↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
借金持ちの俺、ゴブリン牧場で大金を稼ぎます  作者: といとい


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/101

第11話: ゴブリンさんのメス捕獲


「はぁ……疲れたな」

「俺もう、足がガクガクだわ……」

「ていうか腹減った。コンビニおにぎりじゃ足りねぇ……」

「てかもうダンジョンの空気で汗が塩吹いてきてる。これ塩分補給だな」

「ポカリ飲みてぇ……」


くだらない会話でも、こうやって笑ってると、

ちょっとだけ、疲れが和らぐ気がする。


ダンジョンの空気は相変わらず湿っていて、じっとりと肌にまとわりついてくる。

2匹目のゴブリンを倒してから、俺とブタオはしばらく通路に座り込んでいた。


「オス2連続って……どんだけ確率低いんだよ」

「あと何回やればいいんだろな……」


言いながらも、俺たちは立ち上がった。

(出現率10%。単純計算ならあと8回)

それでも今日中に終わらせてやる。金も、体力も、もうギリギリだ。


「行くぞ、ブタオ」

「おう」


俺たちは無言で通路を進んでいく。


そのときだった。


「──二体いる」

前方、通路の先に見えたのは、ぴょこぴょこと揺れる二つの影。


「ゴブリン……2体か?」


ブタオが小声で問いかける。

そのうちの1体は、前に出てこちらに威嚇するように叫んでいるが──

もう1体は、少し後ろ。やけに静かに、そして守られるような位置に立っていた。


「……あれ、守ってる?」


俺は思わず口にしていた。


「もしかして……」


この妙な位置関係──明らかに後ろの個体を庇っている。

前衛のゴブリンは威勢がいいが、後衛は一切動かず、ただじっとしている。


「──いくぞ!」


俺たちは作戦Bを発動。

ブタオの土魔法で足場を崩し、俺がスプレー&ライターでけん制、そこにバットを叩き込む。


「うおおおお!」

「どりゃああああ!」


オスと思われる前衛ゴブリンを、苦戦しながらもなんとか仕留めた。

荒く息をつきながら、俺はバットを構え直し、後衛へと向かう。


(……逃げない)


逃げる様子もない。

ただ、びくりと肩を震わせたその個体は、小柄で、どこか儚げに見えた。


(これは……!)


俺は一気に距離を詰め、バットの柄で後頭部をコツンと一撃。


──バタン。


倒れた。


「よし、捕獲完了!」


ブタオが駆け寄ってくる。

お互い無言のまま、顔を見合わせてうなずく。


「……恒例の確認、やるぞ」


俺は腰布をめくる。

祈るように手を組むブタオ。


「……っ!」


「メスだ!!」


一瞬、現実を疑った。

何度も確認する。ぶら下がってない。間違いなく、メス。


「よっしゃああああ!!」


ブタオの声が洞窟内に響く。

思わず二人で飛び跳ねた。


思わず二人でハイタッチ。

テンションが爆発する。大の男二人が、ダンジョンの中で飛び跳ねていた。


「マジで、これで牧場が始まる……!」


俺は嬉しさを噛みしめながら、ゴブリンを抱えて大部屋の檻へ戻った。


「さて……食うか?」


檻の前に立ち、俺はチョコを1個取り出して、包みを剥いた。

慎重に床へ転がすと、ゴブリン──メス個体はじっと見つめて動かない。


「やっぱ、最初は食わねぇか」


「……見せるか、また」


俺とブタオは例によってチョコを自分の口に放り込み、

「うまい」「最高」とアピールを始める。


──パク。


小さく音を立てて、ゴブリンがチョコを口にした瞬間、

俺の脳裏に、あの機械的な声が響いた。


--------------------------------------------


【スキル『飼育』が発動しました】

【対象:ゴブリン♀】

【効果:成長促進】【妊娠状態:進行率50%】

【出産予測:12時間後(促進中)】


--------------------------------------------


「……は?」


俺は硬直した。


(妊娠……進行率50%……!?)


「おい、どうした、ボン」

「妊娠してた」

「……は?」

「すでに、できてた。妊娠進行率50%って表示されたわ。」

「そこまでわかるのすげぇな」

「飼育スキルで妊娠が促進して12時間後に産まれるっぽい」

「はや!」


ブタオが呆けた顔になる。


「え、あの前にいたオスと……?」

「たぶん。守ってたんだろうな、妊娠してたから」

「……あのオス、わりといいやつだったのかもな」


うーむ、リアルだ。


(あのとき倒したのが……父親だったのか)


……妙に、複雑な気分だった。


俺たちはダンジョンを出て、ゲート管理所に戻った。

魔石は2個。


受付嬢はスマホをいじったまま、

「またしょぼいわね」

とだけ言って千円札を2枚渡してくる。


「近いうち、びっくりさせますんで」

俺は小さくそう呟いた。


「ふーん」

受付嬢は興味なさそうに返事をする。


けど、今日ばかりは気にならなかった。

──だって、メスが手に入ったから。しかも、すでに妊娠している。


すぐにでも、子供が生まれる。


帰り道。コンビニでおにぎりを手にしたブタオが、ふとスマホを取り出した。


「……オレ、明日仕事休むわ」

「いいのかよ?」

「これ仕事してる場合じゃないわ」

「さすがです」

「やばい、ワクワクが止まらねぇ」

「激しく同意」


俺たちは笑いながらも、力強くうなずいた。


「疲れたし、この浮ついた感じで探索すると怪我しそうだから帰るか」

「ぶひ」

「明日は朝10時にまた迎えに来てくれ。出産には立ち会おうぜ。」

「出産って神秘的なものって聞いてるんだがゴブリンのは見たくねぇな」

「うるせぇ、10時だぞ」

「ぶひ」


ブタオがぶひぶひ返事してるが、こいつがこう返事してる時はテンションが上がってる時だ。

こいつも待ち遠しいんだろうな。


明日への期待を胸に、帰路についた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。