世の中には男の娘のおかげで100万本超えを達成した格ゲーがあるらしい
「さて、こっちだ」
イーブルが小屋に戻っていったのを確認したホゾマは歩きながらユウ達を手招きする。彼に招かれて歩いて行った先にあったのは、地下都市の終端を表す壁……に備え付けられたゲートだった。
「さて、ここから先はこれを首から下げてもらう」
ホゾマはそう言うと、ユウ達に紐を通した札のようなものを配る。
(……うわ、セキュリティカードっぽーい……)
その札を確認したユウが思わず正直な感想を漏らす。
(実際そんな感じです。ビジター用のセキュリティカードみたいなもんです)
ルティシアの身もふたもない解説にユウは内心ため息を漏らす。
(遺跡探索というよりオフィス見学みたいな気分になりそうです)
(大丈夫ですよ~。中身はもっと別物ですから)
(……どういうことです?)
ルティシアの呑気な言葉にユウは一抹の不安を覚えていると、目の前のゲートが開かれていく。
「ここからが禁域というわけだ。みんな、ついて来てくれ」
一行はホゾマの言葉に頷く。それを確認した彼は、ゲートの中へと向けて歩き出した。
ゲートの中に入ると、その先に待ち構えていたのは地下に降りる階段であった。ホゾマに連れられてユウ達は階段を降りていく。
「なんだこりゃ……?」
そして階段を降りたその先で目にした光景に、ユウは困惑の声を上げた。
「なんやぁ、これ!?」
「これは一体……?」
チコとエミリアも驚きの声を上げる。どうやら、魔族にとっても人間にとっても、目の前に広がる光景は想像を超えたものであったらしい。そんな彼らの様子を見ながら、ホゾマが手を広げる。
「ようこそ、エルフの禁域へ。ここが、現代の魔法文明の基礎を生み出した古代文明の研究所だ」
そう言う彼の背後では、巨大な培養液で満たされたカプセルが並び、様々な人間大サイズのゴーレムが闊歩している。
「……まさか、私達が生活していた都市の足下にこんなものがあったなんてね」
普段は感情の起伏が薄いリーシェルトですら、抑えきれない驚愕が表情に浮かんでいた。
「お前も知らなかったのか」
アネッサの問われたリーシェルトが頷く。
「古代文明の遺跡がある……とは聞いていた。でもこんなに状態が良いうえに、こんな技術水準の高いゴーレムが大量に安定稼働していたなんて思わなかった」
「やれやれ。魔王はこのことを知っていたのか?こんなとんでもないものを制圧しろだなんてよくもまあ気楽に言ってくれたものだ」
「サクラが介入してくれてあなたを止めてくれたのは、お互いにとって幸運だったかもしれない」
「結果論だよな……」
二人のそんなやり取りにアイザインが呆れていると、何者かがホゾマに向かえって声をかけてきた。
「あら~、ホゾマ様いらっしゃーい。久しぶりに来てくれて嬉しいわ~!しかもお客様こんなに連れてきてくれるなんて~」
「!?」
整然としていた落ち着いた雰囲気の研究所にそぐわない明るい声に、ユウ達はまたも困惑し、視線を声の主の方へと向ける。するとそこには、少し女性らしい仕草で身をくねらせているゴーレムがいた。
(なんか個性強そうなゴーレムが出てきた……!?)
想定外の登場人物に混乱するユウ達を他所に、ホゾマは淡々と挨拶をしている。
「ああ。今日はよろしく頼む」
「なあ、ホゾマさん……お知り合いみたいだけど……この方?は……?」
まったく動じないホゾマに、ユウは恐る恐る尋ねる。
「おお、紹介が遅れたな。彼はこの研究所を統括しているゴーレムの錦織さんだ。今日は我々の案内をしてくれる」
(なんで和名!?)
ユウが内心でツッコみの声を上げている横で、他の者達は頭を下げている。
「ニシゴリさんか。よろしくお願いします」
アネッサがそう言うと、錦織は身をくねらせる。
「いやーん!ゴリとかゴッツイ感じで呼ばれるのはイ・ヤ!ニッシーって呼んで!」
「は、はぁ……。よろしくお願いします、ニッシーさん……」
「はーい、よろしく!」
錦織はそう言うとアネッサの手を握る。しかし、思ったより力が強かったのか、アネッサに微弱なダメージが入ったらしい。
「がはぁぁぁぁぁぁぁっ!もっと!もっと強くてもいいかも!?」
突然、すさまじい勢いでアネッサが血を吐き出す。
「アネッサさん!?」
「いけない!いつものが!」
突然の事態にティキがアネッサの身体を支え、エミリアが彼女の状態を確認する。
「大丈夫です、死んでません!」
エミリアの言葉に一同は肩をなでおろす。
「まあ!この娘、なんて熱くパッションを放出してるの!?命を削ってまで……素敵!」
そして、そんなアネッサを見た錦織が感極まった声を上げる。
「どういう反応!?」
彼女の反応にユウが思わずツッコミを入れる。
「あらお兄さん……。貴方も彼女みたいに私に熱いパトスをぶつけてもいいのよ……?」
そう言って身をくねらせる錦織に、ユウの腹の底から黒い感情が沸き起こりかける。
(……マジでぶつけてやろうかな)
そんなことを考えながらユウが右の拳に力を込める。
(それやっちゃうと敵認定されて面倒なことになる可能性あるからやめた方が良いですよ)
(んぐぅぅぅぅぅっ!)
ルティシアからの真っ当な反応にユウは歯を食いしばって、自身のどす黒い感情を抑え込んだ。
そんな一同のバカ騒ぎを見かねたホゾマは、一度軽く咳ばらいをする。
「あー、このままだと話も進まん。一旦落ち着てもらっても良いかな?」
「……はい、すみません」
彼の言葉に、一同はバカ騒ぎを止めて素直に頭を下げた。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
皆様の応援が執筆の励みになります。
もしよろしければブックマークや評価ポイント、感想やレビューなどお願いします。
引き続き、この作品をよろしくお願いします。




