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死後生活―アフターデッド・ライフ―  作者: 黒肯倫理教団
第三章

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37話 焔

毎回タイトル名で悩みます~

今回は「焔」の一文字のために10分くらいかかってしまいました……

 強くなりたい。奏からそう告げられたサラディンは、その頼みを受け入れた。頼み込むときの彼女から強い意思を感じとれたからだ。

 「お願いします」

 奏が一礼してから「ストラグルモード!」と言う。サラディンもストラグルモードに入る。いつ仕掛けても構わないと言うと、奏は攻撃をしてきた。

 「金属生成――千本針(ニードル)!」

 奏が手を翳し、宙に無数の針を生成する。手数としてはなかなか多い方だろう。サラディンは体に風を纏って針の軌道をそらし、技の解析をする。よくイメージされた針は、美しい形をしている。だが、単調過ぎるために威力が伴わない。

 今度は自分から仕掛ける。右手をくるりと回すと、その手に風が宿る。それを滑らかな動きで打ち出すと、突風となって奏に襲いかかる。

 「金属生成――鉄鎧(アイロンメイル)!」

 奏は体に鎧を装着し、吹き飛ばされないようにガードする。風が吹き止むと同時に再び攻撃をしてきた。

 「金属生成――鋼杭(パイルショット)!」

 今度は鉄で作られた杭を生成した。大きさは、ちょうど腕くらいの太さと長さだ。針の強化版といったところだろう。サラディンは飛んできた杭をすべて素手で受け止めると、それに風を宿して投げ返す。奏の顔のすぐ横を鉄杭が通りすぎていく。もしも実践だったら死んでいただろう。

 「もう一度お願いします」

 奏が構える。先ほどとは違い、構え方が緩い。集中力が途切れてきたのかと思うが、違った。次の出来事で奏に対する評価が一気に向上する。

 「装甲変化――焔(バーニング)!」

 奏の周囲に漂っていた金属ならではの無機質なオーラが消える。瞬間、爆発するように熱気を放ち始める。装甲は紅く変化し、背中からは焔が噴き出す。紅く長い髪はコントラストを増したかのように鮮やかになり、その姿はまさに紅き戦場の妖精そのものだった。

 「いきます!」

 背中から噴き出す焔は翼のような形になる。前傾姿勢になり大きく踏み込んだかと思えば、サラディンの視界から消える。踏み込んだ足に焔を宿すことで爆発的な加速を作り出したのだ。気がついたときには奏が目の前に現れており、奏は宙に浮いたままかかと落としをサラディンの頭に放つ。風を宿すことで横にギリギリ回避するが、かかと落としの勢いをそのままに回し蹴りを腹部にくらう。足が当たると同時に爆発的な焔が噴き出し、サラディンの体を包む。

 そのとき、訓練室のシステムが危険と判断したのか強制的に技が終了された。2人ともストラグルモードは解除されたらしく、奏は激しい消耗により倒れた。

 「……」

 サラディンは今の戦いを解析する。自分は一切、気を抜いてはいなかった。奏が装甲変化を発動したときは、その能力の強さを理解して本気でかかった。しかし、システムが危険と判断するほどの力差を見せられてしまった。自分の装甲ではない装甲をあそこまで扱えるとはと、サラディンは感心しながら剛力にメッセージを送った。




 一時間後。気を失っていた奏が目を覚ますと、サラディンが近くに座っていた。

 「目が覚めたみたいだね。体調はどうかな?」

 「大丈夫です。私はどれくらい気を失っていましたか?」

 「一時間くらいかな」

 「一時間か……」

 あれだけの戦闘力を発揮できたのだから、相当な進歩だろう。だが、もしこれが戦場ならば気絶することは許されない。仲間が近くにいれば助かるかもしれないが、1人だったら確実に死んでしまうだろう。

 「それにしても、すごい進歩だね。奏さんがここまで強くなっているとは驚いたよ」

 「あ、ありがとうございます!」

 誉めてもらえた喜びで、奏は飛び上がる。デッドガーディアンズでも上位にいるようなサラディンから褒められたのだから、喜ばないわけがない。

 「サラディンさん、明日もお願いしていいですか?」

 「うーん、僕が相手だと余裕がありそうだからね。他の方法を考えておくから、明日まで待ってくれるかな?」

 「わかりました」

 サラディンは用事があるらしいので、ここで別れた。奏は明日に備えて休憩をとることにした。




 現世。敵を倒し終えた優斗たちは、新たな獲物を探して移動をしていた。それと同時に、もし戦力になりそうな人材がいればスカウトするという目的もあるため、都会の方に向かっていた。

 地形には詳しい方がいいということで、まずは優斗の地元へ向かった。懐かしい景色を楽しんでいると、剛力が立ち止まった。

 「レーダーの反応が多いようだね。優斗君、ここになにかあるのかな?」

 「心当たりはないです。咲は違う戦闘員が守ってくれていると聞いていますから」

 「いや、それかもしれない。ここら一帯の敵を殲滅しなければならなそうだ。2人は右から、私は左から行こう」

 移動を開始すると同時に、嫌な感じがした。これは本当にやばいかもしれないと焦り、優斗は手当たり次第にエレクトリックバングルから放出された雷剣を振り回していく。

 「咲!」

 狂ったように剣を振り回す。咲を助けなければ。咲を……

 「落ち着け!」

 横から京也に殴られて正気に戻る。京也は優斗を見据えながらこう言う。

 「その咲ってやつを助けたいんだろう。なら、まずは落ち着け。冷静にならないと、助かる命も助からない」

 京也は苦しそうに呟く。彼の過去に何かあったのだろう、表情は辛そうだが耐えている。

 「俺たちはチームだ。協力しないでどうする」

 それから、京也は優斗に背を向けて「行くぞ」とだけ呟く。優斗は立ち上がると深呼吸をして戦闘体勢に入った。


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