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1-3、 我、城壁にて

嫌なことがあった時は、

家で風呂、飯、そして睡眠。

もし可能なら歌おう。

体にたまった余分なものを吐き出さなきゃね。

現在、アザール国の首都、アーク正門前。

時刻は昼時、12時くらいだろうか?

太陽が真上にあるのでそれで判断した。要するに適当である。

コンクリート(多分実際は違うのかも?)で出来た50mはあるであろう城壁。

そこから離れた草場の陰に隠れ、俺とリリィは門番の検査を前に立ち往生していた。


「どうするかなあ~。早速詰んでない?」

「うーん、まさかここまでとは思いませんでした。」


リリィも俺も苦虫を噛みしめた顔をする。

なぜなら門番の数が10人、検査に参加しているからだ。

門の前では門番たちが忙しなく仕事を全うしている。


「今まであんなに多く人員を割くことなんてありませんでしたのに。」

「あの数じゃ強行突破も難しいもんな~」

「いやだめですよそんなことしては」

「え?こういうのって「お決まり」って奴じゃないの??」

「そんなわけないでしょ!?誰ですそんなこと言ったのは!?」

「誰だと思う~??うふふふふ~」

「・・・・・」


うわあ。めんどくせえ・・・というリリィの心の声が聞こえた気がする。

でも仕方ない。だって俺は今、「異世界」にいるのだから!

テンションが上がらないわけがない。

リリィが命を狙われていることはわかっていても、竜と魔法が存在するなんて・・・!

不謹慎だがわくわくが止まらなかった。


「まあ真面目な話、このままじゃ埒が明かないじゃんよ?どーする?」

「うーん・・・・・あっ」


リリィが何か閃いたように声を出す。


「お?なんか閃いた感じ?隠し通路とか?」

「おっしゃる通り、確かここから少し西側に回ったところに避難用の隠し通路があったはず・・・小さいころの事なのでうろ覚えですが・・・今の今まで忘れてました。」

「なんという有能ぶり。流石ですぜぐへへへへ」

「・・・なんか性格変わってませんか?」

「気のせいですぜげへへへへへへ」

「変わってますよね!?誰ですあなた!?」

「さあ、誰でしょぶへえ!!??」


ふざけてたらリリィの鉄拳が飛んできた。

これがこっちの世界の言うところの「ツッコミ」なのだろうな。と、痛みとともに理解した。


「・・・・じー」

「わかった!真面目にやるからその冷たい目を辞めてクレメンス!!」


そんな風にわちゃわちゃしながら俺たちは隠し通路へと足を運んだ。









隠し通路付近。

それは城壁から少し離れた場所にあった。

周りには、崖上にもあった稲穂が広がっていて、その中にポツンとあるボロ小屋の中にあるとのこと。

普段は稲作用の道具を置いている場所なのだそうで、今の季節だと誰も寄り付かないらしい。


「へえ~、隠し通路っていうから森の中とか人の寄り付かない場所にあるのかと。」

「その思考を利用し、あえて人が使用する場所で、なおかつそこにあっても不自然ではない場所を選んだ

そうです。小さい頃は勉強や家族から逃げたくてよくこの通路を使って抜け出していました。まあ、お父様には気づかれていたと思いますが・・・。」


「あー、リリィってお姫様だもんな。そういう時期もあるわな~そりゃ」


俺とリリィは歩きながら、同時に、おれは朝食の時のことを思い返しながら話した。


{王族のお姫様ぁ!?}

{ええ。私は王家の人間で、長女に当たります。国王と王妃、それから長男次男、次女がいて、我々アザール王家となります。}

{・・・いやあ名前聞いた時から仰々しいとは思ってたけど王族とはたまげたぜ。・・敬語のほうがいい?一応聞いとくけど}

{お気になさらず。むしろこのような話し合いは新鮮ですし、気を使わなくて楽なので、無理に変えなくてもよろしいですよ?}

{いやあ助かる。まあ、話してる感じリリィはこういうの大丈夫な気はしてたよ。でも納得。命を狙われるわけだわ。警察とかには行ったの?あ、行ってたらこんな所にはいないか?}

{警察・・・?うーんと、騎士団の事でしょうか?}

{え?まあ、意味合いは同じ・・・か?}

{騎士団には頼れません。敵対勢力の手が回っていますので。}

{はええ~すげえ権力。それがあってこんな森の中へ?}

{ええ。まあ数週間前まではここよりはるか北の国に身を隠すと同時に、あるものを探していたのですが}

{あるもの?}

{いえ、この話は今は関係ないので追々・・・}

{?まあいいけど}

{それでとある用事が出来まして、アークへ行こうとしていたのです。なので、仮にあなたに会えなかったとしても私は舞い戻っていました。}

{でも危険じゃね?命狙われてるのにわざわざ行くのか?}

{ええ、命がけでも行かねばなりません。なぜなら・・・}



「・・・・わかるといいな。兄妹たちを殺した犯人。」

「ええ。必ず敵はとります。」


心底悔やまれる。

兄妹たちの訃報を受けてリリィは何を思ったのか?俺には計り知れない。

まさか自分だけではなく、周りものにも手を掛けるとは。

王位継承権は長男か長女のリリィにしかないという話だった。

いくら王族とはいえ、次女や次男を殺すほどの撤退ぶり。

敵対勢力は相当腐っているようだ。

長男の訃報は出てないようだが、時間の問題か?


「気を使っていただき、ありがとうございました。」

「え?なんのこと?」

「とぼけるのが上手ですわね。さっきまでふざけたテンションでいたのは、私の事を思っての事でしょう?あえておちゃらけた話し方で、和ませようとしてくださった。その心遣いに感謝しています。」

「ソ、ソウダロウ?アハ、アハハハハハハハハハハ・・・・」


言えねぇ。

確かに気を使うつもりだったけど、ここが「異世界」だと分かった後は、マジでなんも考えずテンション任せだったなんて絶対に言えね・・・・!!!

リリィの感謝がいてえよおーーー!!


「ふふ。あ、見えてきましたよ?」


そんなやり取りをしていたら、目的の場所に着いたようで。


「お、やっとかぁ、結構離れて・・・あっ」


だがしかし、俺たちは予想が甘かったことに気づく。


「あら、どうしましょう?」


すごい拍子の抜けた声を出すリリィ。

人はいなかった。まあ、城壁から離れていたし、ゴブリンみたいなモンスターに遭遇することを考えたら当然か。

だからこそこの可能性を考慮しておくべきだった。


「これは・・・聞いてた話と違うな?」


箱。

パッと見た時そう答えても文句は言えない。

なぜならボロ小屋があるはずの場所には、大きな四角いブロックが建っていたからだ。


「うーんと、リリィさんや。ここで間違いないのよね?」

「ええ。確かにここです。でも、こんなものが建っているとは。」


来るのが久しぶりとのことだし、リリィも呆気にとられている。

ブロックの大きさは大体5mくらいの正方形。

恐る恐る触ってみると感触は冷たく、鉄なのでは?と直感的に思った。


「ちなみにこれを壊したりとかは?」

「んー、鉄というなら私の火炎魔法で時間を掛ければなんとかできますが、魔力の流れを国の魔法師団に

感知されるでしょうし、そもそもこの物体には予想ですが対魔法結界が仕込まれているかと。簡単に壊せるようなものをこんな安直に置いてはおかないでしょう?」

「そりゃそうだ。・・・ってことは再び振出しに戻るって奴かこれ。んー」


俺は考える。

隠し通路を用意しようとするほどの用意周到さなら、他にも隠し通路がありそうな気もするが、もしそれがあるならリリィが先にそれを言うはず。

多分これしかないのでは?多く増やした場合、一つでも見つかればそこから城壁内への侵入口にもなりかねん。だから一つだけと。


「うーん・・・?」


だがその理論で行くなら、おかしくねえか?


「なあ、リリィ?」

「あ、はい。なんでしょうか?」


ブロックを調べていたリリィが俺のほうに振り向く。


「この国の魔法師団ってさ、隠ぺいとか透明化とかの魔法って使えないの?いや、そもそもあればの話だけどさ。」

「そうですね・・・たやすく使える魔法ではありませんがあるにはあります。一部の上級魔法使いなら複数人いれば使えるかと。」

「ありゃ、そんなに難しいの?一人じゃできないほどに?」

「ええ。自身の存在を第三者から見えなくするというのはとてもシビアなのです。魔力量の問題というより「一定の視点への調整」が難しいのです。」

「ん?調整も何も、消えるか消えないか、の二択じゃないの?」

「そういうわけにもいきません。例えば、目の前に敵の勢力、自身の側には味方の勢力がいるとします。」

「ほうほう」


そう言いながらリリィは足元に、そこらに落ちていた石を使って絵を描き始めた。

俺もそこに近づき話を聞く。座り込みながら。


「透明化を使う際、自身がうまく透明化出来てるか、他者に観測してもらわないといけません。この他者は味方ですね。透明化のメリットは姿を隠すことによる奇襲性と、自身への注意を切ることによる安全性の確立です。ですが、これはデメリットにもなりえます。」

「うーん?どういうことだ?」


首をかしげながら俺は尋ねる。


「問題は、味方からは見えて、敵からは見えなくしないといけないということです。もし味方から見えない場合連携も何もありませんし、急なトラブルに対し対応に遅れます。また、味方から見えるように調整しても、敵にも見えてしまうことがあります。これは個人個人の立ち位置や魔法への知識、力量、才能など合わさりますが、「その場を観測しているすべての生物」から隠すには、必ず他者の目を意識する実用があり、最初に話した「一定の視点への調整」」がこれに当たります。」

「・・・・だめだ。難しすぎるぞ。要するにどーなるんだ?」

「つまりですね、「あの人には見ててほしい、でも、あの人には見られたくない」というのは、他人に依存した要求なのです。だから、せめて精度を上げるために、複数人の魔法使いで「観測」し、その感想情報をもとに透明にするための環境状態や魔力量、彩色化が行われるのです。結論、完璧な透明化はこの世に存在足りえません。」

「はえ~すごい。・・・・・なら、なおさらおかしいな。」

「え?なにがですか?」


俺は座ったまま、疑問をリリィにぶつける。


「だってさ、やろうと思えばできるんだよな?透明化。なのに隠し通路なんて大事なものには、こんな鉄のブロック置くだけなんて変じゃね?明らかに怪しいじゃんね、これ。敵が万が一攻めてきたら「ここに重要なもの隠してます。」ってアピールしてるようなもんだろ?しかも一つだけ。生命線だろ?ここって。」

「!!・・・・確かにそうですね。ならなぜ・・?」


リリィは立ち上がりながら話し、後ろにあるブロックに視線を向ける。

俺も視線をリリィからブロックへ。

ブロックの構造や鉄(もしくは近しいもの)である理由、何かないか?

考える。考える。

糖分が欲しくなるほどに頭を回す。

そもそも仮に隠し通路をふさぐためだけなら、鉄扉とか最悪通路自体を崩落させたって良かっただろう。

それをせずに残し、ふさいだ理由。

今までの事を思い出す。



{箱。}

{パッと見た時、そう答えても文句は言えない。}


{ブロックの大きさは大体5mくらいの正方形。}

{恐る恐る触ってみると感触は冷たく、鉄なのでは?と直感的に思った。}


{「魔力の流れを国の魔法師団に感知されるでしょうし、そもそもこの物体には予想ですが対魔法結界が仕込まれているかと」}


{「この国の魔法師団ってさ、隠ぺいとか透明化とかの魔法って使えないの?いや、そもそもあればの話だけどさ。」}

{「そうですね・・・たやすく使える魔法ではありませんがあるにはあります。一部の上級魔法使いなら複数人いれば使えるかと。」}


{人はいなかった。まあ、城壁から離れていたし}



「ーーーーー!!そういうことか!!」


俺は立ち上がる、否、飛び上がるという言葉のほうが近いか。


「どひゃあ!?び、びっくりしたあ!!」


リリィを驚かせてしまった。敬語を無くすほどに。


「いきなりなんですの!?なにかありました!?」

「わかったよリリィ!!この箱の秘密!俺たち城内に入れるぞ!」

「ほ、本当ですか!?」

「まあ、俺の読み通りならの話だけどさ!九割九分、当たると思うよ!」


そう言いあいながら、俺はリリィに自分の考えを話した。

その話し合いが終わるのは、13時を秒針がさす頃だった。




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~




「あーあ。めんどくせえなあ~」


時刻は20時。

今日も今日とて定時点検に足を運ぶ。

俺は「シモン=クレイドル」。

アザール国に在する騎士団の一兵士。

どこにでもあるであろう甲冑を着こなし、今日も今日とて仕事をこなす。

普段なら家に帰る道すがら、飯屋に酒と食い物を求め足を運び、食って酔っての果てに、自分の住処のベッドにダイブしてる・・・・ハズだったのになあ。

今日の点検担当のニックの野郎が、「急に体調を崩した」なんて隊長に言われ、選ばれたのが俺様ってわけ。


「ったくあの野郎。俺を言いように使いやがって。」


体調を崩したなんて絶対嘘だ。健康だけが取り柄のような奴だぞ?

幼馴染だから知ってるが、あいつは風すら引いたことなんてないんだ!

今度あったら酒を奢ってもらわないとな!


「ビールもいいが、どうせなら高めのワインを・・・ぐへへへへへ~」


そんなことを考えながら、俺はしけた通路を歩いている。

ここは昔に作られたもので、王族が他国に攻め込まれたときに使う避難経路だったらしい。

それを騎士団の団長様が再利用し、今じゃ物見やぐらのように使われている。

なんでも、鉄でできた壁を複数で囲んで、「魔法耐性」と「感知」、そして上級魔法の一種「透明化」を付与することで、こちらからは見えて、相手からは見えないというかなりずるいことができるらしい。

実験もかねての事らしく、本国の最重要機密なんだそうだ。

これが実用化できれば、兵士の犠牲も減るし一方的に戦うことも、偵察も楽々できる。

逃げに徹したらもはや追えはしないだろう。

そんな役に俺ごとき、いや、俺たち兵士ごときを使うのは、何かあった時に尻尾切り出来るようにとのことだろう。


「世は世知辛いね~。俺たちの扱いもそうだが、王家のご子息様方が亡くなったばかりだというのに、まるで何もなかったみたいに扱われて、ちょっと人の心がなさすぎないかぁ?お偉いさんがたの頭の中は全く分らんわ。国王や王妃も「あんな」になっちまうし、リリィ王女は行方不明だし・・ふぁ~あ、眠い。」


そんなことを考えながら、俺は隠し通路の出口にたどり着いた。

上を見上げれば床扉がある。

梯子を上ってそれを押し上げると、稲作の道具を置いておくボロ小屋に着いた。


「何度見ても慣れねえなぁ~。本当に外からは見えてないんだよなぁ?」


まじまじと俺は見る。

事前情報を知ってなければ、まずそこに「鉄壁」があるなんて考えることもしないだろう。

こちらからはあたりの稲穂や遠くにある森が見えるのに、「むこうから」は俺やボロ小屋は見えないというのだから。


「建材がもっと集まれば「コレ」も高い位置に作って、塔みたいに本格的な防衛に使えるのか・・・。もしこんなのが移動式で動かせるようになったら、敵になる奴らには申し訳なくなるな~。」


といっても、弱点はあるようで、要領が悪いとのこと。

少ない魔力でも発動するが、とても繊細なものらしく、少しの攻撃で透明化が切れるとのこと。

おまけに材料がとても入手しずらく、隊長からも「絶対に壊すな!壊したら死罪と思え!!」なんて言われるし。

一日二回、それを確認、点検、もし異常があれば報告せよとのこと。

まあ魔力が良く馴染む素材なんて高価だよなあそりゃ。


「さてと、さっさと終わらせて帰ろ。・・・んーと確か、外に出て確認しないとな。先にそれから済ましちまおう。今はモンスターもいないみたいだし、パパっとやっちまわないと。」


俺はボロ小屋の中にあるレバーを動かし、鉄壁についてる隠し扉を開けた。

このレバーは魔法師団の団長が作ったもので、開閉のみならず、魔法の起動や停止も兼ねているとのこと。

細かな設定も行えるそうで、点検するときには「魔法耐性」、「感知」、「透明化」を一つ一つ確認できる。

魔法が使えない俺みたいなやつでも扱える。

団長様々だなこりゃ。


「ひえ~、今日は冷え込むなあ~。ふう、まずは透明化の確認だけど・・・これ確か正常な時は、鉄壁さえ見えねえはずなんだが?」


どうやら故障?動作不良?なのか、鉄箱が全面的に見えちまってる。

これじゃ怪しさ満点じゃないか。

朝の点検の奴からの報告だと、正常に動いてたはずだが。

「夜までの間に何かぶつかったのか?風で飛んできた何かに当たったとか?めんどくせえな~。これ詳しく調べて報告書書かなきゃじゃねえか・・・はあ~不幸だ。」


ぶつくさ言ってる中、俺はふと気づいた。

・・・・・。

なんだ?

周りの雰囲気が、何かおかしい・・・。

いつもと何か違う・・・??

・・・・・。

そうだ。


風になびく稲穂の音が「少しも聞こえない」ーー!!


「・・・・・・まz」「寝ててくれ」




~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~






「いやぁ何とかなるもんだなあ」


俺は冷や汗をかきながら、リリィに安堵の声を漏らした。


「すごいですね。まるで熟練の暗殺者のような動きでした。記憶喪失になっても体は覚えているんでしょうか?」


リリィも稲穂の中から出てくる。


「そうなのかね?ただ「暗殺者だった」なんて落ちは嫌だなあ~。せめて「武術の達人でした」なら最高なんだけどなぁ。かっこよくない?」


そう言いながら、俺は「アチョー」「チョアー」と、カンフーの真似事をした。

うん。なんか違う気がする。


「そんなことよりも、です」


リリィは倒れている兵士を見ながら、言葉をつづけた。


「あなたの言う通りでしたね。巡回の兵士が本当に来ました。しかも中から。」

「まあ、ほぼ博打だったけどね。」


俺はそう言いながら兵士を持ち上げようとする。


「うわ!おっも!・・・・ま、まあ、リリィの話を聞いて、必ずっ、細目に管理しに来る奴はいると踏んでたよっと!要するにマジックミラー・・・は、この世界じゃわからんかもな。」

そう言いながら、俺は兵士をずるずると稲穂の中に引っ張り、人の目に入らないように隠した。


「リリィ!縄くれ!」

「みらー・・・?あ、はい!」


そう言いながら、リリィは長めの縄を数個くれた。

旅の途中に荷物や獣の肉を縛って運んでいたらしく、

その縄で兵士の手足を縛って、口にも噛ませることにした。

これで目が覚めても身動きとれまい。


「悪いね、ちと我慢しててくれ。それから、借りるぜ?」


そういって、兵士の鎧を外し始めた。


「これで変装して、城内に侵入。先行して安全確保しつつ、リリィを守ればいいって寸法よ。兵士の恰好なら、国民の人達からの情報収集もスムーズに進むだろうし、なかなか頭切れるなあ俺ってば。」

「本当に手馴れてますね・・・もしかして、本当に暗殺者、もしくは盗賊だったりしませんよね・・・?」


そういいながらリリィはじーっと見つめてくる。凍てつく視線、という奴だ。


「やめてくれよリリィ~。もし本当にそうだったらどうしよ~うう~」


俺はまるでイソギンチャクのように体をくねらせ、あひー、と鳴いている。


「もう、冗談ですよ。ふふふ・・・さあ、他に人も来ないとは限りません。急いで向かいましょう。」

「お、そうだな、行くか。・・・にしても城下町か。わくわくするな~。」

「浮かれている場合ではありませんよ?気を引き締めて向かいましょう!」


俺たちは兵士の開けてくれた扉に向かって歩き出す。



城壁の向こうにあるのは果たしてー?

それぞれの求めるもののため、

いざ、城下町へーーー!!



みなさんこんにちは。Jです。

今回はリリィとの行動開始~城下町に入る前まで書きました。

今回はなかなかうまく書けたと思います。自分的には満足いく話運びでした。

まだリリィや主人公の能力が全然書けていなくて、どこで出していこうかと試行錯誤を繰り返しています。

まあ戦闘が始まるのはまだもう少し先になるかもしれません。代わりにリリィや主人公の深堀が出来ればな。と考えているので、日常パートもぜひお楽しみください。

今回はこの辺にしつつ、皆様に感謝を込めて。

それでは、また。

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