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神に牙むく無双の咎人 ~時代に抗う、次代の寵児たち~  作者: 銀風 朧月
第4章 王無き玉座に鉄槌は下る
73/117

Ep.4-1 プロローグ ―天譴―

一人目です

やーっとあらすじ詐欺にならんで済みますな(*'▽')

 **********



 降り(しき)る雨。吹き(すさ)ぶ風。

 眼前に広がるのは、さながら終末の光景。その光景に、人々はただ茫然とするばかりだ。 

 これでも今はまだ本気ではないようで、憤怒を体現したこの嵐は更に勢いを増し、やがてこの国全体を呑み込んでしまうことだろう。



 ――KYURUOOOOOOOOOOOOOOO!!



 終焉が、雄叫(おたけ)びを上げる。

 すると呼応するかのように、風が、雨が、その勢いを増す。

 それはまさしく、神の鉄槌。不敬を働き、暴挙を侵した人間に襲い掛かる、無慈悲なる天譴(てんけん)



「(――私は、私たちは、何処で間違えたのでしょう……)」



 そんな非現実的な光景を前に、彼女はひたすらに自問自答する。

 一体どうして、こうなってしまったのだろうか。この結末は、どうすれば防げたのだろうか。

 答えのない、既に手遅れである問いが、頭の中をグルグルと駆け巡る。


 ただ、責任を果たそうとした。

 双肩にのしかかる重すぎる期待を感じつつ、その中でしかし自らの全力を尽くしたつもり、だった。

 だが、蓋を開けてみれば、これ以上ない最悪の展開が彼女たちを待ち受けていた。



 ――人間の功罪、か。何ともまあ、因果なもんだな……



 絶望の最中にある彼女の頭を不意によぎるのは、とある少年の言葉。

 学園に入学してすぐに出会った、何とも掴みどころのない不思議な先輩の言であった。



 ――一つだけ言っとくが……現実にゃあお姫様を助けてくれる王子サマはいねえんだぜ?



 知っている。

 否、知っている()()()だった。

 

 別に、彼女が現実を舐め切っていた訳ではない。

 困ったら誰かが助けてくれるだろう、とか、そんなことを期待していた訳でもない。


 だがしかし。人間というイキモノは不思議なもので、いざ現実がそうなるまでは、そうなることを実感できない。

 起こり得る可能性としてあるのだと理解はできていても、それが現実のものとなるのを実感することはできないのだ。


「(――私は……)」


 勿論彼女とて、あらゆる可能性を真剣に考えた。

 議論を重ね、最悪の事態を防がんと必死に行動してきた。


 しかし、その上でまさかこんな結末になろうとは、いったい誰が想像しえただろうか。


 ――いや、あの言葉を鑑みるに、彼はきっとこの展開を予想していたのだろう。

 だからこそ、あんな言葉を掛けたのだ、と、今更ながらに後悔が押し寄せる。


「(――過ぎ去ったことは、もう取り戻せません。だから――)」


 だから、覚悟を決める。

 自分の守るべきものを守るための、唯一の方法。

 責任を果たす、最後の(よすが)

 それを口にせんと、一つ息を吸い、言葉を紡ぐ。


「――一つ、御願いがあります」



 ――たとえそれが、自分の身を亡ぼすことになったとしても



 **********



 この国が忘れ去っていった、遠き遠き過去。

 人間の功罪。人の業。連綿と紡がれる歴史の中で失われた、建国の記録。

 なるほど確かに、この未来はいつか辿るのが必然であったことだろう。



 だが、その(とが)を、たった一人の少女の双肩に負わせてもいいのだろうか。

 どんなに優秀だとしても、未だ小さきたった一人のか弱き女の子に、全ての責任を押し付けてもいいのだろうか。

 人間の犯した罪だとするならば、それは彼女だけの責なのだろうか。



 否、そうではない。そうであっていいはずがない。


 それを自覚した少年少女達は、既にこの教室にはいない。

 ここに残っているのは、既に自分一人だ。



「(――手を出して、助けるということ、なァ)」



 ここに至るまでの数週間を思い出し、椅子に座った少年は天井を、天上を仰ぎ見る。

 確かに自分は、必要以上に力をひけらかす真似はしたくない。

 この力は赴くままに振るっていいものではないし、仮にそうだとしても責ある咎をわざわざ助けてやるつもりはない。それでは、ただの節操なしだろう。



 それでも。

 それでも、目の前で為される理不尽には、手を出すと決めているはずだ。

 確かにここに至った原因は、ひとえに人間たちの業である。そのことに、異論はない。

 だが、その現実に相対し、自らの罪を認め、か弱き拳を精一杯握り締めて、正々堂々と業に抗おうとしているのなら、それは……



 ふう、とひとつ息をつき、少年は立ち上がる。

 上着をはためかせ、騒乱の中心へと歩を進め始める。



 ――理不尽なる現実を、打ち払うために。




 ――第4章 王無き玉座に鉄槌は下る――


序章につき短めですん


ところでですが、タイトルをちょいといじり申した

理由はありません。強いて言うなら五月になったから、でしょうか

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