表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
7/22

7.近衛軍


 エメリヒ王から受け取ったスマルト共和国への偵察指令を、その場に居たカーマイン辺境伯領出身の古馴染みの7人に伝えた時の反応は意外にも悪くなかった。特にカールは「おぉ!!そら良いな!!」とかなり喜んでいる。それも本心から。


「喜ぶのか、意外だな」

「最近この堅苦しい近衛騎士っていう仕事に、丁度飽きが来てたところだぜ。毎日綺麗に磨かれた鎧を身に着けて、一日中部屋の前に立つなんて飽きるだろう?」


 その言葉にライアンにフレディ、獣人のサルキにカンブリーとセッターとテリアが頷いている。


「お前!カール!絶対この場以外でそんなこと言うなよ!!」

「わーってる。このメンツにしか言わんさ……全員を招集するか?」

「そうだな、夕飯時に集めてくれ。此処で良い」

「はいよ」



 夕飯を食べ終えた近衛第一騎士団のメンツに、同じ話をすると今度は反応が様々だった。

 近衛が密偵のような真似をすることに反発する者や、王都から出る口実が出来て喜ぶ者や、そもそも任務であればと責任か溢れる者、そもそも興味も無い者。


「これは王命だ、選択の余地はない。出発は2日後の朝四番の鐘とする」


 乗り気の無い抜けた返事も聞こえて来たが、今回それを咎めるつもりはなかった。なんせ、自分も乗り気ではないからだ。出来るならば与えられた領地に居て、家族と過ごしたいものだ。出発する時に漲っていた使命感も、いまはどこかへ行方不明となっている。


 出発するまでの2日間で溜まった仕事をなるべく終わらせた。

 他にも家族やエドガーに手紙を書いたり、塔での為の物資の調達だったりと、眠る暇もないほどの忙しさだった。これは、近衛騎士団で一番下っ端のアーチャーをやっていた時よりもと思える程だった。


「リデル団長、聞きました?」


 眠い目を擦りながら、出発前日に最後の夕飯を口に運んでいた時、昔のように隣に腰かけたフレディが質問してくる。あまりに眠いもので「なにがだ?」と随分ぶっきらぼうな返事になったことを、気にする様子もなくフレディは続ける。


「近衛騎士団の兵士増強だそうですよ」

「そうか、増強するのか……ん?何の話だ?」


 適当な返事をした後で、その話題に気が付く。


「陛下が直率する精鋭常備軍隊として、近衛を増強するという噂が」

「だったら、近衛騎士団総副団長であり、近衛第一騎士団団長の俺が知らないのはおかしいだろ?噂は噂だ気にするな」


 自分は一切そんな話は聞いていないし、先日のエメリヒ王との会話でもそんな話題は一切出て来なかった。

 それに近衛騎士というのは誰でもなれるものではない。

 自分は猟師の息子という平民にも関わらず、運と人に恵まれて今の立場に居るが、本来近衛騎士は功績を立てただけでなく、忠誠心を示して兵士から騎士爵に叙爵された者や、よく教育訓練された貴族の次男以降が人質代わりとして近衛騎士に入ることが出来るのだ。

 それが現在は貴族の大量処刑で人質としての貴族の次男坊などは大幅に数を減らし、東方大公に東方騎士団から借り受けた騎士やモーラ辺境伯の騎士を借りた上に、獣人などの亜人種の参加も許す事で、何とか数を維持している。

 それをこれ以上増やすとなれば、素性の怪しい者や他国の密偵などが入り込みかねない。到底無理だという事は間違いない。


「でも、火のない所に煙は立たないじゃないですか」

「それもそうだが……あした出発の挨拶に伺った時に聞いてみよう」



 そして翌日、自分はエメリヒ王に出発の挨拶をした時に問うた。


「……といった噂が流れています」

「あぁ、それか」


 心当たりが有りそうなエメリヒ王は口元を緩ませた。一方隣に立つボウデン総団長の顔には、困惑が浮かんでいる所を見ると彼も知らなさそうだ。


「正確なところは、今回の遠征から私が直率する軍団を作ろうという話だ。それの正式名称はまだ決まっていないがな」

「……と言いますと」

「今までは王家直轄領の兵であっても、私から貴族へ、貴族から指揮官へ、指揮官から兵へとなっていたところを省略し、私から指揮官、若しくは私自身が指揮官となる軍隊を作ろうと思っている。あぁ……分かったぞ、一応予定では近衛”軍”と名付けるつもりで話していたから、それが伝わったのかもな」


 王と王家の警備や王城の警備までやらせるつもりは無さそうで安心だ。

 もし、近衛騎士団を増強するなどと言い出したら、諫言をしなければならないところだった。だが一点、気になる所はその直轄領の中に自分の領地である、ルカロンも入っている事だろう。かといってこれは仕方ない。元々代理でエドガーに指揮を任せている軍団だ。大本である王が命令を下してエドガーが動く構図は変わらない。

 エメリヒ王はまどろっこしい指揮系統を整理して、強い兵を強い王が率いる事を目標にしているのだろう。戦上手であることを証明できているエメリヒ王であれば、それも問題あるまい。


「申し訳ありません、差し出がましい質問を致しました。リデル・ホワイト及び近衛第一騎士団、これより王命に従いスマルト共和国へ向かいます」

「いや、気にするな。それよりも、リデル卿の働きに期待しているぞ」

「必ずや成果を出してまいります」


 これで、王都で残す仕事は……まぁまだあるが、急ぎではない。

 本当に急ぎはボウデン総団長にお願いしたものもあるが、総団長であれば心配ないだろう。


はじめまして。都津トツ 稜太郎リョウタロウと申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ