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借金持ちの俺、ゴブリン牧場で大金を稼ぎます  作者: といとい


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第48話: ゴブタロウ、進化する

昼過ぎ、俺たちはいつものようにダンジョン管理所に到着した。


「おはようございまーす」


入口の扉を開けて中に入ると、すでに先客がいた。


「……あ、チアキちゃん、もう来てたんスね」


カウンターの前、姿勢よくソファに座っているのは我らが新メンバー・チアキ。

相変わらずの無表情で、こちらに気づくと小さく会釈してきた。


「おはよう。今日は早いね」


ピコン。


《おはようございます。本日は予定がないので、早めに来させていただきました。どうぞよろしくお願いいたします》


うん、いつもながらチャットでの長文は丁寧すぎて、こちらが恐縮してしまう。


「じゃ、行くか」

「っスねー」


ダンジョンへの道を歩きながら、俺たちはいつものように大部屋へと向かった。


大部屋に着くと、空気のむわっとした湿気とゴブリンのざわめきが迎えてくる。

俺は荷物を下ろしながら、チアキに声をかけた。


「今日はチアキは休憩な」


ピコン。


《ありがとうございます。助かります。筋肉痛がひどくて……》


運動不足な女の子があれだけゴブリンを殺したら、そりゃ筋肉痛にもなるわな。


「でさ、俺の予想なんだけど……」

「っス?」


俺は隣を歩いていたコハルを振り返った。


「たぶん、チアキはもうゴブリンを処分しなくても経験値が入ると思うんだ」

「へっ? なんでっス?」

「お前にも経験値が入ってるからだよ」

「えっ……私、昨日レベル上がったっスけど、あれ……なんもしてないっスよ……?」

「だろ? それがおかしいんだよ」


ブタオが腕を組んでうなずく。


「前までは念力で赤ちゃんゴブリン浮かせたりしてたけど、昨日は何もしてないもんな」

「ボ、ボディーガードしてたっス!」

「お黙り! ダンジョンがパーティってものを認識してて、何かしらの連携が取れてれば経験値を自動で分配してる可能性があるってことが言いたいのよ」

「……そんな、ゲームみたいなシステムあるんスか……?」

「いや、ダンジョンってゲームみたいなもんだろ。スキルあるし、レベルあるし、魔石もあるし」

「た、確かに……言われてみれば……」

「だから、なーんにもしてないニートなお前に経験値が入ってるってことは、空間拡張して頑張ってるチアキにも当然経験値は入るはずだ」

「ニ、ニートじゃないっスよ!? ……いや、ニートかもしれないっス……」

「お、おう……なんか、ごめんな……」


さて、次は本日のメインディッシュだ。


「お前ら、出てこーい!」


俺の声が大部屋に響くと、檻B、檻Cの中からわらわらとゴブリンたちが出てくる。

あっという間に床がゴブリンで埋め尽くされた。

ホブも、ハーフも、通常種も入り乱れてうごめく光景は、まるで蠢く緑の海。


「全部で428匹だな」


ブタオがメモを取りながら呟く。


「……ホブが55匹、ハーフが229匹。これ、もうエグくないっスか?」

「うん、エグい。絶対エグい」


俺たちは改めて目の前の数に戦慄した。


「20チームに分けよう。1チーム21〜22匹で」

「了解っス」


手際よくチームを編成しながら、俺は声を張る。


「今日の目標は4階層だ!魔石回収係は最優先で守れ! お前らの代わりはいくらでもいる!」

「「ぎゃぎゃぎゃ!?」」


「お前らは騎士だ! 魔石回収係という姫を絶対に守れ! だがちゃんと野良ゴブリンを殺してこい!」

「「ぎゃぎゃぎゃ!!」」


「よし、稼いでこーーーい!!!」

「「ぎゃぎゃぎゃーーーーー!!!!!!!」」



床を踏み鳴らす音、甲高い鳴き声、武器の金属音。

指示を受けたゴブリンたちが、勢いよく大部屋を飛び出していく。

ズドドドドドと土煙を巻き上げながら、一直線に通路を駆けていくその様は、まさに軍隊そのもの。


「……すげぇ迫力だな」

「もう何かの部族っスね」


ピコン、とチャットの通知音。


《すごい迫力ですね……! まさかここまでとは思いませんでした!》


チアキからの感想だ。


「ふふ、そうだろうそうだろう」


ニヤリと笑いながら、俺は手を叩く。


「よし、出産チェックするかー」


そう言って檻Aのほうを見た瞬間、俺は異変に気づいた。


「……ん? お、おい、あれ見ろ……ゴブタロウ、あれ……」

「うおお!? なんかムキッとしてるぞ!?」


確かに、ゴブタロウの体つきが明らかに違う。

腹筋は割れ、肩幅が広がり、胸筋が盛り上がっている。


「細マッチョになってる!?」

「おおお、なんかボディビルダーみたいっス!」


チアキもチャットを送ってくる。


《モデルさんみたいですね……!》


その瞬間、ゴブタロウがこちらを振り向き、にやりと笑うと──


「……お、おい、なんかやってるぞ?」

「うわ、ポージングっス! サイドチェスト決めてるっス!」

「くっそ、なんかうざい……」

「コハル、このゴブリンはなんか分かるか?」

「うーん……多分、7階層から出てくるハイゴブリンなんじゃないかと思うっス」

「ハイゴブリン?」

「はいっス。ハイゴブリンはホブより上の存在っス。力任せじゃなくて、戦闘技術があるって噂のゴブリンっスね。人間で言えばモンクっス」


チアキがまたチャットを送ってくる。


《ハイゴブリンといえば中級の探索者と同様の強さがあると聞いたことがあります……!》


ほほう?

つまり俺たちは中級冒険者を何人も下僕として使うことができると?


「これは……またハイゴブリンが量産される未来しか見えねぇな」

「金の匂いしかしないっス!」


⸻


現在のゴブリン牧場の状況(481匹)

⸻⸻⸻⸻⸻⸻

・檻A(ゴブタロウ + メス480匹)

ゴブタロウ

メス188匹

ハーフメス228匹

ホブメス74匹

メス赤ちゃん0匹

ハーフメス赤ちゃん0匹

ホブメス赤ちゃん0匹

・檻B(0匹)

オス0匹

ハーフオス0匹

ホブオス0匹

・檻C(0匹)

魔石回収係0匹

ハーフオス0匹

ホブオス0匹

⸻⸻⸻⸻⸻⸻



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