第39話: ゴブリンさん、リフォームですよ
昼、俺たちはいつも通り青梅ダンジョンの管理所に集合し、ゆきに軽く挨拶を済ませてから、ダンジョン内部へと向かった。
「よっしゃ、今日も張り切っていこうぜ」
「オッス!」
コハルとブタオが拳を軽く突き上げながら、ダンジョンに入る。
慣れた足取りで、大部屋へと到着した。
昨日はオスの殺処分を行っていないため、部屋の隅に転がる死体も、当然、魔石もなかった。
「さて……今日は出撃準備だな」
俺はそう言いながら、檻Bに近づいた。ブタオが土魔法で扉の封を解除し、ゴゴッという鈍い音を立ててゲートが開く。
「──ここに集まれー!」
声を張り上げると、奥にいたオスゴブリンたちが一斉に振り返り、「ぎゃぎゃぎゃ!」と喚きながら走ってくる。
昨日はテンションで律儀に整列させたけど、正直、あれは無駄だった。今回は整列なんてさせずに、出撃に必要な準備だけに集中する。
ざっと数えて162匹。中にはホブゴブリンが11匹混ざっている。こいつらを軸にチームを編成する。
「11チームか……1チームあたり14匹か15匹くらいで分けられそうだな」
「了解っス! 分けるのやるっス!」
コハルが率先してゴブリンたちをチーム分けし、ブタオがそれぞれのチームに魔石回収用のビニール袋を配っていく。
土魔法で作った簡易ナイフも各チームに1本ずつ──特にチビには丁寧に手渡しておいた。こいつは地味に仕事ができる。
「よし、全チーム準備完了!」
俺は一歩前に出て、再び声を張り上げる。
「今日は二階層まで行けーッ!! 間違っても三層には行くなよッ!!」
「ぎゃぎゃぎゃー!!」
「ホブゴブリンは極力戦闘には参加せず、魔石回収係を守れ! 回収係は敵味方関係なく、死体から魔石を取ってこい! お前ら、絶対に生きて帰ってこい!!」
「「ぎゃぎゃぎゃーーっ!!」」
叫び声が大部屋に響き渡り、オスゴブリンたちは全身を震わせて歓声を上げる。
「──よし、行けーッ!!」
162匹のオスたちは一斉に駆け出し、次々とダンジョンの通路へと吸い込まれていった。
「ふぅ……これでいけるかな?」
俺はオスゴブリンたちが駆け抜けていった通路を見送りながら、腰に手を当てて一息ついた。
「2階層なら、野良のホブゴブリンはいないから……まぁ問題ないだろ。な?」
「たぶんっスけど、2階層って、どれくらい広いんすかね?」
コハルが首を傾げながら言う。
「さあな。ちょっとしか行ったことねぇからな」
「適当っスね」
「仕方ねぇだろ。怖いんだから。死んだらそこで試合終了ですよ?」
「あんざ⚪︎先生っス!」
「出産チェックは好きですか?」
俺たちは檻Aの方へと向かい、念力で檻から出てきた赤ん坊の性別をチェック。
ふわふわと浮かせながらの流れ作業だ。
「オス、102匹っス」
「ハーフオスは124……こっちもやべぇな」
「ホブオスが10匹いるぞ」
「メスが21、ハーフメス28、ホブメス12……合計、297匹」
「いやいやいや……増えすぎだろ」
俺は頭を抱える。いや、前から多かったが……一気に300近くはさすがにやりすぎじゃないか?
ブタオが溜め息混じりに言う。
「そろそろ、この大部屋……狭くね?」
「……同感」
俺は檻の上を見上げる。天井まではまだ余裕がある。というか、なんで今まで使ってなかったんだ。
「よし。一旦、天井まで檻を高くする。三階建てまではいけるだろ」
ブタオが無言で頷き、土魔法を起動。檻Aと檻Bの周囲に土の柱が立ち、棚のように檻が上下に積み上がっていく。
「うーん……これで千匹まではいけるかな。いや、せいぜい千ちょいか。二千は絶対無理」
「どうするよ?」
「……違う部屋を探すか、間引くかしかねぇな」
俺は天井を仰ぎ、深いため息をついた。
「ほんとはさ、ゴブリンたちに言っときゃよかったんだよ。広い部屋見つけたら報告しろってな」
「でも報告されても『ぎゃぎゃぎゃ』じゃ分かんねーっスよ?」
「……だな」
とりあえず、今日生まれた赤ん坊たちは、檻Aと檻Bに分けて収容しておく。
「さて……管理所戻るか」
「オッス」
「はいっス~」
俺たちはゴブリンたちの声を背に、再びダンジョンの入り口へと向かった。
現在のゴブリン牧場の状況(519匹)
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・檻A(ゴブタロウ + メス283匹)
ゴブタロウ
メス121匹
ハーフメス83匹
ホブメス16匹
メス赤ちゃん21匹
ハーフメス赤ちゃん28匹
ホブメス赤ちゃん12匹
・檻B(236匹)
オス102匹
ハーフオス124匹
ホブオス10匹
・処分済み
0匹
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