↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
借金持ちの俺、ゴブリン牧場で大金を稼ぎます  作者: といとい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

65/98

第65話: ゴブリンさん、9階層に挑む

「ふぅー……やっぱり昼飯のあとって、ちょっと眠いな……」

「お前、さっきまでラーメン大盛り替え玉までしてたからだろ……」


そんなやり取りをしつつ、昼過ぎに俺たちはダンジョン管理所に到着した。

扉を開けると、カウンターに座るゆきがスマホをいじっていて、その横に見慣れたポニーテールが揺れていた。


「おっ、コハルいるじゃん!」


俺はすかさず声を張り上げた。


「お前、よくも昨日サボったなーっ!」

「すいませんっスー! でも昨日でプラチナランクまでいけたっス! プロの道まで見えてきたっスよ!」


どや顔のコハルがガッツポーズを決めている。

こいつ、どこまで本気なんだよ……。


「お、おう……。よかったな……。まぁ、特に困ってなかったからいいけどさ……」

「ならよかったっスー!」


心底晴れやかな顔で言いやがった。

……ほっとこう。気にしたら負けだ。


「ま、次からはちゃんと来いよ?」

「いや、それは……わかんないっス!」

「おいっ!」


肩を落としつつ、俺たちはダンジョンへと向かった。


⸻


大部屋に入ると、むわっとした熱気とともに、ゴブリンたちの鳴き声が耳に飛び込んでくる。

その中心で、青白い渦が二つ、ゆっくりと波紋のように回っていた。


「……おお、これなんスかー!?」


コハルが目を丸くして渦に駆け寄る。


「これか? チアキが作ったゲートだ。それぞれ2階層と3階層に繋がってる」

「すっごいっスー! ってことは……ダンジョン探索したんスね!? 私も行けばよかったっスー!!」

「次からはサボらないようにな」

「いや、それは……わかんないっス!」

「おいぃぃぃ……!」


さて、気を取り直して。


「ゴブリンども、10匹ずつ並べー!」


俺の声に反応し、ゴブリンたちはぎゃぎゃと鳴きながら整列を始める。

数えていくと──


「……176匹。1匹だけ、帰らなかったか」

「運がなかったんだな……南無ー」


静かに手を合わせ、俺たちは次の作業に移った。


「魔石回収するぞー! 持ってこーい!」


魔石が入ったエナメルバッグを回収する。

6階層までしか探索させてないから数は少なそうだ。


「……おい、ブタオ。なんかさ……」

「ん?」

「ヘロヘロになってるやつちょい多い?」


よく見ると、何匹ものゴブリンが地面に座り込んで肩で息をしていたり、壁にもたれかかってぐったりしていたりする。

ひどいやつは目を閉じて、ほぼ寝落ち状態だ。


「……やっぱ毎日戦闘させるの、さすがにキツいんじゃないか?」


俺がつぶやくと、ブタオは腕を組んで少し考えたフリをしたあと、あっけらかんと笑った。


「んー、でもさ、どうせまたすぐ増えるだろ? 気にしなくていいんじゃねぇか?」

「じゃあ、気にしなくていっか!」

「鬼畜っス……」


コハルがジト目で俺を見てくる。


<鬼畜です……>


チアキまでチャットでツッコんでくる始末だ。


うむ。


そんなのかんけぇねぇ!


「檻Bのやつら出ろー! んで、メスどもはオスの赤ちゃんを空っぽの檻Bに移せー!」


ぎゃぎゃっと声を上げ、ゴブリンたちが一斉に動き出す。

成体になったゴブリンたちが外へ出て、赤ちゃんゴブリンたちが次々とトンネルをくぐり檻Bに流し込まれていった。


「さて……探索部隊の数は……」


出てくるゴブリンの数を数えておく。


ハイゴブリン202匹

ゴブリンマジシャン31匹

ゴブリンファイター31匹


「マジシャンとファイターは均等に分けたいし……31チームに分けるか」


こうして8、9匹編成のチームが31組出来上がった。

1チームに1つずつエナメルバッグを配布し、ふと思った。


「そろそろエナメルバッグ、買い足しとくか?」

「そうだな。足りなくなってきたな」


エナメルバッグ、大事!


「今日は9階層まで行きたいけど……ゴブリンマジシャンが出てくるんだよなぁ……」

「ハイゴブリンとゴブリンファイターって、ファイヤーボール耐えられるんかね?」


ブタオの言葉に、俺は唸った。


「んー……」

「試せばいいんじゃないっスか?」


コハルが無邪気に言ってのける。


「どうやって?」

「え? 今ここでゴブリンマジシャンに打たせりゃいいじゃないっスか!」


「鬼畜ー……」

「鬼畜ー……」


ブタオと俺の声が重なる。


<鬼畜です……>


チアキまで追い打ちだ。


「なんでですか!? 正しい実験っスよ!?」


まあ……確かに必要な検証ではある。


「……やるか。ハイゴブリンとゴブリンファイター、1匹ずつ前に出ろ!」


壁際に立たせた2匹は、どこか自信ありげだ。

その姿は「俺なら耐えられるぜ」とでも言いたげだ。


「……まずはハイゴブリンな。ファイヤーボール撃ってくれ」

「ぎゃ!」


ゴブリンマジシャンが構え、火球を放つ。

轟音と共に炎がハイゴブリンを包み──


「……あ。」


瞬く間に火達磨になり、その場に崩れ落ちた。


「ダメじゃーん……」

「……あいつのことは忘れない……」

「尊い犠牲っス……」

<いや、ただお馬鹿なだけです……>


チアキの冷静すぎるツッコミが刺さる。


「次、ファイターな!」


マジシャンの火球がファイターに飛ぶ。

今度は耐えた。


だがダメージは大きかったらしく、ヨロヨロとしている。

ただ顔は勝ち誇った顔だ。


「「「おおおおおお!!!」」」

「耐えた……! 耐えたぞ……!!」


なるほど、ファイターならいける。

でも、何発もは無理だな……。三発喰らったら終わりそうだ。


「防具が必要だな」

「明日買いに行くか」


そう決め、俺はゴブリンたちに声を張り上げた。


「よし、今日は9階層まで行ってこーい! マジシャンの攻撃はファイターが体張って守れ! 以上!」

「ぎゃーっ!」


ゴブリンたちは勇ましく3階層のゲートへと消えていった。


「っあ、そういえばチアキ。空間拡張、レベル6になってからやってなくね?」

俺はふと思い出して声をかけた。


<あ、はい! ……あっ! そういえば私、昨日のでレベル7になってました! たぶんもっと広がると思います!>


「ちょーい! そういう大事なことはもっと早めに言ってくれよー!」

「それじゃあチアキ先生、よろしくお願いします」


チアキはにこっと微笑んで、すっと手を掲げた。

大部屋の空気がぴりっと張り詰める。


ぼんやりと光が満ち、壁や天井がほんのわずかに震えたかと思うと──

ゴゴゴゴ……と低い音を響かせながら、部屋が一気に上下左右に広がった。

体感で1メートル以上、ぐんと広くなったのがわかる。


「おおー、なかなか広くなったじゃん!」


俺は目を丸くして周囲を見渡した。


「これなら、まだまだ牧場を続けられるな」


ブタオも満足そうに頷く。


「よし、もう今日はこれでいいだろ。帰るかー!」

「おおー!」


俺たちは片付けを終え、そのまま管理所へと戻った。


⸻


「ゆきー、魔石持ってきたぞー」


カウンターの奥で書類を整理していたゆきが顔を上げ、軽く目を細める。

機械に魔石を流し込み、計測を始めた。


「……2071個。金額は、291万円だね」

「おお……。昨日は6階層までだったもんな。こんなもんか」

「なんか渋く感じるな」


ブタオと俺は顔を見合わせ、同時にため息をついた。


「今日は……休肝日だな! しっかり肝臓を休めるぞ!」

「おけ」


肝臓を休ませるのも大事です。


「よーし、解散だー! また明日なー!」

「「おおー!」」

<はいっ!>


⸻


現在のゴブリン牧場の状況(388匹)

⸻⸻⸻⸻⸻⸻

・ゴブタロウ檻(ゴブタロウ + メス110匹)

ハイメス92匹

ハイメス赤ちゃん18匹

・スカー檻(スカー + ハイメス15匹)

ハイメス14匹

ハイメス赤ちゃん1匹

・チビ檻(チビ + ハイメス15匹)

ハイメス14匹

ハイメス赤ちゃん1匹

・檻B(96匹)

ハイゴブリンオス赤ちゃん71匹

マジシャン赤ちゃん13匹

ファイター赤ちゃん13匹

・探索部隊(176匹)

ハイオス202匹

マジシャン31匹

ファイター31匹

⸻⸻⸻⸻⸻⸻


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。