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借金持ちの俺、ゴブリン牧場で大金を稼ぎます  作者: といとい


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23/98

第23話: 新人さん、明日来るってよ

「おー、ボン! 乗ってけー!」


今日もブタオの軽バンが、俺のアパート前でガタガタと音を立てて止まった。


助手席に乗り込むと、エアコンのぬるい風がもわっと顔に当たる。


「……なあ、ブタオ」

「うん?」

「昨日のゆきちゃんのアレ、どうするよ」

「新人の面倒見てってやつ?」

「そう、それ。それさ……ヤバくね?」


俺たちの牧場は完全に違法スレスレ──

いや、魔物を育てちゃいけないって明文化された法律があるわけじゃない。けど、モラル的にどうなんだって話ではある。


「どうする? “あそこは毒ガス地帯”って言って近づけさせないとか?」

「いや、それ俺たちが出入りしてるのに? 怪しさMAXじゃん」

「じゃあ、俺ら研究者ってことで、ゴブリンの観察してますっていうのは?」

「そっちは現実味あるかもな。白衣でも羽織るか?」

「見た目から入るな」


二人して眉間にしわを寄せながらも、表情はどこか楽しそうだ。


「今日中に対応プラン仕上げとこうぜ」

「OK。今日はリハーサル回にしよう」

「絶対に牧場は見せられない。俺たちの生活がかかってる」


軽バンはいつもの道を走り、青梅方面へと向かっていく。

今まではゴブリンとの戦いだった。

だが、これからは新人探索者との──情報戦だ。


⸻


「おっはよーございまーす!」


ブタオの元気な挨拶とともにプレハブのドアを開ける。

カウンターの向こうでは、いつものようにゆきがスマホをいじっていた。


「おはよー」


顔を上げたゆきが、いつもより一拍早くこちらを見た。


「明日だからね、例の新人。よろしくね」

「お任せください!」


ブタオが即答。ちょっと早すぎるくらいのテンションだ。


「今日はそのリハーサルです。案内プランをチェックしてきます」

「ふーん。真面目だねぇ。適当でいいのに」


ゆきの口調は軽いけど、どこか嬉しそうだった。


「新人って、男なんですか?」

「女。ちょっとポンコツだけど、やる気はある子だよ」


──女!?


女性の青梅ダンジョン探索は推奨されてないはずだが


「え、それ大丈夫なんですか? 結構危ないですよね」

「だいじょーぶ。ネジが二、三本飛んでるから」


それ、逆に心配なんですが


「ちなみにどんな知り合いなんです?」

「私の妹」

「えええ!? ゆきたその!? 血縁!?」

「このダンジョンに来るの、あんたらしかいないから。他に任せる相手もいない」


消去法で選ばれた案内役──それが俺たち。


「じゃ、今日も行ってきます」

「はいはい、がんばってー」


ゆるい見送りを受けて、俺たちはダンジョンへと向かった。


⸻


15分ほど通路を歩き、湿った空気の中を進むと、今日も俺たちのゴブリン牧場がある大部屋に到着。


「はい、今日も殺処分から始めまーす」


昨日赤ちゃんだったオス11匹は、すっかり成体化していた。

処分の手際は抜群。ナイフ一本で11匹を順々に処理していく。


「魔石11個ゲットォ!」

「日給5500円……これ、普通に生活できるよな」


コンビニ袋に魔石を詰め、次はメインの檻Aへ。


──メス15匹の出産。檻の中は、地獄絵図みたいに赤ちゃんで溢れていた。


「うわあ……これ、軽く20匹いってない?」

「三つ子いたな絶対」


物干し竿コンビで一体ずつ引き出し、性別確認をしていく。


……結果、オス17匹、メス3匹。


「メス3匹きたーーー!!」

「20分の3! 地味だけど嬉しい!」

「これでメスが22匹……ちょっと作業が大変になってきたな」


赤ちゃんオスたちは小型土檻へ。メス3匹は檻Aに戻しす。

飼育スキルでメスの状態をチェックすると、全員妊娠中。


ゴブタロウ、お前に限界はないのかい?


そして、明日の準備へ。


「さて、そろそろ新人対策だな」

「入り口を土で塞げるか?」

「任せろ」


ブタオが土魔法で入り口を封鎖。見た目は完全にただの土壁。


「おお、完璧じゃん」

「こりゃ誰も気づかん」


そのあと、俺たちは即席の対策会議を始めた。


「最初は通路案内だけ。大部屋には絶対に近づけない」

「あっちは魔物の繁殖地って言おう」

「嘘じゃないからな」


「戦闘に関しては? 妹ちゃん、スキル持ってるのかな」

「知らん。でも戦わせて、俺らは後ろでオタ芸な」

「推し活かよ」


いくつかのシナリオを確認したところで、今日の作業は終了。


「明日を乗り切れば、また平穏な牧場生活だ」

「守ろう、俺たちのユートピア」


ダンジョンを後にし、管理所でゆきに魔石を提出。


「はい、11個ねー」

「ありがとうございます! 渋沢さん初めましてです!」


日給1万オーバー──ついにここまで来た。


だが、明日。

たったひとりの新人のせいで、その全てが崩れ去るかもしれない。


絶対にバレてはならない。


いざ、運命の明日へ。



現在のゴブリン牧場の状況(40匹)

⸻⸻⸻⸻⸻⸻⸻⸻

・檻A(ゴブタロウ、メス22匹(赤ちゃん3匹))

・檻B(オス17匹)

⸻⸻⸻⸻⸻⸻⸻⸻


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