34話 戦力
いろいろと動き出します。
アリアが死んだ。その情報はすぐにサラディンに伝わり、彼は驚愕した。アリアのナビから情報が送られてきており、アリアの視覚、聴覚のデータが映像としてモニターに写し出される。男の強さは桁違いで、かつて凍てつく氷の女王とまで称されたアリアが傷一つ付けることさえ叶わなかった。
映像を見終えたサラディンは、すぐさま対策を考えるが全く浮かばない。あれほどの敵を相手にどう対策すればいいのか。こちらの戦力では勝ち目は薄い。剛力とアリアとサラディンの3人で話し合いをしたときの予想を遥かに凌ぐ強さだったからだ。現在の戦力を考えると、まともに戦えるものは自分と剛力くらいだろう。
「はあ……」
サラディンは頭を抱える。敵を倒すには戦力が不足している。ならば、向こうの世界からつれてくるか。いや、それはまずいだろう。戦わせることを目的につれてこられたら、自分なら激怒するだろう。理不尽にも程がある。
再び思考を再開する。現存の戦闘員の強化という方法もある。幸いにも、最近はずば抜けた能力の持ち主がたくさんデッドガーディアンズに入っている。最初に浮かぶのは優斗。思い付くであろうすべての技を生前にイメージトレーニングしており、能力的には期待できる。次に浮かぶのが、皆から死神と呼ばれる青年。圧倒的な力とそれを扱いきれる技量。センスに関してはピカイチだ。他には対抗できる存在はいないだろう。
サラディンはナビを開くと剛力に通信をいれる。
『サラディン君か。何か用かな?』
「はい。戦力の不足に関してお話しがあります」
『そうだね。アリアを失ったことはとても痛い』
「そのため、戦闘員の実力の底上げをしたいとしたいと思っています」
サラディンは自分の考えを説明する。
『なるほど。死神君と優斗君を選ぶのは予想していたよ。しかし、彼らに連携はとれるかどうかが不安だね』
「そこは練習をさせなければなりませんね。2人の指導をリーダーに頼みたいのですが」
『わかった。私に任せるといい。サラディンはアリアの残したデータから出来る限りの情報を集めて、まとめておいてくれ』
「わかりました」
サラディンは通信を切ると行動に移る。映像を見るのは精神的に辛いが、勝利のためだと自分に言い聞かせる。来るべき日に備え、サラディンは行動を開始した。
優斗は奏とアイカと話し合いをしていた。ある程度話がまとまってきたところでナビが音をならす。通信相手は剛力一馬と表示されている。
「もしもし」
『剛力だ。優斗君、突然ですまないのだが本部長室に来てくれ』
「それはまた、なぜですか?」
『詳しい話は後で話す。君にしか頼めないことなんだ』
「わかりました、すぐ行きます」
通信を切ると、奏とアイカが何があったのかと聞いてくる。用事ができたと答えて、優斗は本部長室に向かった。
本部長室に入ると、中には剛力がいた。いつものように威厳に満ちた表情で座っている。それともう一人、剛力の横には死神がいた。
「揃ったみたいだね。では、本題を話そう」
剛力は少し間を置くと、こう言った。
「2人にはチームを組んでもらいたい」
それを聞いた瞬間、死神はわずかに眉を動かし、優斗は驚きを露にする。死神と組むということは、常に行動を共にするということだ。こんな無愛想で殺意に満ちたやつと一緒にいたら、身が持たないと考える。
「まだ話は広まっていないが、2人には今のうちに話しておこう。アリアが死んだ」
二回目の驚愕。これに関しては、さすがの死神も驚きの表情を見せた。
「彼女は敵の情報を集めるために近くの廃墟に向かってもらった。しかし、そこに敵が待ち伏せをしていた。彼女は情報を手に入れるために自らの身を犠牲にした」
「アリアが、そんな……」
「残念だが、これが現実だよ。敵はすぐに攻め込んでくる様子はないが、いつ来るかはわからない。だからこそ君たち2人にチームを組んでもらい、戦力の強化を図りたいんだ」
死神はこの案に反対ではないらしく、無言を貫く。優斗も同意を示すと、剛力は頷いた。
「今からしばらくの間、2人には向こうの世界でフリーハンティングをしてもらう。期限は無期限で、物資は毎朝転送をさせる。私も同行するから、思う存分暴れてくれて構わない。いざというときは私が加戦しよう」
剛力が加戦するのは心強い。そういえば、彼の能力はなんなのだろうか。見た目から想像すると、近距離格闘か何かだと思うが。
「じゃあ、行こうか。出来る限り行動は早い方がいい」
剛力が歩き出し、2人が後を追う。3人は向こうの世界へと向かった。
女性陣の役割を作らなければ(汗)




