⑧猛攻
大通りの四方を埋め尽くした怪物達が堰を切ったように走り込み、広がりながら二人に襲い掛かる。
「まずは御挨拶!」
相田は足元に置いてあった火縄銃を両手に持つと、それを左右直線状になるように広げ、東西の大通りに向けた。
脳内の興奮は十分。
体も温まり、眼圧が高まっていくのを相田は自分自身で感じる。だが腰から下は体温が奪われていくように冷えていく。まるで恐怖と冷静が共存し、興奮と自信が体温の二極化をつくり出していたようだった。
想像するは二丁の大型光学ライフルをもつ機動兵器。既に相田は人間以外の存在の技をも応用できると考えと自身をもっていた。
相田が引き金を引くと、銃口から銃身よりも遥かに太い熱線が放たれる。それはホーリークロスにも劣らない程の威力をもって大通りをくり抜いた。
「どうだ? 死ぬ程痛いだろう?」
痛みを感じるどころか、数百の怪物達が大通りとそれに面した建造物と共に消失する。
だが同時に、相田が持っていた火縄銃は、自身の熱で銃身が溶け落ち、一発で使い物にならなくなった。
「残念。ここから回転を決めるつもりだったんだが………」
あり得ない光景を見せつけられても、南北から攻めてきた怪物達の勢いは一向に落ちる気配がない。だが相田は動揺する事なく、すぐに新しい銃を拾い上げると南北に向かって熱線を放った。
「これで四丁目………残り二丁」
溶け落ちた火縄銃を放り投げ、相田は第一陣の迎撃に成功する。
「ししょー! 上から!」
空からは石の怪物であるガーゴイル、そしてカデリア王国の兵士の成れの果てとなった竜牙兵の魔物が急降下してきた。
「こぼれた奴は任せるぞ、フォーネ」
道なりに進む敵とは異なり、空一杯に散開している敵は、直線的な技で防ぎきれない。相田は脳内の発想を切り替え、面や手数で押し切る方法へと想像力を傾ける。
そして、ふと自分の足元に石畳の破片が無数に落ちている事に目が留まった。




