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借金持ちの俺、ゴブリン牧場で大金を稼ぎます  作者: といとい


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第60話: ゴブリンさん、7階層に行ってこーい

昼過ぎ、俺たちはいつものように管理所へと到着した。


入口を開けると、ゆきがスマホから視線を上げるでもなく「はいはい、また来たねー」といつも通り。


「じゃ、ダンジョン行ってきまーす」

「いってらー」


ダンジョンに入り、大部屋の扉を開けた瞬間、むわっとした空気とともに、俺たちを迎えたのは整列するハイゴブリンたちの姿だった。


「おお、ちゃんと帰ってきてるな」

「数えてみて……123匹か。あれ? 126匹出したよな」

「ってことは、3匹……死んだか」


ブタオが静かに手を合わせる。南無ー。


「でもさ、123匹も帰ってきたって、やっぱハイゴブリンって6階層までなら安全マージンあるんだな」

「そりゃ、ハイゴブリンが出るのは7階層からだし、それ以下のやつらなんて格下ばっかっしょ」

「ハイゴブリンにとっちゃ作業っスね」

「よーし、魔石回収すっぞー!」


掛け声とともに、ハイゴブリンたちがぞろぞろと列を作り、エナメルバッグを俺たちに手渡してくる。


「うん、ちゃんと20個あるな。全チーム分だ」


ただ──


「……あれ? 昨日より中身が軽くね?」


バッグの中を覗いてみると、昨日よりか少ない。

3分の1を切ってそうだ。


「1つあたり100個前後ってところか。昨日は120個近く入ってたのにな」

「やっぱ6階層までが限界か。全体で2000個ってとこかね」

「てか待て。6階層まででゴブリン2000匹もいるの? それってさ──」

「普通の探索者、無理じゃね?」

「魔石回収が目的じゃないにしろ、数百匹は絶対に戦闘になるでしょ。上位の探索者でも苦戦するんじゃ……」


ううむ


「まぁ、俺ら進まないしな」

「うん、1階層で稼げるし」


なんのためにダンジョンの奥へと進むのか理由が見当たりません!


「けどさ、このまま6階層で安定的に稼ぐのと、奥にどんどん進ませるの、どっちがいいと思う? 毎日200万以上は稼げるぜ?」

「奥だな」

「奥ッス」

<奥ですね>


「……金の亡者どもめ。俺も奥なので満場一致!」


俺は大きく頷いた。


「まあ、全滅してもまた産まれるしな」


冗談じゃなく、ゴブリンって便利すぎる。


「よーし、それじゃあ檻Bのゴブリンたち、外に出てこーい!」


俺の声に反応して、檻Bの扉が開かれる。

そこからぞろぞろと現れるのは、ハイゴブリンたち──探索組と合わせて全部で152匹。


「また20チームでいいな。1チーム7~8匹くらいで分けるぞー」


そう呟きながら、俺は彼らの持っている装備に目をやった。


「……うわ、ボロボロじゃん」


剣にしても槍にしても、どれも刃こぼれがひどい。

まともに手入れもされてないのが一目でわかる。


「2階層で拾ったものよりはマシかもしれねぇけど……質がいいとは言えないな」

「このまま突っ込ませてもいいっス?」


すると、ブタオが軽いノリで答える。


「いんじゃね?」

「お前さぁ、もうちょい考えろ。脳みそまでブタ並なのか?」

「ぶ、ぶひぃーー!」


軽くスネたブタオをよそに、コハルが提案を投げてくる。


「石の棍棒とかどうっスかね?」

「お、それいいな。ブタオ先生、よろしく頼む」

「ぶひ!」

「もういいよ」

「あいよ」


言いながら、ブタオが土魔法で棍棒を作りはじめた。

本来ならすぐ終わるはずの作業だが、なかなか完成しない。


「どうした? 遅くねーか?」

「圧縮してんだよ、素人は黙ってろい!」

「はい!!」


まさかの逆ギレ。

でも、なるほど。ただの石だとすぐ壊れるし、圧縮して強度を高めてるのか。


10分後、汗だくになったブタオが、自信満々の顔で棍棒を掲げた。


「できたぞ! 俺特製、ビッグマグナムトゥエンティーだ!」

「どれがワンでどれがツーだ」

「こっちがワンで、こっちがツーだな」


っあ、はい。

まさか決めてるとは思わなかった。


20本の棍棒を1チームに1本ずつ配布すると、受け取ったハイゴブリンたちは目を輝かせながら嬉しそうにしている。


「よし、これで7階層まで探索してこーい!」

「無理は禁物だぞ! 生き残って魔石を持って帰るまでが探索だからな!」

「ギャー!」


意気込みたっぷりの叫び声を上げながら、彼らは武器を手にして大部屋を飛び出していった。


「よし、行ったか」


俺たちはゴブリンたちが大部屋を出ていくのを見送った。


「……ところでさ、今出てったハイゴブリンの中に、スカーとかチビの子供っていたのかな?」

「いたんじゃね?」

「いや、わかんねぇっス」


コハルとブタオが曖昧な返事を返す中、チアキがスマホを素早く操作して表示を送ってくる。


<たぶんゴブタロウさんの子供なので、いないかと>


「おお、チアキ。さすがだな。ってことは、スカーたちの子が探索に出るのは明日か」

「なんか、ちょっとワクワクするっス」

「さて、出産チェックすっか」


俺は檻の前に立ち、声を張り上げる。


「メスどもー、オスゴブリンの赤ちゃんを檻Bに移動してくれー!」


メスゴブリンたちがいそいそと動き出す。

トンネルを使って、ヨチヨチと歩く赤ちゃんたちを丁寧に運び、檻Bへと滑り込ませていく。


「……おお、64匹か」


俺が指を折りながら数えていると、ブタオが檻の中を覗き込んで言った。


「ゴブタロウとかスカーのとこに残ってるメスは……13匹か。うん、順調じゃん」

「順調っスね」

「うむ。よし、帰るぞー」


──


管理所に戻ると、ゆきがいつものようにカウンターでスマホを見ていた。


「魔石、提出しますー」


エナメルバッグの口を開け、機械にざらざらと魔石を流し込む。

数が多すぎて、数分単位で時間がかかる。


「……2034個。金額は、281万4000円だね」

「うっひょおおお!!」

「昨日ほどじゃないけど、ひとり60万は超えたぞ……!」

「金銭感覚ぶっ壊れるっス!!」


ゆきが機械を見てつぶやく。


「これ、質のいい魔石が4つあるわね。ハイゴブリン?」

「あ、そうっす。死んだ味方のハイゴブリンっすね。」

「ふーん」


ゆきは興味なさげにまたスマホへと視線を戻す。


「……よし! 今日は回らない高級寿司だー! 行くぞてめぇらー!」

「「おおーー!!」」

<おおーーー!!>


俺たちは拳を突き上げ、テンション最高潮で管理所を飛び出した。


⸻


現在のゴブリン牧場の状況(307匹)

⸻⸻⸻⸻⸻⸻

・ゴブタロウ檻(ゴブタロウ + メス64匹)

ハイメス53匹

ハイメス赤ちゃん11匹

・スカー檻(スカー + ハイメス12匹)

ハイメス11匹

ハイメス赤ちゃん1匹

・チビ檻(チビ + ハイメス12匹)

ハイメス11匹

ハイメス赤ちゃん1匹

・檻B(64匹)

ハイオス赤ちゃん64匹

・探索部隊(152匹)

ハイオス152匹

⸻⸻⸻⸻⸻⸻


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