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借金持ちの俺、ゴブリン牧場で大金を稼ぎます  作者: といとい


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第54話: ゴブリンさん、少ない

昼過ぎ、いつものようにダンジョン管理所に足を踏み入れると、ゆきが無言でこちらを見上げた。

もはや俺たちの登場は特別なことではない。


俺たちは軽く挨拶だけ交わし、ダンジョンへと足を進めた。


「さて、どうなってるかな……」


大部屋に入ると、むわりとした空気と、馴染みのある土と血のにおいが鼻腔を突く。

すぐに、ずらりと並ぶゴブリンたちの姿が目に入った。


「おお……」


見渡す限り、戻ってきたのは70匹。

昨日より減っているが、見覚えのある面構えの連中ばかりだ。


特に目立つのが、鍛えられた体躯を持つハイゴブリンたち。

数えてみると20匹。残りはすべてホブゴブリンのようだ。


「スカー……チビも、ちゃんと帰ってきたな」


俺の視線に気づいたのか、スカーが小さく頷き、チビは魔石袋のそばで嬉しそうにぴょこぴょこと飛んでいる。


「よーし、魔石を持ってきてくれー!」


俺が声をかけると、スカーがすぐに反応し、周囲のホブたちに鋭く「ギャ!」と号令を飛ばす。

号令に従ったホブたちが、それぞれビニール袋をずしりと抱えて運んできた。


「……おお?」


そのうちのひとつを俺が両手で抱えると、想像以上の重量が腕にのしかかった。


中身がずっしり詰まっている感触。

揺らすとカラカラと魔石がぶつかり合う音が響く。


「これ……昨日よりさらに重いな。80、いや、90はあるかも」

「すげえな。20袋全部で……最低1600個はあるか」

「やばいっスね。どんどんとお金が増えてくっス!」

<私の借金もすぐに返済できるでしょうか……>


みんな袋の山を見つめてニヤけていた。


袋は限界まで膨れ上がり、今にも破けそうに見える。

持ち上げるたびに、薄いビニールがキィと鳴くような気さえしてくる。


「うーん……さすがにこのままだと運搬中に破れるな。そろそろ道具も更新しないと……」


俺は腕を組んで唸った。ビニール袋ではもう限界だ。

リュックサックか、いや、むしろ体育会系の部活でよく使われてるようなエナメルバッグでもいいかもしれない。

少なくとも、多少の重さと衝撃には耐えられるだろう。


「……エナメルか。ダンジョンに似合わねぇけど、実用性は高いな」

「野球部みたいなやつでも帰りに買ってくか」

「そうだな。購入する金額は分配前に取っておくか」


コハルとチアキに問題ないか尋ねると、了承を得られた。


「よし、次は……檻Bの連中、出てこーい!」


俺の声に反応して、檻の中でざわめきが広がる。

数秒後、ぞろぞろと檻から溢れ出るように、オスゴブリンたちが姿を現した。


すでに戻ってきていた探索組と合流し、大部屋は一気にゴブリン密度が増した。


「うお、すご……これで全部か?」


ブタオが眉をひそめながら数を確認していく。チアキは無言でメモを取り始めた。


<ハイゴブリンが49匹、ホブが226匹、ハーフが253匹……合計で528匹です!>

「チアキよく数えられるな……ってゴブリンの数が多いな」


前よりも広げたとはいえ、大部屋の容量は狭く感じる。

足の踏み場がどんどん減っていく。


今日はまた違う趣向を凝らしてみる。


「スカー、今回のチーム分けなんだけど、種別ごとにチームを組んでくれ。階層については……チームごとに相談して決めてくれて構わない」


俺がそう指示を出すと、スカーは即座に「ギャ」と頷き、大声で全体に指示を飛ばした。


ホブやハーフたちが一斉に動き出す中、一部のハイゴブリンたちが動かず、腕を組んでふんぞり返っているのが見えた。


「……あれ、なんか嫌な予感」


その瞬間、帰還組のハイゴブリンがすっと近づき、何のためらいもなく一発、拳を叩き込んだ。


ドゴッ!


無視を決め込んでいたハイゴブリンが吹っ飛び、地面を転がる。


「おお……」


俺たちは思わず息を呑んだ。


「昨日のコハルの残虐劇を見た奴は、面構えが違うな。あ、コハルさん、ウォーミングアップしないで」


コハルがやる気満々で腕をぐるぐると回していた。

やめてあげて。


コハルの説得力は、ゴブリン社会にも深く刻み込まれていたらしい。


やがて、チーム分けが完了したらしい。


「ハイゴブリンは7匹ずつで7チーム、ホブが20匹ずつで11チーム、ハーフが25匹ずつで10チーム……合計28チームか」


「よし、あとはリーダーたちで階層を話し合って決めてくれ」


それを聞いた各チームのリーダー格が、ぽつぽつと集まって円を作り、真剣な表情で意見を交わし始める。


しばらくすると、話し合いがまとまったらしく、最初のチームが大部屋の出口に向かって歩き出した。続々と出発していく28チーム。


「ふう……明日が楽しみだぜ」


明日のいくら稼げるだろう。


「さて、最後は檻Aの出産チェックだな」


俺たちは移動しながら、いつものようにメスゴブリンたちの腹を確認していく。


……だが。


「あれ?」

「ん?」

「おかしくないっス?」

<これは……>


覗き込んだ俺が思わず声を上げた。


「赤ちゃんの数が……少ない……?」


いつもはワサワサといたゴブリンの赤ちゃんの数が少ない。

100匹もいないぞこれは。


なんだ……?


妙な静けさが、檻の中に漂っていた。


ゴブタロウを見ると、ニヤリと笑っていた。


⸻


現在のゴブリン牧場の状況(1545匹)

⸻⸻⸻⸻⸻⸻

・檻A(ゴブタロウ + メス1016匹)

メス228匹

ハーフメス414匹

ホブメス163匹

ハイメス13匹

ハーフメス赤ちゃん121匹

ホブメス赤ちゃん58匹

ハイメス赤ちゃん19匹

・檻B(0匹)

ハーフオス0匹

ホブオス0匹

ハイオス0匹

・探索部隊(528匹)

ハーフオス253匹

ホブオス226匹

ハイオス49匹

⸻⸻⸻⸻⸻⸻




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