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借金持ちの俺、ゴブリン牧場で大金を稼ぎます  作者: といとい


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28/99

第28話: 妹ちゃん、生産性高すぎます

お昼頃の眩しい光が射す中、いつものようにプレハブ前に集合する俺たち三人。


「おっはよーございまーすっス!」


今日も絶好調なテンションでコハルが手を振る。

俺とブタオは小さく手を上げて応えた。


「さて、牧場経営に行きますか」

「ゴブリンの魔石どうなってるかね」

「ちゃんと残ってるっス! 姉ちゃんが嘘ついてなければっスけど」


そんな会話をしながら、俺たちはダンジョンのゲートをくぐった。


じめじめとした空気をかき分け、昨日ゴブリンを処分した場所を確認する。


「……あれ?」

「おいおい……マジかよ」


そこには、ゴブリンの死体が一体も残っていなかった。


「おー! 綺麗さっぱりっスね!」

「これは感動ものだわ」


そして、床の上にはピカピカの魔石がゴロゴロと転がっていた。


「19個ちゃんとあるな」

「昨日残した死体の分と同じだな」


思わず拍手しそうになるほど、スマートなシステム。


「いやー、すごいなダンジョン……」

「これで魔石回収は楽っスね!」


ひとしきり感心したあと、俺たちはその足で檻Bへと向かう。


昨日産まれたオスゴブリンたち25匹が、いつもの極狭檻でぎゅうぎゅうに詰まっていた。


「さて、今日も殺処分からだな」

「んじゃ、コハルちゃん、お願いしていい?」

「任されたっスー!」


コハルが檻の前に立ち、ぐるりと両腕を構える。


「今日はまとめていくっスよー! 念力、フルパワーっス!」


ブオッと空気が震える。

檻の中のオスゴブリンたちが、檻をぶち破り、一斉に宙へと持ち上がった。


「ふんぬっス!!」


一呼吸のあと、ゴブリンたちが上空でガクンと硬直し──

ズドドドドドッ!!!


まるで落雷のような衝撃とともに、全員が地面に叩きつけられた。

数秒の静寂。動くものは、いない。


「……終わりっスー!」


ポーズを決めて振り返るコハル。笑顔は満開。


「……」

「いや、えぐすぎだろ……」


俺とブタオは、ただただ呆然と見つめるだけだった。


その時、コハルがビクッと体を震わせた。


「うわっ……! 今なんか、頭に声が……レベル3になったって聞こえたっス!」

「これがチートか」

「なんかずるいわ」


コハルに任せてたら俺らやることほぼないわ。

でも檻はブタオが作ってくれる。


あれ?


俺は?


何もしてなくね?


……これはまさか


……これがかの有名な不労所得というやつか!!


「じゃあ……この子たち、移動させるっスね」

「あ、はい。お願いします」


言うやいなや、コハルが手をかざすと、ゴブリンの死体25体がふわりと浮き上がる。

空中をゆっくりと滑るように移動し、大部屋の端にきれいに整列させて着地。


「完了っス! なんか……遺体安置室みたいになったっス!」

「やべぇ……どんどん便利になってく……」

「この子いなかった頃、どうやって作業してたんだっけ……」


口を揃えて、俺とブタオは感嘆する。


「じゃ、次は出産チェックっスね!」


張り切るコハルを先頭に、俺たちは檻Aへと移動した。

中では、昨日妊娠していたメスゴブリンたちが、ややぐったりとした様子で横たわっている。


その周囲に、ぽつぽつと転がる赤ちゃんゴブリンたち。


「うわ、またけっこう産まれてるな……」

「ざっと……四十近くはいそうだな」


いつもの作業なら、ここから檻の一部を解除して──取り出して──また塞いで……と作業が続く。


「ブタオ、上の一部だけ解除しないか?」

「あん? あー、そういう」


ブタオが檻Aの上部、赤ちゃん一匹がちょうど通れるくらいのサイズで開口部をつくる。

土魔法による精密な造形も、だいぶ手慣れたものだ。


「これなら、毎回元に戻さなくても済むから楽だな」

「いくっスよー!」


コハルが手をかざすと、檻の中にいた赤ちゃんゴブリンたちが、ふわりと持ち上がる。

空中にふわふわと漂う、三十体以上の小さな生命体。


「すご……」

「これ、マジで革命だろ……」


コハルは念力でひとつひとつの赤ちゃんゴブリンを回転させ、性別が確認しやすいように足をピンと広げていく。

まるで空中でベルトコンベアに乗っているかのようだ。


「はい、オス、オス、メス」

「メス一丁!」


「オス、オス、オス、オス、メス」

「メスさんご指名入りましたー!」


「オス、メス」

「大当たりー!」


俺が数えて、ブタオがふざけて、赤ちゃんたちは次々に分類されていく。


「最終的に、オス32匹、メス6匹っス!」

「よし、じゃあオスは檻Bにまとめて」

「ぶち込むっスー!」


コハルがオスの赤ちゃんたちをひとまとめにし、ブタオが新たに作った極狭檻の中へと吸い込ませるように放り込む。


「……」

「……楽だなぁ」


俺とブタオがしみじみと呟いた。

これまでの苦労が嘘のように、赤ちゃんの選別と移動が一瞬で終わったのだ。


「メスはどうするっスか?」

「そのまま檻Aに入れよう。……でも、そろそろこの檻も狭いな」

「じゃ、ちょっと拡張するわ」


ブタオが土魔法で檻Aの横を広げる。広さはおおよそ1.5倍。

これで、だいぶ余裕ができたかな。


大部屋の奥一面が檻Aになった。

そろそろ二階建ても検討するか。


「拡張、完了!」


メスの赤ちゃんたちをコハルがそっと新スペースへ運び入れた。


「これでしばらくは余裕があるな」

「次の出産ピークにも耐えられるっスね」


ゴブリン牧場はまた一歩、快適さと効率を手に入れたのだった。


大部屋の片付けを終えた俺たちは、今日の収穫をビニール袋に詰め込み、ダンジョンの出口に向かって歩き出す。


「もう仕事終わりなの最高っスね!」

「コハル先生のおかげです。ありがとうございます」

「あなたなしでは生きていけません」

「っスっス!」


今日も大きなトラブルもなく作業は順調、何より──


「魔石、19個。過去最多またまた更新だな」

「念力の力は偉大……」


ダンジョンの外に出て、ゆきちゃんの元に行く。


プレハブの扉を開けると、いつも通りスマホをいじっていたゆきがちらりとこちらを見上げた。


「おかえりー。どうだった?」

「いやぁ、今日は大漁っスよー!」

「魔石、19個です」


俺が袋を持ち上げて見せると、ゆきがゆっくり椅子から腰を上げた。


「……ふーん。あんたら、最近ほんとに調子いいね」


そう言いつつ、引き出しから札束の束を取り出す。

手慣れた動きで、千円札を数えていく。


「魔石の品質は普通だね。19個だから……19,000円ね」


ぺたり、とカウンターに並べられた19枚の札。

思わず身が引き締まる。これが俺たちの成果だ。


「すげーっス! これは夢があるっス!」


コハルが子どものようにはしゃぎながら、お札を両手ですくい上げる。


「じゃ、3等分で」

「6,000円、6,000円、7,000円……」

「端数はじゃんけんで決めよっス!」


結局、7,000円はコハルの手に収まった。


「へっへー! やったっス! でもいいんスか? 自分、入ったばっかりなのに……」

「いや、コハル先生が勝つべくして勝ったんだと思います」

「これからもよろしくっス!」

「あざっス!」


コハルが深々と頭を下げた後、勢いよく顔を上げる。


「明日もガンガン働くっスよー!」

「明日は30匹超えだから1人1万確定だな」

「もう普通の仕事に戻れません」

「これは探索者が人気なのもわかるっス!」


いや、他の探索者は命を賭けてダンジョンを進んでいる。

こんなに楽なのは俺たちだけだろう。


他の探索者にバレたら俺も入れろと群がるのは目に見えてる。

絶対にバレないようこれからも気をつけていこう。



現在のゴブリン牧場の状況(70匹)

⸻⸻⸻⸻⸻⸻⸻⸻

・檻A(ゴブタロウ、メス37匹(赤ちゃん6匹))

・檻B(オス32匹)

・ゴブリンの死体(25匹)

⸻⸻⸻⸻⸻⸻⸻⸻



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