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借金持ちの俺、ゴブリン牧場で大金を稼ぎます  作者: といとい


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第43話: 新卒の手取りくらい稼ぎたい? 余裕です

「ぎゃぎゃぎゃあっ!」


大部屋に反響する慣れた鳴き声に、俺たちは同時に顔を上げた。


「おっ、帰ってきたっス!」


コハルがぴょんと飛び跳ね、入り口のほうを指差す。

そこから、ずらずらと列を成して戻ってくるゴブリンたちの姿があった。


「おお……数、思ったより多くね?」

「……確かに。昨日より全然帰ってきてるな」


俺とブタオは顔を見合わせながら、一歩前に出る。

ゴブリンたちは泥と血と汗にまみれた状態で、まるで遠征から帰ってきた小隊のように疲弊しつつも、誇らしげに胸を張っていた。


「ぎゃ、ぎゃぎゃーっ」


手を振るように鳴いてきたのは、あのチビゴブリンだ。ちゃんとビニール袋を抱えて戻ってきている。

それに続くように、魔石回収係らしいゴブリンたちが数匹、ぞろぞろと姿を現す。


「……数えるか」


ざっと並べてみたところ、帰還したのは92匹。


「ホブが……20匹、魔石回収係が10匹……あとは全部ハーフ種か」

「ホブが1匹しか減ってないのはいいっスね」

「通常種は1匹も帰ってきてねぇな」

「通常種に3階層はさすがにきつかったかもな」


だが、驚いたのはここからだった。


「おい、魔石回収係、集まれー!」


俺が声を上げると、チビを含む10匹のゴブリンがわらわらと前に出てきた。

それぞれが大事そうにビニール袋を抱えている。


「それ、よこしてみ」


ビニール袋を受け取って開けた瞬間──


「うぉっ……重っ」


中には、光を放つ魔石がぎっしりと詰まっていた。

形はやや小ぶりなものの、数は確実に40〜50個はある。


「これ……全部で10袋あるんだよな?」

「マジか……50個×10ってことは、500個……?」

「実際に換金できるのは多少上下あるだろうけど、それでもヤバい額っスよ……」

「こいつら……仕事できすぎじゃね?」


チビが誇らしげに胸を張っている。


「……いや、これはマジで、想像以上の成果かもな」

「よーし、じゃあみんな──檻Cに入れー!」


疲弊したゴブリンたちに指示を出すと、「ぎゃあ」と返事をしながら整列し、ゆっくりと檻の中へと収容されていく。

ホブたちが率先して入口を押さえ、残りのハーフが順々に入っていく様は、もはや軍隊だ。


俺たちはその光景を、ただ呆然と見つめていた。


「……思ったより、やれるな、あいつら」

「うん、正直ちょっと感動っス」

「よし、管理所に戻るか」


そして魔石の入ったビニール袋を見る。

どうみても手で運ぶのは厳しい。


「あ、コハル先生。念力で運んでいただけますと大変ありがたいです」

「了解っス。ボディーガード以外の仕事ができて嬉しいっス」


コハル先生はやっぱり必要です。はい。


管理所に戻った俺たちは、まずは重たい魔石袋をカウンターにどさりと置いた。


「ただいまーっス!」

「おかえり。……って、またそんなに?」


ゆきが眉をひそめながら袋の中を覗き込む。中にはぎっしり詰まった魔石をざっと見る。

魔石の入ったビニール袋を軽々しく持ち、品質チェックの機械で魔石を流し込む。


えー、ゆきちゃん俺でも重いなって思ったのに全然普通に持つじゃないですか。

やっぱり元探索者だからレベルも高いのかな。


「524個。換金額……597,000円、っと」

「やったあああああ!!」

「おらあああ!!」

「すごいっスーーー!!」


俺とブタオ、コハルはその場で小さくジャンプして喜んだ。

1人あたり、新卒の月の手取りくらい稼いている。

ゴブリン牧場、恐るべし。


「……あんたら、明日も来るの?」


振り込み処理をしながら、ゆきがふと聞いてきた。


「もちろん来ます!」

「来ない理由がないわ」

「今年中に借金返済してやるっスー!」


コハルは今年で1億稼ぐ予定らしい。

いや、これ普通に行くんじゃねぇかな。


「そっか、じゃあちょっと紹介したい子がいるんだけど」

「え、また妹ですか?」

「妹はコハルしかいないわよ」

「あっ……じゃあ弟です? いや、男はちょっと……」

「……あなたにコハルを預けてるのに、なんか急に不安になってきたわ」

「いや、冗談です……」

「まぁなんでもいいけど。紹介したいのは女の子よ。知り合いっていうか、ちょっと面倒を見てる子なの。最近探索者になったらしくて、相談に来ててね」

「えー、でもこっち、ゴブリン牧場やってるじゃないっすか。あまり他人に知られたくないというか……」

「大丈夫。秘密は守らせる。それに、あんたらにも悪い話じゃないはずよ」

「そんなにすごいスキルでもあるんすか?」


ゆきは少し言うのをためらい、口にした。




「……空間魔法よ」




その瞬間、俺とブタオは顔を見合わせた。コハルは「なにそれーっス!?」と目を輝かせる。


「すぐに紹介お願いします」

「じゃあ明日よろしくね」


これはえぐい案件が来ましたな。

空間魔法って世界を見てもかなり有名なスキルじゃないですかー。



⸻



現在のゴブリン牧場の状況(623匹)

⸻⸻⸻⸻⸻⸻

・檻A(ゴブタロウ + メス356匹)

ゴブタロウ

メス137匹

ハーフメス111匹

ホブメス28匹

メス赤ちゃん24匹

ハーフメス赤ちゃん41匹

ホブメス赤ちゃん15匹

・檻B(262匹)

オス112匹

ハーフオス131匹

ホブオス19匹

・檻C(92匹)

魔石回収係10匹

ハーフオス62匹

ホブオス20匹

⸻⸻⸻⸻⸻⸻


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