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死後生活―アフターデッド・ライフ―  作者: 黒肯倫理教団
第六章

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73話 対面

 大きな扉がある。豪華な装飾が施され、これひとつあれば、一生暮らしていけるのではないか。芸術的、財産的に見積もったとして、この大きな扉の価値を測ることは難しいだろう。

 中からは、先程とは比べ物にならないほど、強烈な殺気を感じる。いや、殺気とは少し違う。しかし、誰も感じたことのないこの感覚は、敵が人間ではなく創造主であるということを思い知らされる。

 まだ姿も見ていないのに、気圧されていてどうする。気合いを入れ直した優斗は、扉に手をかけた。

 鈍い音を響かせながら、扉はゆっくりと開いていった。

 「これは……?」

 中にあったのは、果ての無い暗闇だった。壁があるわけでもなく、宙に浮いているかのように、その部屋は成立していた。

 一歩踏み出す。ガラスのような、透明な足場が広がっている。シンプルながら、いかにもラスボス、といった感じの部屋だ。

 皆が入ると、扉は消え去った。後戻りは出来ない、ということか。

 前方を見据えると、そこには男がいた。黒いローブに身を包んでいる。見た目は二十歳を過ぎたくらいだろうか、創造主は椅子に腰掛け、不適な笑みを浮かべる。

 「ようこそ、創造物諸君。それと、不純物」

 ニヤリと笑い、こちらを揶揄するように言う。皆が怒りの色を見せるが、創造主は気にする素振りを見せず、こちらを見据える。

 見つめられただけで、体が硬直してしまう。冷酷に、こちらを汚物としか見ていないように、創造主はその目を細めた。

 「君たちが来たのは、俺を殺すためだろう? それ以外に、あの世界を救う方法はない」

 さあ来いと言わんばかりに、創造主はこちらを煽る。

 「なあ」

 優斗が口を開く。

 「あんたは何で、こんなことをするんだ?」

 唯一、この問いだけが、創造主と交わす会話だろう。

 「んー、そうだな。教えてやろう」

 創造主は、多少考える素振りを見せてから答えた。

 「簡単に言えば、暇潰しだ」

 「そんな不条理な!」

 「そう、不条理。だけど、それも俺なら許されるんだよ。何故かわかるか?」

 そんな不条理な事が許される理由など、あってはならない。暇潰しなどという理由で、命を奪ってはならない。

 創造主は不適に笑う。

 「簡単なことだ。俺が、世界の創造主だからだ」

 「世迷い言を!」

 「そうだ、世迷い言だ。しかし、それも創造主は許されるんだよ」

 完全に狂っているのか? そんなことを根拠に、こんなことをするのか?

 「お前たちは、何か勘違いしていないか?」

 「勘違い? 何をだ」

 創造主は、少し間を置いてから話し出した。

 「例えばの話だ。君たち人間は、ゲームをやるだろう? 結末が既に決まっている物語を、キャラクターが演じる」

 「それが、何だと言うんだ?」

 「そのゲームを作ったのは誰だ? ゲーム会社だろう。 ならば、この世界がゲームだとして、君たちは何だ?」

 創造主は不適に笑う。

 この世界がゲームだとして、俺たちが物語を演じるキャラクターだというのか? すべての行動に台本があって、今、俺たちは無意識の内に演じているだけだと、そう言いたいのか?

 「困惑するのも無理はない。そうなるように、俺がプログラミングしたのだからね」

 この思考すら、創造主は虚構だと言い放った。だとすれば、今、創造主と戦ったとして、勝ち目はないのでは? 嫌な思考が、頭から離れようとしない。

 「つまりは、そう言うことだ。死守護者(デッドガーディアンズ)諸君は、諦めることだね」

 「何を言っているのかな?」

 そう言ったのは、剛力だった。彼は一歩前に出る。そして、創造主に反駁するように、話し始めた。

 「随分と粗末なゲームを作ったものだ。バグだらけじゃないかな? 異世界から人が入ってきた時点で、君は、世界の制御が出来なくなったことに気づいた筈だ」

 そして、剛力は核心をつくように言う。

 「今の君では、私たちに干渉できない」

 創造主が絶句する。図星だったのだろう、予期せぬ事態に狼狽の色を見せる。

 剛力の言う通りだった。少しでも違うものが混じれば、もともとあったものとは全く違うものになってしまう。

 剛力は最初から、それに気づいていたのだろう。狼狽える創造主を嘲笑するように、剛力は笑みを浮かべた。

 「サラディンとアイカ君は後方支援を、優斗君と奏君は私と共に前衛を頼むよ。浩介くんは、オールマイティに動いてくれ」

 「「「「「了解!」」」」」

 全員の声が重なり、各自が戦闘体勢に入った。


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