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借金持ちの俺、ゴブリン牧場で大金を稼ぎます  作者: といとい


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第68話: 鍛治スキル持ちと出会う

「さて……次は盾の大量発注だな」


俺たちは武装堂の店員から教えてもらった住所をカーナビにセットし、ブタオの軽バンで出発した。

昼下がりの陽射しがまぶしく、軽バンの窓ガラスに反射して車内をじんわりと温める。


すでに購入した盾はチアキの空間魔法で収納してもらっている。

チアキの魔法、ほんと便利だわ……。


「にしても、近くて助かるな」


ブタオがハンドルを握りながら、のんびりとした口調で言った。


確かにそうだ。


武装堂から車で15分ほど、郊外に少し出たあたりだ。

道は空いていて、周囲にはちらほら畑や小さな工場が並んでいる。


俺たちはそんな景色を横目に、軽い雑談を交わしながら車を走らせた。


「……あれか?」


ナビの案内が目的地到着を告げ、俺たちの視界に飛び込んできたのは、《中野工房》と書かれた看板が掲げられた大きな倉庫だった。

外壁はくすんだ白色、鉄のシャッターは半分開いていて、中が少しだけ覗ける。


「メーカーって、もっと工場っぽいのを想像してたけど……ただの倉庫にしか見えねぇな……」

「まあ、いかにも職人の隠れ家って感じっスよね」

<規模は小さくても腕は確か、という場合も多いですよ>


なるほど……確かにチアキの言う通りだ。


俺たちは車を降り、軽く体を伸ばしてから倉庫の方へ歩を進めた。

ブタオが先頭、俺がその後に続く。

しかし、倉庫の扉をくぐろうとした瞬間だった。


「おい、勝手に入るな」


低く太い声が響き、俺たちの足が止まる。

目の前に立ちはだかったのは、筋骨隆々の強面のお兄さん。


額には汗が光り、腰には見るからに高価そうな剣がぶら下がっている。

その視線が鋭く、まるで侵入者を見るようだった。


「……す、すみません!」


俺は両手を上げ、慌てて事情を説明した。


「武装堂の店員さんにここを紹介されたんです。ここで……装備を大量に作ってもらえるって……」


男は俺たちをじっと見据えたまま、ほんの数秒黙り込んだ。

そして鼻を鳴らし、頷く。


「紹介か……ちょっと待ってろ」


そう言って倉庫の奥へと姿を消した。


「……ふぅ」


俺はひそかに胸をなでおろす。

後ろでコハルが小さく「怖っ……」とつぶやいたのが聞こえた。


数分後、強面兄さんが戻ってきた。

「代表が会うそうだ。中に入っていいぞ」


「アザース!」


俺たちは頭を下げ、ようやく中へと足を踏み入れた。


倉庫の中に足を踏み入れると、鉄と油の匂いが鼻をつく。

高い天井の下には無造作に積まれた木箱や金属板が置いてある。


「おーい、こっちこっち!」


明るい声が倉庫の奥から聞こえた。

視線を向けると、ソファが無造作に置かれた一角に、オーバーオール姿のショートヘアの女性が手を振っていた。

年の頃は二十歳前後だろうか。快活そうな笑顔と、どこか職人気質な空気をまとっている。


「君たちが、大量に装備を作って欲しいっていう物好きな探索者ね。私は中野ナツミ、よろしく!」


……こ、こやつ……! 敬語が使えない系の人だ……!!


少し面食らったが、すぐに気を取り直す。

ここは大人の余裕で応じるのが吉だ。


「物好きなんすかねぇ……。あ、佐藤太郎と言います。よろしくお願いします」


俺が一歩前に出て名乗ると、ナツミは目を細め、突然吹き出した。


「あはははは! 平凡な名前だねぇ! あっ……ごめんごめん、悪気はないんだ。にしても面白い名前だねぇ」

「大丈夫です。あだ名も平凡から取って『ボン』って呼ばれてるくらいですから……。ここで大量の装備を買えるって聞いたんですけど」


ナツミは膝に肘をついて頬杖をつき、にっと口角を上げた。


「そうだよ。私のスキルが『鍛治』でさ、大したもんじゃなければ素材さえあればちょちょいって作れる。何を作るかによるけどね」

「おおっ! ぜひお願いしたいです!」


俺は早速、先ほど武装堂で買った盾の名前を告げ、在庫がどれだけあるか尋ねた。


「ちょっと待ってね」


ナツミはソファの横に置かれたタブレットを手に取り、画面をスワイプしながら在庫を検索し始めた。

器用な指先が画面を滑り、画面の反射で彼女の瞳が一瞬キラリと光った。


「……あー、今は5個しかないね。売れない商品だからさ。ところで……何個欲しいの?」

「えーと……とりあえず50個ください」

「50!?」


ナツミは一瞬目を丸くし、そして腹の底から笑い声をあげた。


「あははははは!! そんな数を揃えて一体何に使うんだい?」

「えっと……使役してる魔物に持たせて、探索させようかと」


俺の答えに、ナツミの表情がピタリと変わった。

興味深そうに目を細め、その瞳が鋭く、しかしどこか楽しげに光る。


「……ふーん。面白いじゃない」


彼女はソファの背にもたれ、足を組み替えた。


「実はさ、探索者ってそんな高頻度で武器や防具を買い替えるわけじゃないから、私もスキルを使う機会が少なくて退屈してたんだよね」

「……はあ」

「だから提案! 君たちが私の作った装備をどう使うか、見せて欲しい。見せてくれるなら、今回の発注分は格安で請け負ってあげるよ!」


おお……なかなか悪くない提案じゃないか。


俺は小声で後ろを振り返り、仲間たちに相談を持ちかけた。


「お前ら、どう思う?」


ブタオはすぐにニヤリと笑った。


「かわいいからよし」

「基準が軽すぎるだろ……」

「まぁ、安くなるならいいんじゃないっス?」


コハルもあっさり同意。


「……お前ら……ほんと役に立たねぇ……。チアキ先生……!」

<鍛治スキルの職人と繋がりを持つのは大きなメリットです。リスクとしては私たちの活動がバレる恐れもありますが、仲間に引き込めればこれからの活動の幅がさらに広がるのではないでしょうか>

「おお……なるほど……」

<私と同じように秘密保持契約を結んでもらえば、ある程度リスクは抑えられます>

「そういや、そんなのあったな……。おけ、それで行こう」


俺は再びナツミに向き直り、慎重に口を開いた。


「えーと……いいんですが、秘密保持契約を結んでもらってもいいですか?」


ナツミは一瞬驚いた顔をした後、にやりと笑った。


「ほう……そこまで秘密にしたいことがあるんだ? ますます興味が湧いてきた。契約の内容を見てからになるけど、それでいいよ」

「ありがとうございます。じゃあ……明日、青梅ダンジョンの管理所に来てもらってもいいですか?」

「いいよ。最近、暇してるからさ」


ナツミはあっけらかんと言い、ソファから立ち上がった。

その場で待ち合わせの時間を決め、俺たちは工房を後にした。


「……おれ、ダイエットしようかな」


ブタオが車に乗り込みながらぽつりとつぶやいた。


無理だよお前には。

そのセリフ1万回くらい聞いたけど成功したことないもん。


俺たちは再び軽バンに揺られ、工房を後にしたのだった。


⸻


現在のゴブリン牧場の状況(398匹)

⸻⸻⸻⸻⸻⸻

・ゴブタロウ檻(ゴブタロウ + メス132匹)

ハイメス110匹

ハイメス赤ちゃん21匹

・スカー檻(スカー + ハイメス16匹)

ハイメス15匹

ハイメス赤ちゃん1匹

・チビ檻(チビ + ハイメス16匹)

ハイメス15匹

ハイメス赤ちゃん1匹

・檻B(104匹)

ハイゴブリンオス赤ちゃん80匹

マジシャン赤ちゃん14匹

ファイター赤ちゃん14匹

・探索部隊(127匹)

ハイオス91匹

マジシャン18匹

ファイター18匹

⸻⸻⸻⸻⸻⸻



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