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死後生活―アフターデッド・ライフ―  作者: 黒肯倫理教団
第六章

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74話 最終戦闘

 「創造物共が! 調子に乗るなよ!」

 創造主が黒いローブを脱ぎ捨てる。刹那、創造主から発せられる殺気が高まった。

 「創造主の力を見せてやろう!」

 背中から大きな紅い翼を生やし、体は漆黒の鎧に覆われる。こちらの命を喰らおうと言わんばかりの、赤黒い薙刀が現れた。

 黒いマントを翻し、創造主はこちらに刃を向けた。

 「貴様等の存在全てを無に還してやろう!」

 先程までの口調から一変し、乱暴な口調に変わった。表情は仮面に覆われて見えないが、相当、怒りで歪んでいるに違いない。

 「雷鳴鎧(ライトニングアイギス)!」

 体から大量の雷を放出し、それを纏う。エレクトリックバングルの性質変化もあって、雷は完全なる鎧へと変貌した。

 同時にエレクトリックバングルに雷を流し込み、雷剣を生成する。さらに、周囲には無数の雷爆を作り出した。

 「装甲変化(ギアチェンジ)――焔(フレアー)!」

 奏が装甲変化を発動する。赤い髪はさらに鮮やかさを増し、圧倒的な美しさを見せつける。

 背中から焔を吹き出させ、羽を形成した。

 「行くぞ!」

 合図と共に、雷爆を一斉掃射する。創造主はかわす素振りを見せず、そのまま受け止めて見せた。

 それに怯まず、剛力が衝撃波を放ち、奏が炎柱を発生させる。しかし、それをも容易く受け止めて見せた。

 「なぜだ!」

 「バカなやつらだ。創造主たる俺に、そんな攻撃が通じるとでも思ったのか?」

 創造主の姿が消えたかと思うと、背後に現れた。

 即座に反応して斬りつけるが、雷剣は空を切るだけだった。直後、強烈な重力によって床に押さえつけられた。

 「つまらんなあ。もっと足掻いてくれよ」

 創造主は不適に笑う。圧倒的実力差に、手も足も出なかった。一矢報いることすら叶わないとは、創造主の実力は本物だろう。

 しかし、創造主はその力に陶酔し、戦いを遊びのように感じている。油断しているのだから、狙わないわけがない。

 問題は、どうやって攻撃するかだ。普通に当てたとして、創造主には大したダメージにもならない。

 圧倒的な実力差は、今すぐに埋めることは出来ないだろう。せめて、何か手があればいいのだが、如何せん方法が浮かばない。

 いや、無くはない。しかし、それをやってしまえば後がなくなる。使うべきタイミングがあるはずだ。

 先ほどは一瞬の内にやられてしまった。しかし、ダメージをあまり負っていない状態で押さえつけられているのだ。隙さえあれば、この状況を十二分に打破できるだろう。

 『優斗君、聞こえるかい?』

 不意に、頭のなかでサラディンの声が響いた。彼の能力の念話(テレパシー)だ。

 「何だ?」

 『京也君たちが敵を倒した』

 京也たちが倒したならば、すぐこちらに向かってくるだろう。「どれくらいで来るか?」と訪ねるが、サラディンは「増援には来ない」と言った。

 『どうやら、魂の解放を使ったらしい。京也君曰く、あれは消滅ではなく成仏だと、そう言っていた』

 「魂の解放か……」

 確かに、この状況を打破できるかもしれない。しかし、問題がひとつだけあった。

――消えるのは怖い。

 当然の感情だった。消滅だろうと成仏だろうと、消えることには変わりない。そんな恐怖を、優斗は耐えられないと思っていた。

 創造主は笑いながら、仲間たちに危害を加える。ここまで来て、負けるわけにはいかない。はずなのに、勇気が出なかった。

 そんな自分に嫌悪感を抱くが、体は動こうとしなかった。

 それを察したのか、奏が念話(テレパシー)に入り込む。

 『優斗』

 優しい声で語りかける。それは暖かく、晴れた日に草原に寝転がるような、そんな心地よさがあった。

 『大丈夫だから。私もいる。みんなもいる。だから、恐れちゃ駄目だよ』

 その言葉にはっとする。そうだ、怖いのは皆同じだ。一人だけ躊躇しているわけにはいかない。

 「そう……だよな。ああ、そうだ」

 優斗は、自分に言い聞かせるように何度も呟く。

 「「「「「魂の解放!」」」」」

 皆が同時に声を上げる。同時に、先ほどまで感じていた強烈な重力が嘘だったかのように、体がとても軽く感じる。

 体がゆっくりと透け始めるが、今は怖いとは感じなかった。仲間がいるのだ、怖いわけがない。

 創造主は、こちらが魂の解放をすることを畏怖していたのだろう。若干だが、後ずさった。

 「さあ、最高のエンディングを作ろうか」




 創造主を見据える。先ほどまでは放っていた殺気が痛いほどだったが、今は多少の緊張感にしかならない。

 身を包む雷鳴鎧(ライトニングアイギス)は、さらに輝きを増して、創造主に勝るとも劣らない輝きを放っている。

 優斗の横に立つ奏は、太陽の如く紅く輝いていた。このまま眺めていたくなるが、今は時間がない。

 剛力が一気に飛び出していく。衝撃波を手に伝わせ、大きく振動させながら叩きつけた。

 「がはっ!」

 創造主は苦しそうに息を吐き出す。明らかに効いていた。

 「舐めるな!」

 大きな薙刀を振るうと、その軌跡には赤い刃が現れ、こちらに飛んできた。

 「絶対防御結界(エクストラアイギス)!」

 刹那、視界一杯に黄色い半透明の結界が現れた。創造主の放った刃を、容易く受け止めている。

 攻撃が止むと同時に、奏が飛び出していく。背中に生えた翼が、より大きく広げられた。

 「紅翼波(クリムゾンウェーブ)!」

 大きく広げられた翼から、熱風が放たれる。死角がないため、創造主は否応なく防御を選んだ。

 「ぐ……」

 身を焼き付くされるような熱さだったが、創造主は耐えて見せた。しかし、こちらの攻撃はまだ終わらない。

 防御を解除した創造主の真上には、既に雷が仕組んであった。

 「天より落ちて」

 雷が上から降り注ぎ、

 「地より突きだし」

 下から突き出して、

 「周囲を囲む雷鳴の使徒」

 創造主の周囲には、無数の雷爆が発生する。

 「奥義、天地雷鳴(あまちらいめい)!」

 瞬間、雷爆が同時に創造主に飛来する。大きな破裂音が空間を震わせ、その音の中心には何も残らない。完全に消え去っていた。

 「勝った……」

 体の震えを感じる。自分たちは確実に勝利した。今度こそ、なんの違和感も残らない、完全なエンディングだった。


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