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借金持ちの俺、ゴブリン牧場で大金を稼ぎます  作者: といとい


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第20話: ゴブリンさん、地下二階って知ってます?

「おっはよーございまーす!」


いつものようにブタオの軽バンがアパート前に停まり、

元気すぎる挨拶とともに今日も出勤が始まる。


「はいはい、今日も殺処分日和だな」

「殺処分って言い方やめて! もっと優しく魔石回収って言お?」


車に揺られて20分。

見慣れたプレハブの【青梅ダンジョンゲート管理所】に到着する。

受付嬢ゆきは、変わらずスマホをいじっていた。


「……」

「おはようございます、ゆきちゃん」

「今日は晴れやかにいきましょう! ゆきたそ!」

「……はいはい、行きなー」


心なしか最近、反応が一言多い。

“デレ期”が来ているのかもしれない(気のせい)。


ダンジョンに入り、15分ほど歩いて大部屋に到着。


まずは檻Bの処理から。

昨日成体になったオスゴブリン七匹を、ナイフ業務で処理。


「ん〜〜、この狭さが最高よね」

「動けない・刺しやすい・逃げられない! 三拍子揃ってる!」

「さすがにレベルアップはしないか」

「昨日の今日だしな」


テンポよく解体を終え、魔石を7個ゲット。

回収は慣れた手つきで行われ、あっという間にリュックに収まった。


「さて、出産チェックだな!」


檻Aを覗くと、そこには──


「わっ、また多いな……!」


赤ちゃんゴブリンが10匹、床に転がっていた。


「うわ、これは時間かかるぞ〜」


物干し竿コンビで丁寧に取り出し、性別確認を始める。


1匹目……オス

2匹目……オス

3……オス

4……オス

5……オス

6……オス

7……オス

8……オス

9……メス!!


「よっしゃあああああ!!」


10……メス!!!


「うおおおおお!!!」


ハイタッチ音、炸裂。

二匹同時に増えて、テンション爆上がり。


昨日の三匹に比べたらインパクトはないが、それでも十分である。

五日もあれば十匹はかたいな。


「これでメス十二匹……牧場経営、軌道に乗ってるよな」

「そろそろゴブリン牧場株式会社名乗れるんじゃね?」


笑いながら赤ちゃんオス十二匹を新しい小型檻に収容。

今日の通常業務はこれにて完了。


──が。


「なあ、ボン」

「ん?」

「俺たち、レベル2になってんだぜ?」

「……」

「ちょっとだけ、行ってみね?」


ブタオが何を言ってるかわかった。

地下二階への挑戦である。


地下二階への階段はこの大部屋から出て五分ほど歩いたところにある。

以前メス探しをしている時に見つけていたのだ。


ダンジョンを攻略していくことに興味がなかったのでスルーしていたが、レベルアップした今のなっては考えが変わる。

体の調子がいいこともあって、すんなり地下二階へ行くことが決まった。


地下へと続く階段は、いつも通っている通路の脇に、ひっそりと存在していた。


「……誰も通ってねぇな」

「ここの存在、忘れられてる説あるな」


階段の先からは、冷たい風のようなものが微かに吹き上がってくる。

空気が重たい。明らかに、今までの一階層とは違う空間。


「……ちょっとだけ、な。ホント、ちょっとだけ見るだけ」

「先っちょだけみたいに言わないで?」

「とりあえずちょっと散歩するくらいで!」


俺たちは恐る恐る階段を下り始めた。


地下二階の通路は──正直一階と変わらん。

何が違うのか教えて欲しい。


と、強がりは行ってみるが正直緊張する。

探索者が一番死亡率が高いのが二階層なのだ。


調子に乗った側から死んでいくというね。

あれ、これ俺たちのことかな?


数分進んだ先、通路がカーブする地点で──


「……止まれ」


俺が手を横に出して、ブタオを制止した。


カーブの先に、動く影が見えたのだ。


──それは、ゴブリンだった。


「……いるな」


「うん。こっちに気づいてないみたいだが……」


次の瞬間、ゴブリンもこちらに気づいた。


バチッと目が合った。


動きが止まる。


ブタオも、俺も、息を呑んだ。


ゴブリンも驚いていた。


ぎょろりとした目を見開き、全身を硬直させている。

ずっと人間を見てなかったんだろうな。びっくりしてますわ。


視線を下ろす。


ゴブリンの手には、ボロい剣が握られていた。

長さ、1メートルはあるだろう。


「……」

「……」

「……」


顔を見合わせ、同時に全力で方向転換。


「……いやいやいやいや! あれは無理!リーチやばいって」

「槍で刺せよ、お前の出番だろ!」

「ばかやろー!! 剣持ちに突っ込めるか! 剣だぞ!? 殺意が違うだろ!?」

「お前の方がリーチ長いだろうが!」

「無理無理無理無理!! 普通に怖いわ!」

「ギャ!」


背後から足音がついてくる。


だが──やけに遅い。


「なんか、遅くね?」

「剣、重いんじゃね? あいつ慣れてないんだよ、たぶん」

「アホだな」

「ゴブリンの体格で剣は厳しいんだな」


階段を駆け上がり、俺たちは一階層に戻った。

膝に手をついて、肩で息をしながら──俺は言った。


「うーん……2階層には、行かない……」

「……うん。牧場で生きていこう」


安全第一!

冒険なんてしなくていいや!




現在のゴブリン牧場の状況(二十匹)

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・檻A(ゴブタロウ、メス十二匹(赤ちゃん二匹))

・檻B(オス八匹)

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