17:カレーへの切望、オレの挑戦は続く!
「こいつには腕力も剣の腕もある! しかも回復魔法まで使いこなせる! 才能の宝庫のような奴だぞ!」
「ひ~ん! 姫ぇぇぇぇ! 怖かったです~!」
冒険者ギルドにヒルデくんを迎えに行くと、ガハハと笑いつつそうヒルデくんを絶賛するおっさんがいた。
相当しごかれたみたいで、ヒルデくんは泣きべそをかいている。
そんなヒルデくんとおっさんの温度差が、どうにもチグハグだ。
「それではヒルデくんにEランク資格を?」
「いやそれはない! こいつはメンタルが弱すぎる! もう少し鍛えてからだ!」
そうでしょうね・・・。
「こちらは今日の報酬の銅貨3枚になります・・・」
オレは受付に向かうと、薬草と引き換えに、その日の報酬を頂いた。
これまでの稼ぎが多すぎたせいか、その報酬はとても少なく感じた。
それでもこれを続けないと、オレの昇格への未来はない。
そう考えると、おっさんに気に入られたヒルデくんが、羨ましく感じて来る。
◇◇◇
「カレェェェェーッ!」
夕食を食べると、オレは再びカレーが欲しくなった。
ある意味もう発作のようなものだ。
カレー中毒だろうか?
「姫ぇぇぇ! 落ち着いてください! お顔が怖いですよ~!」
「ええ? そうか?」
そう言えば薬草採取の時にも、心当たりがある。
オレの顔はそんなに怖いだろうか?
そう思って自らの顔を見るために、周囲をあさる。
ここには窓ガラスもなく木戸なので、窓を見ても自らの顔を確認することは出来ない。
「仕方ない・・・課金アイテムを買うか・・・」
オレは再び課金ショップのハウジング用品のページを開き、その内容を確認した。
生活用品ならば、だいたいこのハウジング用品の中に含まれているのだ。
「【木製の手鏡:100p】・・・安。これに決めた」
オレは迷わず【木製の手鏡:100p】を購入した。
残り課金ポイント:11800p
そして自らの顔を確認する。
「いつもの可愛いオレの顔じゃないか?」
すると可愛らしい銀髪幼女の顔が映し出された。
ちょっとジト目なのは気になるが、普通に怖くもなんともない顔だ。
ヒルデくんはそんなオレを見て、何とも言えない苦笑いをした。
いったい何だというのだろうか?
その日カレーに取り付かれたオレは、再び10連ガチャに挑戦することにした。
「ガチャ画面――オープン!!」
そして1回目のガチャの結果が・・・。
パパパパー♪
『宝箱の中身は・・・【妖刀不知火】でした。
【妖刀不知火】:人魂を宿した妖刀。揺らめく炎の刃が敵の防御をすり抜ける。攻撃力164:敏捷+60:防御ー20:気力を消費することで防御無視の炎刀となる。装備条件レベル60以上:筋力(STR)100以上:器用(DEX)190以上。』
うぉぉぉぉぉーっ!!
これは幸先が良い!!
【妖刀不知火】は妖怪シリーズ第一弾が出た時に、同時に販売された武器だ。
【妖刀不知火】は妖怪ハンター、エミコの相棒であるタマモの武器だった短刀だ。
他にもエミコの武器である【蓮の花】や、アクセサリーには【数珠】などもガチャアイテムとして実装されていた。
主に使い魔である妖怪を引き当てるのが目的のキャンペーンだったが、使い魔は滅多に出ないという極悪仕様になっていた。
金返せやごらぁ!
ちなみに妖怪シリーズ第一弾では【人魂くん】【トイレの花子さん】【一つ目小僧】の3妖怪が登場していた。
引き当てた奴が、どや顔で連れ回していたのを思い出す。
オレが今回引き当てた【妖刀不知火】は斥候専用の武器だが、ガチャの装備は滅多に出ない当たりでもある。
この調子で、今日こそ【ヤシの木カレー】を引き当てるぞ。
そして2回目の挑戦――。
『宝箱の中身は・・・【タコ焼き:20個】でした。』
チ~ン・・・
いや・・・タコ焼きさすがに出すぎだろ?
美味しいけど。
3回目の挑戦――。
『宝箱の中身は・・・【ソフトクリーム:20個】でした。
【ソフトクリーム】:魔力を微量に回復する。』
こいつはカレー食べた後のデザートに欲しかったな。
まあ後で食べるけど。
『宝箱の中身は・・・【蓮の花】でした。
【蓮の花】:見た目お花の杖。攻撃力50:魔威(MAT)+60:幸運(LUK)+70:神聖属性。闇耐性が上昇する。装備条件レベル1以上:筋力8:魔力40。』
こいつは低レベル杖だが、オレの筋力でも持てるのがありがたい。
まあ当たりと言うには程遠いな。
低レベルだし、なぜかよく出るし。
こいつも【妖刀不知火】同様に妖怪シリーズ第一弾の武器だ。
4回目の挑戦――
『宝箱の中身は・・・【ご飯:20個】でした。
【ご飯】:体力を微量に回復する。』
ご飯は青い縞々のお茶碗に入った状態で、描かれている。
ぜひカレーをかけて食べたい一品だ。
5回目の挑戦――
『宝箱の中身は・・・【蓮の花】でした。』
いや・・・【連の杖】2つもいらねえよ。
6回目の挑戦――
『宝箱の中身は・・・【板チョコレート:20個】でした。』
・・・。
7回目の挑戦――
『宝箱の中身は・・・【ベビーみかん:20個】でした。』
・・・・・・
・・・・
・・・
『マスター。ガチャへの挑戦はここらで諦めることを強く進言します。課金ポイントはマスターの生命線とも言える大切なものです。さすがに使いすぎでは?』
すると今まで黙っていたナビが、オレのガチャに対してケチを入れて来やがった。
はあ?
まだ7回しか挑戦していないのにか?
『マスター・・・本日のガチャへの挑戦は、現在20回目になります・・・』
はあ――!?
ちょっと待て!?
オレ、今日いつ20回もガチャに挑戦した!?
ガチャは1日10回までと定めていたはず・・・。
残り課金ポイント:5800p
はあ? 残り5800pって・・・。
確かにガチャ20回分の6000pが消費されとる。
ならその結果のログが残されているはず!
8回目・・・結果【ベビーみかん:20個】
9回目・・・結果【生姜焼きのタレ:20個】
10回目・・・結果【ニンジン:20個】
11回目・・・結果【ポテチ:20個】
12回目・・・結果【蓮の花】
13回目・・・結果【蓮の花】
14回目・・・結果【蓮の花】
15回目・・・結果【玉ねぎ:20個】
16回目・・・結果【コーラ:20個】
17回目・・・結果【じゃがいも:20個】
18回目・・・結果【板チョコレート:20個】
19回目・・・結果【タコ焼き:20個】
20回目・・・結果【蓮の花】
確かにそのログは残されていた・・・。
微妙にカレーの材料だけ混ざっとる!
あと【蓮の花】どんだけ出てんだ!!
『ご自分がガチャに挑戦した記憶すらないとは・・・本末転倒ですね?』
これはナビの言う通りかもしれない。
今後のガチャへの挑戦は、諦める他ないかもしれない。
だが・・・カレェェェェーは欲しいんだよ切実に!
ポイントさえあれば!
魔石さえ大量に手に入れば、再びガチャに挑戦できるというのに!!
オレはその夜も、ペン太を抱いて不貞寝する他なかった。
お読みくださりありがとうございます!
──本日の戦績──
【妖刀不知火】×1(神引き)
【蓮の花】×たくさん(嫌がらせ)
カレー×0(絶望)
記憶を失うタイプのガチャ中毒、一番危険なやつですね。
微妙にカレーの材料(ジャガイモ・玉ねぎ・人参)が集まっているあたり、物欲センサーがじわじわ効いていて作者もお気に入りです。
次回、そろそろ魔石集めに本気を出します(たぶん)。
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