15:薬草採取組、最年少のオレ
翌朝、オレは冒険者ギルドを目指していた。
Fランク冒険者の貴重な収入源、薬草採取の依頼を受けるためだ。
胸元には、昨夜ガチャで引き当てた【虎猫ブローチF】。
「にゃ~!」
実物には留め金もピンもないが、胸に当てると磁石のように吸着した。
まさに謎技術だ。
これ、盗まれたりしないか?
『課金ブローチは本人以外外せない仕様です。盗難防止処置と思われます』
ナビの説明に安心する。
『【虎猫ブローチF】怪力を引き出すブローチ。稀に「にゃ~!」と鳴く。腕力+100 / 素早さ+30 / 魔力+20。※精神状態による《バーサク化》に注意』
バーサク化は気になるが、今のところ変化はない。
それどころか体が軽い!
「姫ぇぇぇ!速いです!待ってくださいよ~!」
「ガァァァ!ガァァァ!」
あの鈍足だったオレが、今では誰よりも速く駆け抜けられる。
とても有難いブローチだ。
◇◇◇
「よし!全員揃ったな!」
初日の今日は、ギルド長バルタザールのおっさん自らのお出迎え。
薬草採取組の子供たちはすでに列を作っていた。
先頭には目つきの悪い少年。
リーダーだろうか。
後ろには取り巻きらしき、のっぽと太っちょの少年。
さらに10~12歳くらいの少年が6人ほど続く。
……どうやら女子は、オレだけのようだ。
「最年少のヨッシーは列の最後に並んでくれ」
オレは子供たちの最後列に並ぶ。
よばれなかったヒルデくんは困惑顔だ。
「ガァァァ! ガァァァ!」
指示がなかったペン太も、抗議の声を上げる。
「ああ? お前は使い魔だろ? ヨッシーの隣にでも控えていろ!」
ペン太は、オレの右後ろに陣取った。
「全員、リーダーのガジルの言うことをよく聞けよ!」
先頭の目つきの悪い少年はガジルというらしい。
と、そこでおっさんが、オレの後ろに並ぼうとしたヒルデを引き留めた。
「ヒルデ!お前は残れ!剣の腕を見てやる!」
「えぇぇぇ!姫ぇぇぇ!」
ヒルデをどう鍛えるか悩んでいたから、これは有難い。
「いい機会だ、鍛えてもらいなさい!」
「そんなぁぁ!」
ヒルデの絶望の声を背に、ガジルの合図でオレたちは城門へと出発した。
◇◇◇
「おいチビ!親が金持ちだからって威張るんじゃねえぞ!」
「このパーティーで一番偉いのは俺たちだからな!」
大人の目がなくなると、さっそく例ののっぽと太っちょが絡んできた。
どうやら金持ちと勘違いされたらしい。
地味な服なのに……使い魔のペン太か、ブローチのせいか?
「よせ!デブラ、ノービル! 列が遅れる!」
ガジルが二人を叱りつける。
太っちょがデブラ、のっぽがノービルか。
冗談みたいな名前の奴らだ。
「ふん!後で上下関係を叩き込んでやる!」
二人は悪態をつきながら列に戻っていった。
◇◇◇
森に到着し、各自薬草採取が始まる。
この薬草採取のやり方は、ラノベによって違ったりする。
主に根を残して採取するか、根を残さないかだ。
その理由は様々だが、ここのルールは前者になる。
なんでも根を残しておくと、そこから薬草がまた生えて来るらしい。
そして採取にも制限があり、1日30本までと定められている。
乱獲を防ぐためだそうだが、他にも理由がありそうだ。
まあ、その理由にオレは興味はないがな。
30本は少なく見えるが、薬草は点在していて見つけるのが一苦労だ。
「あった!」
ようやく1本目。
上を持ち、根元を切る。
作業自体は簡単だが、探すのが本当に大変だ。
「ガァァァ! ガァァァ!」
不意にペン太が鳴き声を上げた。
視線の先では、さっきの悪ガキ2人がこちらへ近づいてきている。
……何か仕掛けてくる気か、あいつら?
ご覧いただきありがとうございます。
謎技術の「虎猫ブローチF」、完全にチート性能ですが、説明書の『バーサク化』の文字がフラグにしか見えません。
そして、置いていかれたヒルデくんの命運やいかに……。
次回「16話ガジルと、悪ガキたち」お楽しみに!
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