↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
借金持ちの俺、ゴブリン牧場で大金を稼ぎます  作者: といとい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

47/99

第47話: チアキ、初給料を受け取る

「よし、お前ら! 檻から出て来い! 魔石を回収しろ!」


俺が声を張り上げると、檻Cに押し込んでいたゴブリンたちが一斉に動き出した。ホブもハーフも、それぞれ自分の役割を理解しているようで、整然とチアキが処分したゴブリンたちの死体へと歩み寄っていく。


死体の胸元を鋭い爪で割き、ゴリゴリと音を立てて魔石を引き抜いていくその手つきは、もはや手慣れた職人のようだ。


その光景を横目に、俺はチアキのほうへと歩み寄った。


「チアキちゃん、ちょっと相談があるんだけど」


ピコン。


俺のスマホが振動した。


《相談とはなんでしょう》


……やっぱチャットで返事くるんだよなあ。便利だけど、こう……話しかけた後にスマホで反応が返ってくるって、ちょっとシュールだよね。


「えっとさ、これからも僕らの手伝いをしてほしいんだよね」


チアキは無言でこちらを見ていたが、次の瞬間、こくりと小さく頷いた。


「このゴブリン牧場を見てわかったと思うけど、俺らはこの方法で稼いでる」


コクリ。


「ゴブリンの数は毎日アホみたいに増えてる。俺の“飼育スキル”が関係してて、メスゴブリンは1日ごとに出産するんだ」


コクリ。


「だから、増えてるゴブリンを処分するだけで、相当の魔石が稼げる」


コクリ。


「でもこのままじゃ、この大部屋がパンパンになってしまう」


コクリ。


「そこで、君の“空間魔法”の出番ってわけだ」


コクリ。


チアキの頷きが、機械的ながらも少しテンポよくなってきたような気がする。……気のせいか?


「君の魔法でこの大部屋を拡張できれば、もっともっとゴブリンを増やせるし、魔石も稼げる」


コクリ。


「収益はこの4人で分け合う。一部はゆきちゃんに渡す必要があるけど、それでもかなりの額が毎日入ってくるはずだ」


コクリ。


「どう? 一緒に稼がないか?」


ピコン。


《願ってもない申し出です! こちらからお願いしようと思っておりました! このような安定かつ効率的な環境でレベルを上げ、収益にも貢献できることを大変光栄に思います。どうぞ、これからもよろしくお願いいたします!》


「よっしゃあ!」


俺は思わずガッツポーズを決めた。


「チアキちゃん、これからよろしくな!」


チアキはチャットを閉じると、無言のまま、また一度だけ──深く、丁寧に頷いた。


「ちなみに、毎日参加ってできる?」


俺がチアキの方を向いてそう聞くと、すぐにピコンとチャットの通知が鳴った。


《はい! 今は大学が春休みに入ったため、毎日参加できます!》


「おお、それはありがたいな。じゃあ大学が始まったら、また相談しよう」


《わかりました! よろしくお願いします!》


チャットのテンションが高すぎて、表情の薄いチアキ本人と脳内で一致しない。

だがそのギャップがまた面白い。


「さて……」


ちょうどいいタイミングで、檻Cにいたゴブリンたちが、処分されたゴブリンから魔石を回収し終えたようだった。

ゴブリンたちは、汚れた小さな手で1匹1匹丁寧に心臓をえぐり、魔石をビニール袋へ詰め込んでいく。


「回収完了っスー!」


コハルがビシッと手を挙げた。


「おーけー。コハル、袋まとめて運んでくれ」


「了解っスー!」


念力で持ち上げられた袋たちは、ふわりと空中に浮かび、俺たちの周囲をふわふわと漂いながら整列する。

中身はどれもパンパンに詰まっており、ずっしりとした重さが伝わってくる。


「じゃあ次──」


俺は大部屋に向かって大声を張った。


「メスゴブリンどもー! オスの赤ちゃんを檻Bに移動させろー!」


その瞬間、檻Aの奥でわらわらと動き出す気配。

メスゴブリンたちが、一斉に赤ちゃんを抱えたりつまんだりしながら、昨日作ったトンネルへと向かっていく。


「スルスルと……よし、動いてるな」


赤ちゃんゴブリンたちは、トンネルの中をするりするりと滑っていき、順に檻Bの中へと収容されていった。

中には「ぎゃっ!」と鳴き声をあげる赤ちゃんもいたが、それすらも牧歌的に感じるようになってきた。


「うん、完璧。指示が通るって素晴らしいな」


ブタオが腕を組んで感心したように頷く。


「じゃあ、帰るか」

「そっスねー」

「ちょっと疲れたっス……」


コハルがふらふらしながら袋の最後尾を念力で押さえつつ、俺たちは荷物をまとめて大部屋を後にした。


管理所に戻ると、ゆきがカウンターで待っていた。


「おかえりー。チアキはどうだった?」

「頑張ってくれましたよ。これからも一緒に組もうと思います」

「そう。よかった」


ゆきは慣れた手つきで魔石の計測機に魔石を通していく。

ガコン、ガコンと小気味よく音を立てて魔石が吸い込まれ、金額が表示される。


「はい、合計431,000円ね」


「うぉぉぉ……!!」

「ありがたや〜」

「1人あたり10万超えっス!」

《こんなにいただいてよろしいのでしょうか!?》


もちろん、ここからゆきちゃんへの上納金10%を引く必要がある。

だがそれでも、9万オーバーの収入は十分すぎた。


「明日もチアキちゃんの殺戮ショーっス?」

「いや、明日は探索させよう。コハルが何もしなくても経験値が入ってるぽいから多分チアキにも入るだろ」


俺たちはゆきにお礼を言い、チアキを労いながら、今日一日を無事に終えたことに安堵した。


明日も、ゴブリンは増え続ける。

だが俺たちの銀行預金もまた、着実に膨らんでいくのだった。


⸻


現在のゴブリン牧場の状況(908匹)

⸻⸻⸻⸻⸻⸻

・檻A(ゴブタロウ + メス480匹)

ゴブタロウ

メス151匹

ハーフメス152匹

ホブメス43匹

メス赤ちゃん37匹

ハーフメス赤ちゃん66匹

ホブメス赤ちゃん31匹

・檻B(336匹)

オス134匹

ハーフオス167匹

ホブオス35匹

・檻C(92匹)

魔石回収係10匹

ハーフオス62匹

ホブオス20匹

⸻⸻⸻⸻⸻⸻



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。