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借金持ちの俺、ゴブリン牧場で大金を稼ぎます  作者: といとい


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第41話: 追放

昼、俺たちはいつものように管理所に顔を出し、ゆきに軽く挨拶を済ませたあと、大部屋へと向かった。


扉を開けると、ゴブリンたちの鳴き声と、むわっとした空気が押し寄せてくる。

今日も相変わらず、ゴブリン牧場はカオスだった。


「さて……やるか」


ブタオが袖をまくり上げ、土魔法で大部屋の仕切りをぐいっと広げる。檻Bと檻Cを解放すると、中からぞろぞろとオスゴブリンたちが出てくる。


「野郎ども、集まれー!」


俺の声が大部屋に響くと、檻の中でうごめいていた連中が一斉に反応し、ぎゃぎゃぎゃーと雄叫びを上げながら群がってきた。


「うじゃうじゃいすぎだろ……」


目の前に広がるのは、まさに地獄の運動会。

オス110匹、ハーフオス157匹、ホブオス21匹――合計288匹。地面が揺れそうなほど、わらわらと蠢いている。


「ああもう、数えんらんないわ」


ブタオが呆れながらも、手際よく奴らを仕分けていく。


「よし、10チームに分けよう。1チーム28〜29匹ってとこだな」

「ホブゴブリンも分配しとけ。1チームに2匹ずつだ。あとは回収係もな」

「了解」


俺たちはチーム編成を進めながら、魔石回収係を10匹選び出した。

あの小柄なチビも含まれている。

ビニール袋と土魔法で作った即席のナイフをそれぞれに持たせていく。


「おまえらー! ホブゴブリンは回収係を守れ! 魔石回収係は、敵味方問わず魔石を忘れず回収しろ! 魔石だぞ、命より大事だ! お前が死んでも魔石は持って帰ってこい!」


ゴブリンたちがぎゃぎゃと喚きながらも、それぞれの武器を構え、仲間と並び、じりじりと興奮を高めていく。

いつものように統率は取れてないが、不思議と役割意識はあるようだった。


「よし――今日は3階層まで進め!」


一拍置いて、さらに言う。


「魔石回収係とホブは、チームが半分以下になった時点で折り返して戻ってこい! 突っ込みすぎんなよ!」

「ぎゃぎゃぎゃああああーー!」


一斉に吠え、288匹のゴブリンたちは蠢きながら大部屋の奥へと消えていった。


土くさい風とともに、静寂が戻る。


「……やれやれ。あとは祈るしかないな」


ブタオが軽く汗を拭い、俺もうなずいた。


「チビだけは帰ってきてほしいな」

「同感」


俺たちは残った檻のゴブリンたちを一瞥し、次なる作業――出産チェックへと移った。


「よし、出産チェックするぞー!」


大部屋の片隅で叫ぶと、メスたちがびくりと動きを止め、こちらに視線を向けてくる。


「いくっスー!」

いつものように、やる気全開のコハルが飛び出してきた。だが――


「……あ、ちょっと待て、コハル」


俺は手を上げて制止した。


「え? なんスか?」

「ブタオ、ちょっと相談なんだけどさ……檻Aから檻Bに繋がるトンネルみたいなの、作れない?」

「トンネル? ああ、赤ちゃんゴブリンの移動用?」

「そう。今まではコハルが毎回1匹ずつ念力運んでたけど、そろそろ数がエグいだろ? だったら、メスたちに運搬を任せちまえばいいかなって思ってな」

「おぉ、それいいな。よし、やってみるか」


ブタオがにやりと笑い、両手を構える。

ゴゴゴ……と音を立てて、檻Aの上部から檻Bへと、緩やかな傾斜のついたトンネルが形成されていく。


表面は滑らかに仕上げられており、転がしても問題なさそうだ。


「おーし……できた!」

「おっけー。あ、檻Bの地面をちょっと斜めにしてくれ。滑ってきた赤ちゃんが重ならないようにしたいわ」

「あー、確かにな。ちょいまち」


ブタオが土魔法で檻Bの地面に傾斜を作る。

これで滑ってきた赤ちゃんゴブリンはどんどんと奥に運ばれる仕組みの完成である。


「メスどもー! オスの赤ちゃんをそのトンネルに入れろー!」


俺が指示を飛ばすと、メスゴブリンたちが「ぎぃっ」と短く鳴きながら一斉に動き出した。

赤ちゃんゴブリンを抱えて、トンネルの入り口に並び、次々と中へと押し込んでいく。


「きゃー!」

「ぎゃぎゃ!」


赤ちゃんたちするするとトンネルをすべって檻Bに転がり落ちていく。

傾斜がちゃんと機能してくれているようで、どんどんと奥の方から埋まっていく。


「うむ……これが自動化ってやつだな」


俺は腕を組んで満足げにうなずいた。

何匹送られたのかはよくわからないが、コハルの負担がごっそり減ったのは事実だ。


「いやー、重労働がなくなると助かるな」

「ほんとにな。数が増えすぎて数えるの億劫だったもん」


だがそのとき、トンネルをじっと見つめていたコハルが、ぽつりとつぶやいた。


「あれ……私って、これ……仕事なくなる感じっス?」


静まり返る大部屋。ブタオと目が合った。


「……」

「……」









「コハル……君をこのチームから追放する!!」

「えええええええええーーーっス!!?」


叫び声が、大部屋に響き渡った。



現在のゴブリン牧場の状況(623匹)

⸻⸻⸻⸻⸻⸻

・檻A(ゴブタロウ + メス356匹)

ゴブタロウ

メス137匹

ハーフメス111匹

ホブメス28匹

メス赤ちゃん24匹

ハーフメス赤ちゃん41匹

ホブメス赤ちゃん15匹

・檻B(262匹)

オス112匹

ハーフオス131匹

ホブオス19匹

・檻C(0匹)

オス0匹

ハーフオス0匹

ホブオス0匹

⸻⸻⸻⸻⸻⸻




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