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死後生活―アフターデッド・ライフ―  作者: 黒肯倫理教団
第三章

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41話 成果

戦闘能力が大幅に上がっていますね。

そろそろ話が動き出します。

 剛力の言う秘技は、自分の持つ技の応用のようなものだ。生前に描いた理想の技は以外は使えないが、技と技を組み合わせることによってより強力な技を発動できる。

 「さあ、私に君たちの成果を見せてくれ」 剛力はこちらを見据えながら言う。圧倒的な力を持つ彼だが、未だに彼の本気を見たことがない。豪快に衝撃波を放つ能力は強力だが、彼はさらに上の能力を隠しているはずだ。その表情からは余裕そうに笑みを浮かべている。

 しかし、その彼を倒さなければいけない。剛力を超えられなければ、イーターを操る男に勝つことは到底無理だろう。優斗は精神を集中させる。体内を巡る雷の流れが感じ取れる。体内を巡る雷が速度を上げる度、優斗の体から雷が唸りを上げながら放出される。その雷は体の表面を覆いつくし、鎧を形作るこの秘技は――

 「――雷鳴の鎧(ライトニングアイギス)!」

 体に纏う光の鎧は、雷を放出させて輝く。雷によって形成された翼は、今にも飛び立つと言わんばかりに広がっている。横に立つ京也も秘技を発動する。

 体から闇を放出させるとそれを纏う。しだいに闇は形を形成していき、ローブを纏った。黒光りするそれは、まさに彼が望んだ死神の姿そのものだ。手には大きな鎌が握られており、その見た目は誰もが恐怖するだろう。

 「なるほど。君たちの秘技は装備生成による身体能力の強化のようだね」

 剛力は満足そうに頷くと、拳を上段に構える。直後、目の前に現れた剛力が拳を振り下ろした。優斗はそれを左腕で受け止めると、雷を一気に流し込む。それにより怯み、剛力に隙ができた。優斗は右足を大きく回して剛力を蹴り上げた。

 剛力が空中で体勢を立て直すと、今度は下から京也が攻撃を仕掛ける。空中で自由が利かなくなった剛力に、闇で生成した無数の剣を飛ばす。剛力がそれを弾き終えると同時に、後ろに現れた京也が鎌を振り下ろす。

 「そう来るか。ならば……」

 剛力は身を翻してかわすと、一気に地面へと降りる。瞬間、地面に魔方陣のようなものが広がる。赤い光を放つ魔方陣は、剛力に力を注ぎ込む。筋肉がさらに強靭になり、手は常に衝撃波を纏っている。これが彼の全力なのだろう。

 「いくぞ!」

 剛力が視界から消えたかと思うと、いつの間にか体が宙を舞っていた。無防備になった、何発もの衝撃波が撃ち込まれる。鎧でダメージを軽減してはいるが、それでも動けないくらいの激痛が走る。ダメージを受けた部分に雷を送って痛覚を麻痺させると、再び攻撃を仕掛ける。

 この世界での強さは理想の強さだ。強い理想を描けば描くほど強くなれるが、この世界に来てから描くのでは遅い。では、こちらの世界に来てから出来ることは何か。それは既に決まっている。信念の強さだ。この世界に限らず、それは生前の世界と変わらない。

 ならば、自分はどうか。咲を助けた今、何が残っているのか。今の自分に信念があるのか。当たり前だ。あるに決まっているだろう。この世界では理想が現実で再現される。もしも完全悪が存在しなかったならば、もしもイーターを操る存在がいなかったならば、この世界そのものは理想となる。戦いを求めるものもいるだろうが、このような悲惨な戦いを求めるものなどはほとんどいないだろう。

 やるべきことは決まっている。この理想世界を、真の理想にしなければならない。守るべき仲間もいる。だからこそ、たとえ敵がどんな理想を掲げようと戦う。その意思は変わらない。

 体内の雷を、限界まで速さを引き上げる。体内を巡る雷の速度が限界に達すると同時に、一気に体から放出させる。その雷を手足に纏い、最大限まで身体能力を高める。

 すべての雷を身体能力の向上に使ったことで、優斗に出来ることは接近せんだけとなった。しかし、雷の能力を最大限にまで引き出したこの戦い方は、相手が剛力であろうと通用するはずだ。

 一気に踏み込み、間合いを詰める。剛力はその意図を読み取ったのか、真正面から迎え撃とうと構える。先ずは右下から拳を叩き込む。剛力が身を守ろうと腕を出すが、その腕を弾き飛ばして拳を叩き込む。続いて回し蹴りをくらわせると、剛力が吹っ飛ぶ。その着地地点にいた京也が大鎌を振り上げ、剛力を上に弾き飛ばす。

 「――!」

 剛力が気がついたが、もう遅い。上から現れた優斗が拳を叩き付け、勝敗が決まった。




 数分後。気を失っていた剛力は目を覚ます。自分が負けたことを思いだし、苦笑いをする。当初、ここまで大きく成長するとは思っていなかった。自分でさえ数年かけて手に入れた戦闘能力を、彼らはこんなに短期間で掴んだのだ。

 しかし、まだまだ彼らは強くなるだろう。それを引き出しきれない自分の不甲斐なさを恥じると同時に、彼らに対する期待が高まる。どれほどの力を彼らは手に入れるのか、それを見届けたいが、恐らくは無理かもしれない。己の体が、今回の戦いで死ぬと予知している。あまり信じたくはないが、これもまた現実だろう。

 しかし、彼らは生きる。これは能力による予知ではなく、なんの根拠もない直感だが、剛力はそう考える。彼らならば必ずやイーターを操る存在を打ち倒してくれるだろうと信じているのだ。

 サラディンに修行が終了したとメッセージを送ると、すぐに返信が来た。

 『こちらの戦力も強化が完了しました』


次回から四章に入ります。

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