表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
3/6

1-2、 我、異世界にて

もし仕事で嫌なことがあった時は

その出来事をお金で考えよう。

金のために働いているのだし、

金のために命は賭けまい。

夜が明けた次の日。

リリィと俺は朝食を食べていた。

お互い黙々と食べている。

この重苦しい空気の原因は俺にある。昨日の出来事だ。

記憶喪失。しかも名前まで忘れるほどの。

あの白い世界に至るまでの記憶が、なにも思い出せない。

そんな状況を重く感じたのかリリィは、


{今日はもう休みましょう。お互い疲労が溜まっていますし、この話は明日ということで。}


気を使ってもらった。正直ありがたかった。

自分のことが何一つ思い出せないのが、これほど来るとは思わなかった。

心に余裕を持てず、肉体も精神も限界だった。

だから次の日に持ち越したわけだが・・・。


「・・・あ、あのお~?」

「・・・・・・」


沈黙。

うーんきつい。

朝からこれなのは人を選ぶぞマジで。

まあリリィからは敵意とか嫌悪の感情はなさそうだから怒っているわけではなさそう?

少し戸惑いながら俺は話しかける。


「リリィさんや~い」

「・・・あっはい!どうしました?」

「さっきから怪訝な顔して考え込んで、どうしたんだ?」

「あ、いえ、その・・・」


リリィは食事をする手を止めて話し出す。


「昨日言った通り、国に帰ろうと考えてまして」

「あーなんかお礼してくれるってやつね」

「あ、はいそれです。・・・ただ一つ問題がありまして・・・。」

「と、いいますと?」


リリィはし越しうつむきながら言葉を紡いだ。


「まだ私の事情をお話ししてなかったのでここでお話しさせていただきますが、実は私、命を狙われておりまして・・・それをどうしたものかと・・・うーん」

「ほおほおなるほどね・・・・・ん?」


あれ?

今なんか不穏なこと言ってなかった?


「一時身を隠すつもりで国を出ましたのに、このままではまた命を狙われてしまいますわ・・・でもお礼はしないとだし、何より恩人を放っておくわけにも・・でも巻き込むわけには・・・」


ブツブツとなにやら考え始めてしまった。

もしかしてこれ、まだ危機は去ってない感じ?


「あのおリリィさん?命を狙われてるって聞こえましたけど・・・?」


少し震えながら問いかける。

食事している手が止まる。


「ええ。そのとおりです☆」

「いや言葉と表情のギャップゥ!?そんな時にお礼のためだけに戻れねえよ!?なに考えてんの!!」

「ですがあなたもお困りなのですよね?せめて人のいる町村への案内ぐらいは・・・」

「昨日会ったばかりの人のために自分の命かけちゃだめだよ!?どこで誰が襲ってくるかわからないでしょ!!」


ニッコリ笑顔でさも当然のように言いのける。

もう怖いこの子!なんでそんなに冷静なのかしら!!


「てか、なんで命狙われてるの!?・・・・・ここにいるのもそれが理由かい?」


当然の疑問であり、踏み込みすぎた質問でもある。

急なことでテンションがあらぬ方向へと向かっているようだ。

俺は顔を覗き込むように話した。

リリィとの距離がとても近くなっているが、

当然本人は気づいていない。


「あーそれはですね?簡潔に申しますと、跡目争いに巻き込尾まれているのです♪」

「ルンルン気分で言っていい内容じゃねえ!?俺がもし敵対勢力だったらとか考えないわけ!?」

「もしあなたが私の命を狙う者たちの一派ならば、昨日襲われていた私を命を懸けて助ける必要がないでしょう?あのままならば「事故」で済みますし。それに・・・」


リリィは俺のほうに顔を向け、安心したかのように言う。


「なんだか裏を持てるような人には見えませんでしたので。勝手に信じさせてもらいますわ。フフッ」


そう言って笑うリリィと目が合う。

綺麗な藍色の瞳が俺への信頼を示していた。

否、体に一本芯が通っている人物なのかもしれない。

そんなことを考えながら、息遣いが聞こえる距離だと気づき、俺はすぐに離れた。


「ゴホン!・・・あーごめん。話の腰を折ってしまった。続けてくれ、リリィ」

「あ、はい・・・でも、私の事を聞いたとして如何するのです?あなたにはメリットがありませんよ?」

「はい?」


リリィは今更ですが、と合間に言葉を入れ込みながら話す。


「あなたと私の関係を示すならよくて友人、悪くて居合わせただけの知り合いです。昨日は私も生き残れた安堵からパーティーなどと言ってしまいましたが、私のお家騒動に関わらず、お礼だけもらって逃げることも出来るでしょう?そこまで訳を知りたがるのはなぜなのです?」

「いや命狙われてるんでしょ?なら助けなきゃ。」

「・・・・・・へ?」


なんかすごい拍子抜けた顔をしている。

そんな変なこと言ったか?


「昨日から話してる感じさ、リリィが悪人には思えんのよなあ。それを除いて考えたとしても命の恩人の命が危ういなら、俺も手を貸すよ。まあ俺どうやら喧嘩強いみたいだし、利害はいったん置いといてさ。」


そう言いながら俺は立ち上がり、リリィと向き合う形をとる。


「要するに、「旅は道ずれ 世は情け」ってやつさ。せっかく出会えたんだ。これも何かの縁。いや、運命かもな。だから、俺にも話してくれよ。力になるぜ?」


出来ることなんてたかが知れてるけど。

まあ気持ちの問題よなこれは。


「・・・・・」


リリィはポカンとしている。

俺の返事がリリィにとっては予想外だったようだ。


「あのお~リリィさんや、大丈夫?」

「・・・・・初めて会いました。あなたみたいな人。」

「んん?」

「いやその、優しい人は私の周りにもいるのです。心許せるものにも恵まれている自負はあります。ただ、出会ってばかりの、しかも、素性の知れない、自分だって生きるか死ぬかの時に即答で人を助けることを選ぶ人は初めてで・・・驚きました。」


リリィは心底感心しているようで、まるで初めての観光地にて、絶景を眺めるが如く。

ただでさえ煌びやかな目は、さらに輝きを増していると錯覚するほどであった。


「あんま難しいことはわからんけど、褒められてるってことにしとくよ。へへっ」


なんか嬉しいな。

こうやって褒められるのがすごい特別に感じる。

無意識だったけど日頃の行いの賜物だなこりゃ。


「ええ、そうしてくださいな。・・・では、話を戻しますね。跡目争いのことと、ここにいる理由ですけれど・・・。」


そうして、俺とリリィの関係は続く。

片や命を狙われ、片や記憶喪失。

様々なことを話合い、中を深めていく。

こんな始まりではあるが、これからの冒険にとって必要なものであるということが分かるのは、

まだ、もう少し先の話である。











朝食を済ませ、出立してから早2時間。

森林地帯を抜け、稲穂が広がる平原までの脱出に成功した。


「やっと森を抜けたよ~。ふいー疲れた~。」

「お疲れさまでした。・・・少し休憩しましょうか。」

「さ~んせ~い・・・ぐでー」


俺はその場に横になり、まるで日向ぼっこをするかの如く力を抜いた。

非日常的な体験を繰り返して、感覚と余裕がなかった昨日までの俺とは違う。

だいぶ適応できているようだ、この状況に。


「・・・・・うん」


すっかり忘れていたことを聞かねばならない。

というかそれをまず聞かねばならなかったのに。


「そういえばさ、あの炎と言い、ゴブリン?といい、アレっていったいなんなの?」

「はい?」


リリィがそう言って首をかしげる。

まるで何をいまさら?な感じだ。


「いやだから昨日出してたじゃん手から。てか、あんな生物も見たことないのよな俺。」

「・・・えーっとぉ?もしや魔法をご存じでないのですか?」

「え?いや魔法って・・・何言ってるんだリリィ?そんなのあるわけないじゃん。二次元じゃあるまいし。」

「二次・・元・・・?・・・えっとお、ゴブリンは知っているのですよね?」

「あれやっぱりゴブリンっていうの!?マジか。すげえな・・・ってことは新種の生物の発見になるのか?日本で聞いたことないしな~。」

「日・・本?なんですかそれは??」

「・・・・ううん?」


なんか話が噛み合わないぞ?

リリィの顔が困惑を表しているのがわかる。

頭の中は?でいっぱいのようだ。


「いや、日本を知らないの?じゃあアメリカは?ロシアは?」

「アメ・・・ロシ・・・?」

「マジか・・・」


生きてれば一度は名前を耳にするであろうに、それを知らない?

俺がいる場所は現代文明から離れた場所なのか?

恐る恐る俺は質問する。


「な、なあリリィ?ちなみにここはなんて国なんだ?」

「え・・・?なにを言っているのですか?ここは大陸一の大国・・「アザール」ですよ?」

「・・・・あざ、え?」


なんだその国!?聞いたことないぞ??


「ちなみに、今目指しているのがアザール国の首都、「アーク」です。もう少し進んだ先に見えてきますよ?」


そう言いながらリリィは向かう先を指さした。

稲穂の平原の向こう側、少し離れた先。

俺は飛び上がり駆け足で向かった。

あ!待ってください!!というリリィの静止を振り切り、

向かった先は崖になっていた。


「なん・・・・だ・・・・これ・・・」


言葉を失いかけた。

なぜなら俺はこの光景を知らない。

学校で教わるものではない。

一般知識は「なぜか」覚えているのにその中に「コレ」はない。

俺は崖から先の景色を一望し、覚悟した。

ここは、俺の知る場所、否、

「世界ではない」のだとーーーーー!




城のある大きな街の遥か彼方

空飛ぶ巨大な竜を見ることになるのだから。






「ああ、あれは渡竜ですね。そういえばもうそんな季節でしたね。普段は温厚でのんびりした可愛い竜なんですよ?」


リリィは穏やかな声で話す。


「・・・・・・・・・」


俺は思考を止めていた。

そしてすぐ回した。

白き世界、黒い穴、森林の洞窟で目覚めた俺、魔法を使うという少女とゴブリン、

極めつけは城と竜。

これらのすべてに説明をつけるのであれば可能性は一つしかないーー!!??





「「異世界」・・・か?もしかして・・・!?」




誰かが言った。

人が想像できるたいていの事は

実現可能であると。

だがこれはそんな段階の話ではない。

これからの俺に降りかかる問題を考えた時、

俺は膝から崩れ落ちた。





皆さまこんにちは。Jです。

はい、導入はこんな感じになります。いかがだったでしょうか。

ここからは主人公が異世界についての基本や常識を学び始める展開を書こうと考えてますが、その都合で少し話の展開が遅くなるかもしれません。

まあ私自身が戦闘描写大好き人間なので、出来ればそこも入れていきたいですね。

リリィの人格としてはかなりお人よしに、そして反するように敵に対しては冷酷なものであるとだけ言っておきます。

これから出てくるキャラも個性あふれるキャラを掛けるように意識します。

どうか心待ちにしてくださいませ。

それでは本日はここまでとさせていただきます。

また次のお話でお会いしましょう。

またね!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ