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Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか  作者: JHST
第十一章 魔王の戦い
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⑨無限の想像から生まれていく無双

「さぁて、お次は足元にある物でも使わせてもらおうか」

 魔王、超能力、物語において、石を扱う者は主役でなくとも数多く存在する。

 相田は両手を広げて地面へと向ける。そして、ナイフを操る技(ジャックリッパ—)を基本形に想像力に具体性をもたせていくと、小石が小さく振動し始め、一つまた一つと腰まで浮かび始めた。

「くっ!」

 操る数の多さに、相田の額には血管が浮かび上がる。

 僅かに頭痛も始まった。

「集中………集中だ」

 自身の中で、雨とは真逆の現象を想像し続ける。

 ついに周囲に漂う小石は数百を超え、地面に対して水平に浮かんでいた。

「いけ! ストーンクレイモア!」

 実在する近代兵器と魔法の融合を果たした言葉を吐き、相田は空へと指を突き向ける。同時に小石は指先に向かって水平に飛ぶ無数の礫と化して、空の敵へと目がけていった。


 魔物達は自身の落下速度と、石の速度との相乗効果によって体に穴を開けていき、赤い雨と命果てた肉塊や石片となって地面に落下していく。辛うじて生き残った者や回避できた者も、まばらとなった数と鈍化した動きではフォーネの恰好の餌食となり、地面に近い順から程良く殴られ、蹴られ、次々と打ち落とされていった。

 中央広場の至る所で積まれていく魔物の死骸。石畳は赤く染まり、肉片は雪のように落下していく。まさに地獄が再現されていくようだった。

 その中心に、相田とフォーネは息を整えながら立っている。

 怪物達の元はこの街の住民である。それを躊躇なく手にかけていく相田の心に、罪悪感が汚泥の入った桶をひっくり返すように常に襲って来るが、それでも手を緩めなかった。

 

―――もう、迷わない。迷えない。迷う訳にはいかない。

 相田はその言葉を前面に掲げ、それ以上深く考える事を止めていた。

 迷えば、背中を守ってくれているフォーネを殺してしまう。相田にとって、最も恐ろしい事は、住民達だった命を刈り取る事よりも、ただ一人の弟子を失う事だった。


 足元の石材を使い果たし、空に向かう礫の数が一気に衰える。

 その隙を待っていたのか、地表と空から同時に怪物達が迫って来た。

「その程度かぁぁっ!」

 想定していた相田は、素早く腰を屈めて両手を地面に付ける。

 すると、相田達を中心に十六方位の巨大な刃が地面から生え、地表と空から迫ってきた怪物達を切断していった。さらに刃はそのまま直線状へと放たれ、後続の怪物達をも巻き込んだ。

 格闘ゲームにおいて、不用意に飛び跳ねて近付こうとした者に放たれる技である。

 怪物の数は一度に数十体は襲ってくるが、相田の大技でその九割を殺し、零れた残りをフォーネが各個撃破する。

 二人に触れられる存在は皆無であった。

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