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Lost12 優しき青年は、冷酷な魔の王になれるのか  作者: JHST
第十一章 魔王の戦い
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⑤メイドと主人

 相田は大魔王に視線を送る。

 その瞬間、大魔王は足元に巨大な魔法陣を展開させると空間を歪め、王の間に繋がるかのような二枚の扉を生み出した。そして大魔王の口から、それぞれ東の王国騎士団、南の魔王軍と合流できる扉だと説明を受ける。

「それと、だ」

 大魔王が相田に顔を向けた。

「この街から西に向かった街道、そこからやや外れた平原に転移用の魔方陣を敷いておいた。貴様ならば気付けるようにしてある。そして貴様が触れれば、余も気付けるようにしておいた」

「………十分だ。ありがとう」

「気にするな。ただの契約にすぎない」

 だが、と大魔王が何かに気付く。

「ありがとう、か。貴様からの謝辞は三度目だが………同じ人間相手でも、言葉が異なると、受け取り方も異なるのだな」

 大魔王の無機質な感想に、相田は小さく肩を何度か揺らす。

「感謝の言葉は、まだまだあるぞ? そんな事で一々満足してたらキリがない」

「そうか、それは楽しみだ」

 大魔王と相田が言葉を交わしている間に、一人また一人と、動ける者が動けない者達を抱えながら扉の中へと入っていく。


「相田君」

 ロデリウスがリコルを担ぎながら近付いて来る。

「別に最後の別れじゃねぇんだ。さっさと行きな。帰ったら、まぁお前の驕りだからな」

「分かった分かった。女王陛下にも伝えて、予算をこれでもかって程に奪ってくるさ」

 犬を払うように手を払い、相田はロデリウスを早々に扉へと押し込んだ。

 次にクレアが相田の視界に入る。

「クレア。この双子竜(馬鹿兄弟)が言うには、もう彼女の魂は返還されたらしい」

「そうみたいですわね」

 つい先程から、マキの呼吸と体温が戻っていたと彼女が話す。

「………次は負けませんわよ」

「そいつぁ、楽しみだ」

 軽口で返す相田に、クレアはふんと鼻を鳴らしてロデリウスと同じ扉を潜っていった。


「御主人様」

 コルティが複雑な表情で立ち止まる。

「すまん。結局俺はこういう事しかできない奴なんだよ。許してくれ」

 頭を掻き、相田は一生懸命に誤魔化してみる。

 それでも彼女は胸に手を当て、相田に微笑み返す選択をした。

「分かっています。だからこその御主人様なのです………ウィンフォスの都で帰りをお待ちしております」

 いつまでも。彼女はそう言うと隙を見て相田に近付き、相田の両頬に手を添えながら自分の唇を一瞬重ねた。


 そして時は動き出す。


「ちょ! お前!」

 一歩下がった相田の顔が一気に沸騰する。

「メイド長! あぁもう! それはずるいっすよ!」

「………いいな」

 残っていた親衛隊(バステト)達が一斉に唇を尖らせ、自分達もやらせろと不満を爆発させる。

 コルティは、自分の口元を隠しながら笑って見せた。

「先手必勝です。戻ったら今以上に()が増えそうだったので。あぁ、それと私の魔力の残りを注いでおきました。大怪我をした際、回復魔法が自動で発動するはずです」

「まったく。俺には回復の類が効かないの、知っているだろう?」

「さぁ、どうか分かりませんよ? それこど、御主人様の()()次第です」

 腰に手を当てて相田も呆れ顔で笑い返す。

 そして、隙を見てコルティを正面から抱きしめた。

「ひゃっ! ご、御主人様!?」

「おかえしだ。必ず帰るよ、コルティ」

「………はい」

 そして、コルティと不満げな親衛隊(バステト)達はロデリウス達とは異なる扉に入っていった。

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