた。ソルジャーとナイト格が入り混じった編成だ。気配を殺して距離を詰め、先頭の一体の首元に短剣を突き立て、そのまま回転させて斬り落とす。次々と現れる個体を、一つずつ丁寧に処理していく。手応えは軽い。この程度の相手に、今の私が後れを取ることはもうない。
開けた場所に出ると、今度は羊の群れ――シープ系の魔物たちが草を食んでいた。近づくと同時に、こちらへ向かって突進してくる。四つ足特有の直進的な動き。突進の軌道に合わせて体を捌き、正面から斬りつける。何頭かは突進の勢いに合わせたカウンターで一撃のもとに沈めた。
視界の端に浮かぶレベル表示は、気づけば70に達していた。二十層での周回が、確かな地力になっている。
昼が近づく頃、私は小高い丘の上で足を止めた。
眼下に広がる草原を眺めながら、干し肉とパンで簡単な昼食を取る。風が心地よく、しばしの間、時間が緩やかに流れていくのを感じた。
午後になると、二十二層への道のりが見えてきた。地形が徐々に岩がちになり、これまでの開けた草原から、ごつごつとした岩場へと変わっていく。
岩陰から飛び出してきたのは、コウモリの一団だった。不規則な軌道で飛び回るその動きに、最初は少し手こずる。だが十五層で手に入れた小型の短剣を抜き、翻る羽ばたきに合わせて斬り裂くと、一体、また一体と地面に落ちていった。
蛇の姿も見える。まっすぐに伸びてくる噛みつきを横へ躱し、大きく開いた口の中へ剣先を一突き。小柄な個体は、上から頭を斬り落とすだけで事足りた。
夕暮れ時、私は二十三層へのゲート前に辿り着いた。レベルは73まで伸びている。
すでに日は傾き切っている。無理をして進むよりも、ここで一度体を休めた方がいいだろう。ゲート前のセーフスペースに腰を下ろし、簡単な携行食を口にしてから、しばし目を閉じて仮眠を取ることにした。
どれくらい眠っていただろうか。体の芯にわずかに残っていた疲労が、少しだけ和らいだ気がする。
目を覚ますと、辺りはすっかり暗くなっていた。私は身支度を整え、二十三層へと足を踏み入れる。
夜のこの階層では、死者系の魔物が姿を見せ始めていた。ゾンビの群れが、緩慢な動きでこちらに近づいてくる。私は懐から聖水の小瓶を取り出し、刃に薄く塗りつけた。
一体の背後に忍び寄り、闇討ちで仕留める。もう一体には、正面から聖水を纏った銀のショートソードを突き立てた。効果は覿面で、いつもより脆く崩れ落ちていく。
スケルトンの群れにも同様に対処し、着実に階層を進んでいく。時折現れるスネークやコウモリも、これまでの動きで難なく片付けた。
二十三層を抜けた頃には、レベルは76に達していた。すでに夜も更けている。
二十四層に足を踏み入れると、中央に温かい灯りが見える。近づいてみると、それはセーフスペースに設けられた簡易の休憩所だった。誰もいないのを確認し、私はここで夜を明かすことに決めた。
マジックバッグから鍋と食材を取り出し、火を熾す。手持ちの肉と野菜を煮込んで、簡単な汁物を作った。ふわりと湯気が立ち上り、香ばしい匂いが辺りに広がっていく。




