↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
36/98

14.ホリゾン平原の戦い6


 どれくらい走り続けたのか分からない。包囲陣の東端は遠かった。

 途中で一度馬の歩様を緩めて脚を休ませなければいけないほどだった。走り続けると戦闘の前に馬が疲れて切ってしまう。


 我々が到着した時には戦闘は始まっていた。それも当然で敵の土魔導士を確認して、伝令に伝え、伝令の騎兵が走り出し自分達の元へ到着し、自分達がここまで来るという過程なのだから、堀が埋め立てられてからかなりの時間が経っていた。


「大丈夫か!」

「おぉ!近衛騎士団が来たぞぉ!!」

「「「おぉ!!」」」


 我々が包囲陣の東端に到着したのを見た近衛軍から歓声が上がる。彼らは我々に課せられた任を知らないから、援軍がかなり早く来たように見えたのだろう。


「敵魔導士は!?」

「魔導士ですか!?もう下がっちまいましたよ!」


 心の中で悪態が出る。勿論間に合うとも思っていなかったが、実際に来ていないとなると悪態のひとつも吐きたくなるところだ。


「近衛第一騎士団!押し返すのを手伝うぞ!!」

「「「おう!!」」」


 昨日も同じ戦法を取られているのだ。周囲からの援軍も早かった上に、後方にいたホリゾン城側に対する備えのヴァトー軍の一部まで援軍に来たのだから、耐えて押し返す事は意外にも簡単にできた。これで両翼端を攻める事は厳しいと判断して、土魔導士を連れて中央突破でも目指してくれたら撃ち抜ける。



「戦果はあったか?」


 夜になってエメリヒ王の元へ帰参すると、顔を見るなりかけられた言葉がこれだった。


「いえ、全く…戦場の端に出現されると間に合いません。我々は防戦に参加してまいりました」

「うーむ…各地の騎兵だけで守れそうだったか?」

「なんとも……ヴァトーからの援兵もあったことで押し返す事が出来ましたが、ホリゾン城側からの出撃があった場合厳しいかと」

「そうだな…土魔導士を使った襲撃は1回のみだったんだな?」

「はい」

「であれば、土魔導士が魔法を発動できるのは1回か」

「恐らく…ですが我々を欺こうとしている場合は、それ以上になることもあるかと」


 我々に土魔導士が堀を埋め立てられるのは1回と認識させて、兵力を寄せることが出来れば大きな隙が生まれる。これを狙っているのだとすると、兵力を寄せ切るのは非常に危険だ。


「こちらの土魔導士は何と?」

「人数によるが多ければ2回3回と可能かもしれないとは言っていたな」


 であれば敵にも出来ると考えた方が良い。


「土魔導士を狩るのは続けよう。兵力の配分はそうだな……近衛騎士団を向かわせるか」

「よろしいのでしょうか?」

「私の身辺を固める人数が多くても、負けては意味が無いからな」


 エメリヒ王の言う通り、翌日からは自分達近衛第一騎士団以外にも、第二~第五までの200名が土魔導士の対処に駆り出されることとなった。もし両翼端に土魔導士が来た場合、自分達は動かず第二~第五までが対応に動く。近衛第一騎士団の任務は、完全に土魔導士狩りに集中した。


 結果としてそこから3日間に渡って我々の出番は無かった。

 場所は違えど両翼に土魔導士が交互に出現し、到着が間に合わなかったのだ。最後の3日目のみ撤退していく30~40人土魔導士の後ろ姿を見ることが出来た程度だ。


「30~40人の土魔導士だと何回だ?何回堀を埋め立てるほどの魔法を発動できる?」


 エメリヒ王が軍議の天幕の中で目の前の土魔導士に問いかけた。


「最低2回でしょう…4回以上は出来ないかと思いますが。魔力量次第では3回も…」

「そうか…分かった下がっていい」


 エメリヒ王は土魔導士が下がるのを確認すると、自分に視線を向けた。


「どう思う?」

「どこかで2回はしてくるでしょうね…両翼に交互に出現しているのはそのためかと…」

「3回あると思うか?」

「その場合は近衛第一騎士団の目の前に出て来ることになります…逆にありがたいことです」

「うーむ…ライラック王の海兵の場所が本命になりそうだ…相手の軍旗を見ながら動かねばな」


 エメリヒ王は疲れた様子で地図を置いた大きなテーブルに肘をついて、モーヴ協商国東部を見つめていた。彼は協商国東部を現在進行形で駆けているであろう、ガランス伯の場所を予想しているのだろう。


 ベルディグリ大陸の東部が描かれた大きな地図を背後の篝火が照らす。エメリヒ王が地図を見つめて思案に入る静かな時間。そんな中に遠くから走って来る足音が聞こえた。


「伝令!伝令!!」

「どうした」

「左翼中央部に敵土魔導士が出現!近衛第二・第三騎士団が対応に向かいました」

「ご苦労であった」


 土魔導士を用い始めてから初めてのモーヴ協商国側の夜襲だった。という事はこれが本命の可能性がある。


「エメリヒ王、私は騎士団へ戻ります」

「あぁ、分かった。もし、兵力が足りないとなれば私を呼べ」


 2か所までならエメリヒ王を呼ぶ必要は無いだろうが、3か所に土魔導士が出現するとなれば呼ぶことも考慮に入れておこう。簡単に王を最前線に呼びつけるのは近衛騎士として間違っている気がするが、兵力に余裕がないから仕方がない。


はじめまして。都津(トツ) 稜太郎(リョウタロウ)と申します!


再訪の方々、また来てくださり感謝です!


今後とも拙著を、どうぞよろしくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。