38話 満ちるフラグメント
ついに希望のフラグメントが完成します。
必死にイーターを倒し続けるが、数は減るどころか増えてきている。全速力で倒しても、新たに増援が現れる。
「くっ!」
焦りを露にするが、冷静さを保つようにする。少しずつだが、敵の増援のペースが落ちてきている。それは勘違いではなく、京也もそれに気がついているみたいだ。
「優斗。範囲技を頼めるか?」
「ああ、任せろ」
体から大量の雷を放出させ、それを一つ一つ剣のような形に変える。優斗は全神経を集中させるとそれを宙に舞うように操作する。
「雷術結界!」
周囲を舞う雷の剣は、唸りを上げながらイーターを殲滅していく。若干高ランクのイーターがやっぱり残るが、それは京也が片付けた。
再び増援が現れる。今度は数は少ないがかなりの大きさだ。その見た目はまるで巨大なタコだ。他のイーターと同様に、不気味な金属質だ。
優斗は雷術結界で放出させた雷を回収すると、エレクトリックバングルに雷を流し込む。手の先端からは雷が放出され、剣の形をかたどっている。
「京也は右から頼む。俺は左から攻めるから、まずは足を切り落とすぞ」
「わかった」
2人は大きく踏み込んで一気に飛び出す。左右から挟むように攻撃を仕掛けると、敵は足をうまく分けて攻撃してきた。
まずは上から足が振り下ろされる。横に飛び込んで回避すると、その足を長めに生成した雷剣で切り落とす。一本の足を切り落とすと、タコは怒り狂うように叫びを上げる。
続いて横凪ぎに足が振られると、「ゼログラビティ!」と言い、飛翔して回避する。自分の真下を足が通ると同時に雷剣を地面に突き立てると、遠心力を止められずにタコの足が切り落とされて飛んでいった。
こちらに割り振られた足は後2本だ。数が少なくなったことで、対応も楽になる。残りの足を切り落とすと、タコの動きが止まる。京也は動けなくなったタコに止めを刺すと辺りを見回す。
「あらかた片付いたな。残りは俺がどうにかする。お前はその女を探せ」
京也は優斗に背を向けると拳に闇を宿す。ありがとうと言い残し、優斗は走り出した。
ひたすら走り続けていると、よく知る顔を見つけた。それは生前に毎日見ていた顔であり、わずかに違う。顔から生気を感じることはできない。無表情な、それでいてどこか悲しげな顔で何かを呟きながら歩いているが、小さすぎて聞き取れない。
ナビを操作して希望のフラグメントを取り出す。先ほどの戦いで器が貯まったのか、カードのようなそれは黄色い光を帯びている。
どうやら咲はどこかへ向かう途中らしい。ふらつきながらも、ゆっくりと歩みを進めている。優斗は周囲を警戒しつつ、それを見守る。
咲がここまで落ち込んでしまうことが悲しい反面、少しだけ嬉しくもある。確かに見ていると辛くなるが、それだけ自分のことを大切に思っていてくれたと、そう考えられるからだ。
思えば、長い間咲と過ごした。幼稚園の時に隣に咲が引っ越してくると、親同士の交流が多々あったので2人でよく遊んでいた。咲は面倒見がよく、優斗のことをいつも気にかけていた。高校に上がってもそれは変わらず、毎朝一緒に登校するくらいだ。こんな別れ方をするとは思わなかったが、咲だけでも助けられたことはよかったと思う。
少しして、何やら怪しげな場所にたどり着く。看板には「霊能者の館」と書いてあり、いかにも怪しげな雰囲気を醸し出している。
受付を終えてると、咲はそわそわと落ち着かない様子で待つ。ここを信じていいのかはわからない。どちらかというと期待はしていないが、商売としてやっている以上、咲が元気になるようなことを言ってくれるだろう。
「お次の方はお入りください」
部屋の前に立つフードを被った女性に促され、部屋の中に入る。部屋の中にはいかにも霊能者といった感じの女性がいた。
次回の描写は力を入れなければ(汗)




