22話 絶望のフラグメント
ストーリーを書くのが難しい……
どうやって面白い展開にするか悩みますね。
防衛戦はうまくいったようだ。負傷したものもいるが、幸い死者は出ていない。
アランの作戦は完璧であり、死人も出ない。日が経つにつれて敵の数は減っていくだろうし、そもそもここは囮だ。本部から人員を割くために狙われただけであり、ここに増援が来るとは考えづらい。
ジェノはなぜそこまで心配をしていたのだろうか。アランはここが囮だったという情報をジェノに送ったが、ジェノからは返信がない。
アランは今回だけはジェノの考えを理解できなかった。今まで天才策士と称えられていた男が、わざわざ死人が出るような作戦を考えるだろうか。いつもの彼ならば、部下たちを思い、死人を出さないように作戦を練ってきた。
しかし、今回は違った。
ジェノはこの戦闘を早く終わらせるために死人が出る方法を選んだのだろうか。今までの彼ならばこんなことは考えないはずだ。
彼なりの事情があるのだろうか。そう考えてみるが、死人出してまで実行するほどの理由が見当たらない。
アランはため息をついた。
「リーダー、入ってもよろしいでしょうか?」
本部長室のドアをノックすると、サラディンは尋ねた。「入りたまえ」と声がしたので、ドアノブに手を伸ばす。
「失礼します。臨海基地のことで報告に来ました」
室内に入り一礼をすると、サラディンは本題に入る。デッドガーディアンズのリーダー――剛力一馬はソファーに座り、コーヒーを飲んでいる。灰色のオールバックの髪に、いくつかシワの刻まれた顔に、50歳を超えてなおも衰えない肉体。その風貌は威厳と覇気に満ちており、格闘家のように見える。彼はサラディンに向き直ると、続けるように言った。
「今回の臨海基地の襲撃は恐らく囮でしょう。本部の北にイーターの反応が現れたことから確実だと思います」
「そうか」
コーヒーを一口飲むと、剛力は頷いた。
「だが、念のためということもあるだろう。臨海基地にはアレが置いてあるじゃないか」
「それに関しては問題ありません。増援としてアリアを向かわせたので大丈夫だと思います」
「アリアか、確かに彼女ならば安心できるな」
「はい。臨海基地からの報告は受けていますが、現状は問題ないそうです」
「サラディン、臨海基地の隊長はジェノだったかな? 天才策士と称えられた彼だろう」
「いえ、現在はアランという上級戦闘員が隊長です。ジェノさんは今朝の会議のあとに姿を消したそうです」
「臨海基地から消えたのか。それはまた困った事態だね。アレがあることを知っているのはジェノだけだったはずだろう」
「そのはずです。イーターにもしも奪われてしまったら大変なことになってしまいます」
「そうだな。しかし、アリアが向かったのだから問題はないだろう。恐らくジェノもなにかしら行動を起こしているだろうしね」 「はい。絶望のフラグメントを奪われないように、僕も最善を尽くします」
「ああ、頼んだよ」
報告を終えたサラディンは司令室に戻ると、北に現れたイーターを討伐するための作戦を練り始めた。
アリアは焦っていた。本来ならばもうすでに着いている時間だ。移動妨害用結界がいたるところに張り巡らされており、解除するのに手間をとられる。
もし絶望のフラグメントを狙われていたならば、北に現れたイーターとは比べ物にならない数が現れるかもしれない。
ジェノ策士がいることを考えれば問題はないと思うが、嫌な感じがしてならない。
結界を解除し終えると、数体のイーターが立ち塞がる。いずれも高ランクのイーターで、上級戦闘員が10人いてやっと倒せるレベルだ。
面倒そうに頭をかくと、アリアはバイクから降りて「ストラグルモード!」と言った。
アリアは体に白い霧を纏わせると、両手に氷の剣を作り出した。右手を前に突き出し、左手を上段に構える。
並みの人間ならば視認できないようなスピードでイーターが突進してくると、アリアは剣を胸の前で交差させ、それを難無く受け止める。
体から一気に冷気を放出すると、敵が凍りついて動かなくなる。その敵を両断すると、残りのイーターに向き直る。
片方はゴーレム型。優斗と奏が戦ったやつの上位種であり、頑丈な体には攻撃が通らない。
もう片方はキメラ型。虎の体には犬と獅子の顔がついており、背中には翼が生えている。
アリアは空気中に無数の氷柱を出現させると、それを放つ。ゴーレム型がキメラ型の盾になるように身を広げて氷柱を受け止めると、その後ろからキメラ型が飛び出してくる。
キメラ型が足に生えた鋭い爪でのラッシュを仕掛けてくるが、アリアはそれを氷の剣で弾く。
再び氷柱を出現させたアリアは、距離を取りながらキメラ型に目掛けて放つ。再びゴーレム型が盾になるが、今回はそれだけでは終わらせない。
剣を捨てると、両手から冷気を放出する。上手くコントロールすることにより、イーターたちの足が地面に固定される。
イーターたちは足下の氷を砕こうとするが、時既に遅し。頭上から降り注ぐ氷の杙を防ぐことはかなわず、コアを貫かれた。
イーターがポリゴンとなって爆散するのを見ると、アリアは再びバイクに乗って走り出した。
臨海基地の会議室では、翌日の対応について話し合っていた。
「今回の戦闘で、こちらに死人は出なかった。だが、戦闘に参加できるのは50人ほどだろう。イーターの残りの数を考えると、このままいけばしあさってには倒しきれる」
その言葉を聞いて皆は安堵した。
「明日も今日と同様に敵が来るまで待機。射程距離に入ったら遠距離からの攻撃をし、数が減ったところで接近戦に持ち込む」
会議はすぐに終了し、優斗と奏は自室に戻った。
「なんだか予想以上に簡単だな。しあさってには倒しきれるのか」
もう少し激しい戦いになると思っていた優斗は、やや残念そうに言う。
「簡単に超したことはないでしょ。もっと安全にいかないと」
「まあ、そうだな」
確かに死人がでないことは喜ばしいことだ。ジェノさんも死人を出さない方法なんていくらでも考え付いただろうに。
そんなことを考えながら、優斗はナビをいじる。
臨海基地での日給として、毎日100ポイント送られてきている。昨日と今日を合わせて200ポイント。手持ちと合わせると700ポイントにもなっている。日本で考えると7万円という、高校生には想像も出来ない金額だ。
他にも色々と装備を整えたいと思いながら、優斗はベッドに寝転がる。
奏がシャワーを浴びてくるといって出ていったので、暇になってしまった。幽霊と同じ状態なので、体は汚れないのに奏はなぜ風呂に入るのだろう。
くだらないことを考えながら、優斗は眠りについた。
ご意見、ご感想などありましたらお願いします~
評価などもしていただけると嬉しいです。




