↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

30/36

13:オレ、10連ガチャに挑戦する(後編)

 カレー……それは至高の食べ物だ。

 数種類もの香辛料をブレンドした、こだわりの料理。

 オレはあの前世で食べたカレーの味が忘れられない。

 とくに今回狙っている【ヤシの木カレー】は、20種類以上もの香辛料をブレンドした一品だ。

 なんとしても、あの【ヤシの木カレー】を引き当てたい。


 だが、ガチャの残り挑戦回数はあと5回。

 10回までと決めたのは、この異世界を生き抜くために自分で設けた厳しい掟。

 なんとしても守らねばならない。

 オレは意を決し、6回目の【GO!】ボタンをタップした。


 残り課金ポイント:12800p


 パパパパ~♪


 『宝箱の中身は……【コーヒー20個】でした』

 【コーヒー】:《睡眠》のステータス異常を解除する。


 チ~ン……


「目が覚めちまうよ! 明朝いただくよこのやろう!」


 早くも明朝飲むコーヒーに思いを馳せる。

 豊かな香りと味わい、そしてリラックスできる深いコク。

 コーヒーは最高だ。


 画面に描かれたカップは、某有名企業のインスタントコーヒーの絵柄。

 ご丁寧にも砂糖とミルク、小さなプラスチックスプーンがおまけに付く仕様らしい。


「次こそは……!」


 オレはじゃんけんのポーズで両手をクロスさせ、念入りにこねくり回す。


「当たれ~! 当たれ~!」


 これでオレの運気はアップした……に違いない。

 ところが、この先の結果は惨憺たるものだった。



 ◇◇◇



【7回目】


 残り課金ポイント:12500p


『宝箱の中身は……【ロールパン20個】でした』

【ロールパン】:体力を微弱に回復する。


 チ~ン……

「ちゃくちゃくと朝ご飯の用意が整っていくよ!」


 中はふわっと、生地はしっとりもっちりとした優しい口当たりのパン。

 いや、美味そうだけどさ。


【8回目】


 残り課金ポイント:12200p


『宝箱の中身は……【コーラ20個】でした』

【コーラ】:魔力を微弱に回復する。


 チ~ン……。

「久々のコーラだ! コーラにはポテチだよな!」


 強い炭酸による爽快なのどごし。

 口いっぱいに広がる濃厚な甘みと、独特のスパイス感。


「けぷっ! コーラは最高だぜ!」


 これを飲んでしまうと、やはりポテチが欲しくなる。

 次はぜひともポテチを引き当てたい――。


【9回目】


 残り課金ポイント:11900p


『宝箱の中身は……【ポテチ20個】でした』

【ポテチ】:体力を微弱に回復する。


「ポテチ出たァァァァーッ!」


 この塩加減、サクサクとした心地よい食感! ポテチは美味い!

 ――ってか、今回の目的はこれじゃねえ!

 ヤシの木カレーだ!!


【10回目】


 残り課金ポイント:11600p


 当たれ、ヤシの木カレー!

 これが最後の正直だ!


 パパパパ~♪


『宝箱の中身は……【虎猫ブローチF】でした』

【虎猫ブローチF】:怪力を引き出すブローチ。稀に「にゃ〜!」と鳴く。筋力(STR)+100、素早さ(AGL)+30、魔力(MP)+20……。


「ぎゃあァァァァァァァーッ!」


 魔術師なら戦士並みの腕力になり、戦士ならさらなる超パワーを得られるチートアクセサリー。

 ガチャなら大当たりの、本命中の本命アイテムだ。

 だが、まさかこんな時に……最高レアが出ちまうなんて……。

 これが最後の挑戦。

 もう今日はガチャを回せない。


「カレー……ヤシの木カレーよぉ……なぜ出ねえんだよ」


 嬉しいやら悲しいやらで、涙と鼻水が入り混じる。


「うおぉぉぉぉぉ~ん!! おいおいおい!!」

バタンーッ!!

「姫ぇぇぇぇーっ!! 何事ですか!?」


 あまりのうるささに、隣室からヒルデくんが乱入してくる始末。

 オレの10連ガチャは、なんとも言えない結果に終わった。

 悔しさのあまり、オレはペン太を抱いたまま不貞寝するしかなかった。

 えぐえぐ。



 ◇◇◇



「お母さんが夜は静かにしなさいって!!」


 翌朝。見知らぬ少女の声で目が覚めた。

 部屋に乱入してきたのは、8歳くらいのくりくりお目目の可愛い少女。

 オレより頭半分くらい背が高い。

 この部屋、鍵がかかっていたはずだが?


「鍵はボクが開けました」


 ひょっこり顔を出したヒルデくん。

 ちょっとご立腹気味だ。オレに苦情を言ってもらうために手引きしたらしい。


「それはすまなかったな……」


 夜の騒音は明確な迷惑行為。

 オレは二人に素直に謝罪した。


「オレはヨッシーってんだが……君は誰だい?」

「メルだよ! この宿の娘なの!」


 昨日は見かけなかったが、末っ子なのだろうか。


「今から我々は朝食なんだ。悪いがその……」


 出ていってくれると助かる。

 そう遠回しに伝えたが、メルは首をかしげるばかりで動く気配がない。

 幼いから察しが悪いのだろうか。

 この宿では朝食が出ないため、各自で用意する必要がある。

 オレがガチャで引いた朝食セットを並べようとした、その時。


 ぐぅぅぅ~……


 メルの小さなお腹が、盛大に鳴り響いた。


「メルの家、貧乏だからちゃんとした朝食はないの……」


 それを聞いたオレは、いたたまれなくなってしまった。

 この宿が貧乏?

 確かにボロボロだが、朝食を抜くほど困窮しているのか。


「……じゃあ、朝食を一緒にどうだ?」

「うん! メルも食べる!」


 つい、勢いで誘ってしまった。

 勝手に朝食に誘ってしまって、後で女将さんに怒られないだろうか。

 まあ、誘ってしまったものは仕方がない。

 こうしてオレは、小さなお客さんであるメルを、賑やかな朝食に招待したのだった。


 10連ガチャ、ここに完結。

 物欲センサーの完全勝利により、狙いのカレーはかすりもしませんでした。

 代わりに、まさかのチート級大当たり(虎猫ブローチ)と、完璧な朝食フルセットが完成。

 そして夜騒ぎすぎた結果、可愛い乱入者・メルちゃんを朝食に巻き込むことに……。

 ガチャの戦利品(ポテチ、コーラ、ロールパン)を前に、どんな朝食タイムが始まるのか?

 次回、14話「小さなお客さんと優雅な朝ご飯」。

 お楽しみに!。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。