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借金持ちの俺、ゴブリン牧場で大金を稼ぎます  作者: といとい


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第77話: 作戦開始

「よし、行くぞ」


俺の一声で、全員が立ち上がる。


作戦会議はすでに終わった。あとは実行するだけだ。


あの鬼ごっこから得た教訓を無駄にはしない。

俺たちは今、慎重に、無駄なく、そしてちょっとずる賢くやるのだ。


「アイアンタートルがまたいたら即撤退だぞ」

「了解っスー」

「俺もう転びたくない……」


ブタオが足元を確認しながらぼやく。

大丈夫だろう。たぶん。


俺たちは足音を最小限にしながら、あの巨体と出くわした場所へと戻っていった。


……が。


「いないな」

「ふー……よかったっス」

「気配もない。今のうちだ」


俺はそっと手を挙げる。


「チアキ、頼む」


ピコッとチャットが鳴る。


<わかりました>


チアキは無言で頷くと、スッと手を前に出して魔力を練り始めた。


空間が揺らぎ、青白い光が縦に伸びていく。

静かに、しかし確実に、それはゲートとなって形を成していった。


「設置完了です」

「ナイスだ、チアキ。じゃあ次、こっちだ」


俺たちは50メートルほど先の開けたエリアへと移動した。


慎重に周囲を確認しながら、位置を決める。


「このへんだな。チアキ、もう一発」

<了解です>


再び魔力が展開され、空間に新たなゲートが刻まれる。

まるで青い鏡のように波打つそれは、チアキの精密な制御によってぴたりと安定した。


「OK。……最後は、あそこだな」


俺たちは最後の地点へと足を進めた。

地形的に、最初の通路へと戻れるルートを意識しつつ、距離と遮蔽物を考慮している。


──そして。


「ここで最後だ。チアキ、お願い」


<任せてください>


三つ目のゲートが設置されたとき、俺たちの準備はすべて整った。


それぞれの位置に意味がある。

俺たちはただ逃げるだけじゃない。奴を誘導し、翻弄し、そして……驚かせてやる。


「ふっ……完璧だな」


俺たちは顔を見合わせ、小さく頷きあった。


作戦、発動の刻は近い。


「……よし、あの亀野郎を呼ぶぞ」


俺がそう言うと、ブタオが深く、これでもかと息を吸い込んだ。


その姿はどこか神聖ですらある。

全身の空気を肺に詰め込み、腹の底から――


「ブヒィィィィぃぃぃぃィぃ!!」


ダンジョンの静寂を破り、あたりに響き渡る魂の叫び。

それはまるで、野生の豚がご先祖様に捧げる求愛の咆哮だった。


「……うむ。綺麗な鳴き声だな」


「いや、もっとこう……『おーい! でっかいカメー!』とかあったんじゃないっスか!?」


コハルが思わずツッコミを入れる。


ピコッとチャットが鳴る。


<ブタオさんにプライドはないのでしょうか……>


「いや、お前ら、これがベストだったんだよ……!」


ブタオがどこか誇らしげに胸を張った。


──そのときだった。


「……きたな」


ドスン……ドスン……と、聞き覚えのある振動が地面を揺らす。

小石がカタカタと跳ね、空気が再び重くなる。


「ちょ、ちょっとだけ不安になってきたんだけど……」

「やったるっスよー!!」


不安げな俺とは裏腹に、コハルはやる気満々で拳を握る。

目がきらきらしている。

お前だけやけに元気だな。


そして──見えた。


アイアンタートル。


奥の通路からその巨体が現れる。

金属質な甲羅に覆われた重戦車のような亀。

目は鋭く、地をえぐるように進んでくる。


「……迫力すげぇな、やっぱ」


ゴウン、ゴウン、と地響きのような音を鳴らしながら、やつはこっちに向かってくる。


距離が詰まっていく。


10メートル。

7メートル。

5メートル。


「今だ! 入れ入れ!!」


俺が叫ぶと、全員が一斉に飛び込むように、チアキの作ったゲートへと駆け込んだ。


青白く輝くゲートを通り抜けた瞬間、視界が一瞬ぐにゃりと歪む。

すぐさま出口の先に転がり出るようにして着地し、俺たちはすぐさま身を伏せる。


「……よしっ」


振り返ると──


ゴンッッ!!!


アイアンタートルが、俺たちがいた場所へ突進してきたまま、何もいなくなった空間に戸惑う様子もなく、そのまま岩壁に激突した。


岩が砕け、破片が飛び散る。


「うおっ、やべ……!」


俺たちは思わず頭を抱えて伏せた。


あの重戦車亀は、まんまと俺たちの誘導に乗ってくれた。


「……やった、成功っス!」


コハルがガッツポーズをする。


アイアンタートルは壁に頭をめり込ませたまま沈黙している。


「これで死んだら1番楽なんだけどな」

「っあ、それフラグっス……」


ボコンとやつの頭が壁から出てきた。


⸻


現在のゴブリン牧場の状況(996匹)

⸻⸻⸻⸻⸻⸻

・ゴブタロウ檻(ゴブタロウ + メス214匹)

ハイメス182匹

ハイメス赤ちゃん32匹

・スカー檻(スカー + ハイメス20匹)

ハイメス19匹

ハイメス赤ちゃん1匹

・チビ檻(チビ + ハイメス20匹)

ハイメス19匹

ハイメス赤ちゃん1匹

・檻B(198匹)

ハイゴブリンオス赤ちゃん137匹

マジシャン赤ちゃん31匹

ファイター赤ちゃん30匹

・ヤリ檻(55匹)

マジシャン13匹

ファイター12匹

ハイメス30匹

・探索部隊(486匹)

ハイオス335匹

マジシャン66匹

ファイター65匹


⸻⸻⸻⸻⸻⸻

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