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借金持ちの俺、ゴブリン牧場で大金を稼ぎます  作者: といとい


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第71話: ゴブリンたち、沸く

「さて……それじゃあ、ゴブリンたちに探索に出てもらうか」


俺は腕を組み、目の前の大部屋を見渡した。


「檻Bの成体、外に出ろー!」


俺の声が響くと、檻Bの扉がガタリと開き、中から成体ゴブリンたちがぞろぞろと出てきた。

その流れに合わせ、メスゴブリンたちがオスの赤ちゃんゴブリンたちを次々とトンネルに流し込む。


「ふぅ……よし、全体数確認だ」


俺たちは種族ごとに整列させ、数を確認した。


ハイゴブリン:174匹

ゴブリンマジシャン:46匹

ゴブリンファイター:46匹


ブタオが「……かなり多いな」と呟き、コハルも目を見張っていた。


「前回と同じにするか。マジシャンとファイターを2匹ずつチームに入れて、23チーム作るぞ」


ゴブリンたちは声に応じ、わらわらとチームを組んで整列を始めた。

その整然とした動きに、思わず感心してしまう。


「……ん、ここで試してみるか」


意識的に意思疎通スキルを発動させる。


「お前らー! 今日も元気に探索だー! また8階層まで行ってこーい!」


その瞬間、頭の中に次々と声が飛び込んできた。


『待ってましたぁ!』

『よっしゃ! 今日もたくさんぶっ殺してやるぜぇ!』

『ふっふっふ、俺の愛剣が血を欲している……』


なんだこいつら……ノリノリじゃねぇか。


「元気があってよろしい!」


さらに声が飛んでくる。


『え? 隊長もしかして俺らの言ってることがわかる?』

『まじ!? 隊長がゴブリン語を理解してるってこと!? やば!』

『これは新時代の到来やー!』


……あ、俺って隊長って呼ばれてるのか。


「何言ってるかはわかるぞ! 何か言いたいことがあれば今言え!」


しばし沈黙。そして──


『何かってなんだ?』

『わかんね』


──ちょっとした間抜けなやつが多そうである


『っあ! 隊長! 俺も盾が欲しいっス!』

『え、俺も欲しい!』

『俺も俺も!』


あっという間に、何匹かから盾希望の声が飛び交った。


「おーい、落ち着け! 新しい盾は5個しかない! ゴブリンファイターに優先的に配るぞー! ゴブリンファイターは前に出てこーい!」


その声に応じ、ゴブリンファイターたちが我先にと俺の前に突進してくる勢いで集まった。


「チアキ、頼む。空間魔法から盾を出してくれ」

<了解です>


チアキが手を掲げ、淡い光が生まれた瞬間、盾が次々とその場に現れた。

俺は手際よく、前に出てきた素早い5匹に盾を渡していった。


『っしゃー! とったどー!』

『ずるいぞー!』

『俺にもよこせー!』


ワイワイと騒ぎ始めたゴブリンたちに、俺は腰に手を当てて一喝した。


「うるさい! 順次用意するから落ち着きなさい!」


その声に、ゴブリンたちはぴたっと口をつぐみ──


『はーい』

『了解っすー』


……え、この子たち、素直!


「他に何か要望はあるかー!」


俺は両手を腰に当て、声を張った。

大部屋に集まったゴブリンたちは、一瞬ざわついたものの、次第に静かになり、期待と緊張が入り混じった視線を俺に向けてくる。


その中で、ぽつりと1匹のゴブリンが前に一歩踏み出した。

中背で筋肉質、どこか決意に満ちた表情をしている。


『……隊長! 自分から1点、要望があります!』


その声が俺の頭の中に響いた瞬間、ゴブリンたちがざわつく。

俺は真剣な顔で頷いた。


「うむ、なんだ」


そのゴブリンは胸を張り、力強く叫んだ。


『俺たちにも……俺たちにも! メスをあてがってください! お願いします!』


場が一瞬静まり返った。次の瞬間、ゴブリンたちの間にどよめきが走る。


『……あいつ、よく言ったな……』

『勇者だ……』

『ヤリてぇ……』


どこか神妙で、しかし切実な空気が漂う。


「……あー」


さすがに俺も困ってブタオの方を振り返る。


「……なんだって?」とブタオが目を細めて問う。

「……メスとヤリたいってさ……」


ブタオは一瞬黙り、腕を組んで「あー」と唸った。


「どうしよっか……全員に割り当てとか、現実的じゃないしな……」


そのとき、ブタオがふっと笑い、堂々と前に出た。


「……俺に任せろ」


その言葉に、ゴブリンたちの視線が一斉にブタオに集まる。


「お前らー! メスとヤリたいかー!」


『副隊長が出てきたぞ!』

『ヤリたいっす! 副隊長!』

『副隊長頼むー!』


え、こいつ副隊長って認識なんだ。


ブタオは両手を広げ、宣言した。


「チームごとに、野生のゴブリンを一番多く倒したやつに、メスと交わる権利を与える! なおフェアにするために魔石回収係は順番に交代だ! わかったか!」


その瞬間、ゴブリンたちはこれまでにない大歓声を上げた。


『おおおおお!!!』

『キタぁぁぁぁぁぁ!!!』

『ゴブリン界の革命やー!!!』


飛び上がり、武器を振り回し、嬉しそうにギャギャと喚くその姿に、俺は呆れながらも笑ってしまった。


「……めちゃくちゃ沸いてるな」

「よし! それじゃあ探索に行ってこい! 魔石の回収を忘れるなー!」


ブタオの声に、ゴブリンたちはこれまでで一番の熱気で、3層に続くゲートへ突っ込んでいった。


「……で、あいつらなんて言ってた?」


ブタオが振り返り、目を細めて聞いてくる。


「えーと、めっちゃやる気出てたわ。あとお前のこと副隊長って呼んでた」


ブタオは満足そうにふっと笑った。


「っふ、これで優秀なやつの遺伝子が残るな。競走馬と同じ原理よ」


「……た、確かに! こいつの競馬知識がこんな形で活きるとは……」


その横でコハルが小さく唸った。


「男って……不潔っスー」

<まぁ、やる気になってくれたのは良いことかと……>


チアキからの冷静なチャット。ナツミは隣で腹を抱えて爆笑していた。


「よし……ゴブタロウの檻からメスを30匹出すか」


俺たちは手際よくメスゴブリンを出し、管理所の空きスペースに簡易の新しい檻を作ってその中に入れた。

ちなみにメスゴブリンは全員ギャルだった。


「さて、帰るかー」


管理所に戻り、魔石の数を確認する。

ゆきが計測機を操作し、数値を読み上げた。


「……3141個、換金額は……1067万4000円」

「またまた1000万超えきたー!!」

「おっしゃあ!」

「最高っスー!」


俺はガッツポーズを決め、ブタオやコハル、チアキと笑顔で顔を見合わせた。


「あ、ナツミも報酬……いる?」


振り返ると、ナツミは首を横に振り、にかっと笑った。


「私はいいよー。お金に困ってないし」


舐めるなよ?


俺たちはチームだ


俺の回答は決まっている


「アザース!!!」


俺は人生で一番綺麗なお辞儀をしたのだった。


⸻


現在のゴブリン牧場の状況(607匹)

⸻⸻⸻⸻⸻⸻

・ゴブタロウ檻(ゴブタロウ + メス152匹)

ハイメス125匹

ハイメス赤ちゃん27匹

・スカー檻(スカー + ハイメス18匹)

ハイメス17匹

ハイメス赤ちゃん1匹

・チビ檻(チビ + ハイメス18匹)

ハイメス17匹

ハイメス赤ちゃん1匹

・檻B(130匹)

ハイゴブリンオス赤ちゃん98匹

マジシャン赤ちゃん16匹

ファイター赤ちゃん16匹

・ヤリ檻(ハイメス30匹)

ハイメス30匹

・探索部隊(256匹)

ハイオス174匹

マジシャン46匹

ファイター46匹

⸻⸻⸻⸻⸻⸻




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