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死後生活―アフターデッド・ライフ―  作者: 黒肯倫理教団
第三章

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30話 フリーハンティング

もとの世界へ向かいます。

 翌日の朝7時。3人は転送室の前に集合していた。それぞれがコンバットスーツに着替えており、準備の方は完璧だ。やがてサラディンがやって来て転送の準備を開始した。

 今回の任務の内容はフリーハンティングだ。向こうの世界に移動してイーターを狩るという単純なもので、イーターの個体数を減らすためによく行われている。それと同時に新たな仲間となったアイカとの連携を出来るようにするという目的もある。

 「今回のタイムリミットは8時間。時間がくると強制帰還することになるけど、早く切り上げたいときは連絡を入れてくれれば帰還出来るよ」

 最長で午後5時までフリーハンティングを行う。希望のフラグメントも貯まるし、全力でやらなければ。そう考えながら優斗はストレッチをする。

 「準備完了。それじゃあ、いってらっしゃい」

 青白い光の柱が現れると、一斉に駆け出して飛び込む。中に入ると、視界が白い光で埋め尽くされた。




 光が消えると同時に、見慣れた風景が視界に飛び込んできた。平行世界での出来事のせいか、すごく懐かしく感じてしまう。

 「じゃあ、始めるか」

 ナビを開いてレーダーを起動する。周囲にいくつかの反応があり、それぞれ単体で行動をしているようだ。特に大きな反応はないため、小さな反応を片っ端から狩ることにする。

 「「「ストラグルモード!」」」

 ストラグルモードに移行すると、体に力が供給され始める。敵の方向に歩いていくと、すぐに視界内に捉えた。球体型のイーターが1体だけおり、獲物を探すようにうろうろしている。

 優斗は背後から近づくと、一気に攻撃を仕掛ける。手足に雷を宿して踏み込み加速。距離を詰めると勢いそのままに拳を叩きつけて葬る。イーターが爆散すると、アイカが目を輝かせて歓声を上げる。

 「おおー! すごいです優斗さん!」

 「そ、そうか?」

 「はい! かっこいいです!」

 「おう、ありがとな」

 なんだろう、最近はすごくモテる気がする。浩介が聞いたら羨ましがるだろうな。そういえばあいつは今、何をやっているのだろうか。そう考えながら次のイーターのもとへ向かう。

 到着すると同時に、敵がこちらに気づく。中ランクの鳥形イーターだ。飛んでいるために狙いが定まりにくいが、苦戦するほどの相手ではないだろう。体に雷を宿し、戦闘体勢に入る。

 「金属生成――針(ニードル)!」

 奏が先制攻撃に無数の針を放つ。しかし鳥形はそれを容易くかわして反撃をしてきた。高質化させた羽を放ってくると、アイカが結界を張って防ぐ。結界が解けると同時に奏が再び無数の針を放ち、動きを制限する。その隙にエレクトリックバングルを起動させた優斗が懐に飛び込んで切り裂く。

 鳥形が爆散すると、エレクトリックバングルを見る。予想以上に切れ味がよく、腕に全く負荷がかからない。やはりあの店主は流石だ。的確に要望に答えてくれる。

 再びナビを開きレーダーを起動すると、赤い点が一ヶ所に集まっている。何かあるのかもしれないと思い、3人は急いでそこへ向かう。到着した3人の視界には、恐ろしい光景が広がっていた。

 「嘘だろ……」

 球体型のイーターが人間を食べているのだ。体の至るところを食い千切られた男はすでに絶命している。イーターの干渉を受けた人間は見えなくなるのだろう。通行人は平然とした顔で通り過ぎていく。

 平行世界での死はポリゴンとなって爆散するだけだが、現実世界では違う。たとえ絶命しようと体は消えないため、残酷な光景が広がる。

 「うあ……あ……」

 奏とアイカが体を震わせる。無理もないだろう。平行世界では血は出ないが、現実世界では血が出る。むせ返るような生臭さが嗅覚を刺激し、立っていられること事態が不思議に思える。2人に弱いところを見せるわけにはいけない。自分まで怯えを見せてしまったら、二人は誰に頼ればいいのだろうか。だからこそ、優斗は立ち向かう。

 絶望を喰らったことにより強化されたのか、球体型の見た目が変容する。箱形に変容したイーターは、ルービックキューブのように蠢いている。発する殺気は高ランク相当だろう。

 「雷術結界!」

 まずは動きを封じることに専念する。後ろに仲間がいるために、むやみに攻撃を仕掛けて隙を作るのは得策ではない。どう出てくるかと様子を見ると、箱形は優斗の予想を裏切って突撃してきた。雷が当たる度に轟音が上がるが、それをもろともせずに突撃を続ける。

 「そんなばかな!」

 雷を回収して右足に宿す。加速させた蹴りをいれる。鈍い衝撃が足に響く。どうにか弾き返せたが、ダメージを与えた感覚はなく逆に自分の足にダメージを受けたようだ。体勢を整えると、再び箱形は突撃してきた。

 今度はどうやって弾き返すか。そう考えていると目の前に結界が現れた。

 「優斗さん!」

 箱形の突進を結界が受け止めると、今度は体を鋼質化させた奏がタックルで弾き返した。

 「ごめん優斗、体が動かなくて……」

 「そんな謝るなって。それより、二人とも助けてくれてありがと」

 「そんな〜優斗さんにお礼をいうのはこっちの方ですよ〜」

 軽く会話を交わし、3人は箱形に向き直る。それぞれが構えると同時に、箱形が突進してきた。


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