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父親を助けた

 肉体的成長はというと、八カ月頃に二本立ちし周囲を喜ばせ、十一カ月の今はよちよち歩きができている。

 ただ、これって別に早いわけではないと思う。

 つまり、肉体の成長は一般的ではないだろうか。少し早い? いや、人格に比べたら早いも何もないだろう。

 会話も、相手はマリーナだけにしているが、たまに、ついつい「うん」とか、「いやだ」とか言ってしまって大人たちを驚かせてしまう。一度、父親の前で「ちがう」とはっきり言ってしまって、ものすっごく驚かれた! それでも、天才だ、賢い、と喜ばれてその場は終わったので、失敗は失敗となっていない。

 ただ、マリーナの言うとおり、やはり魔法はまずいと俺も思う。

 よちよち歩きの俺が、火炎弾フレイムを放った、雷撃トニトルスをぶっ放した、なんておそらく大変なことになる。

 俺はともかく、マリーナが怒られてしまったら……なんてことが不安なので、彼女との言いつけを守り、『ちょっと賢い』程度で過ごしていた。

 マリーナの場合、それすらも知っているので、

「ルシアン様は本当にすばらしい! 天才です」

 とベタ褒めしてくれる。

 俺も、「マリーナ、キレイなはは、うれしい」と言ってお返ししていると、彼女が照れるからおもしろいんだ。



 - Il était appelé le Grand Mage. -



 俺は一歳の誕生日を迎えた今日、初めてお城というところに入った。

 これまで俺がいたところ――大きな建物の一室で、庭もあった場所は、お城に隣接する居住館という建物だとマリーナが教えてくれた。

 お城……主塔をメインとした建築物の一階には大広間があり、そこで俺を抱いた父上と、横で笑顔の母上を前に、大勢の大人たちが平伏している。

皇子おうじルシアーノだ。一歳となる! 皆、祝ってくれ」

 父親の声に、全員が「はー!」と大きな声をあげた。

 それから、偉そうな人たちの祝辞が続き、退屈していると俺を見つめているマリーナと目があう。

 彼女はずっと広間の端っこから、俺を見ていた。

 ふと視線を感じて、母親を見ると、彼女も俺を見てにっこりとほほ笑む。

 もうちょっと会いに来いよ、お前の子供だろうがよ。と思うのも、俺が今の自分を客観視できているからかもしれない。

 ま、偉い人はいろいろとあるんでしょうね。

 お茶会に、宴会に、舞踏会に、お食事会、交流会、歌、詩、鑑賞、観賞……この世界にインスタがあったら……王様カレと豪華お食事ぃ♪ もうお腹いっぱい♡ 大好きだよ! ずっと仲良くしようね! みたいなことを動画でアップしながら、金持ち生活を送る自分を自慢しつつ、すごいと言われたいという欲望を満たしているんだろう。

 てなことを想像して暇つぶししていると、両親が立つ壇上から見て、正面前列の男が気になった。

 なんだろう?

 俺の本能が、その男は危険だと訴えてくる。

 泣いて知らせるか?

 ……あやされて終わりそう。

 喋ったらダメだもんな……マリーナを見る。

 彼女は俺と目があい、ニッコリとしてくれた……違う! 届け、この思い……ちょっと違う感じだけど、届いてくれ!

 マリーナが「ん?」という表情となり、数歩、歩み寄ったところで、その男が勢いよく床を蹴る。そして、解き放たれた獣のような勢いで、父親との距離を一気に詰めた。

「な!」

 驚く父親へと、男は隠し持っていた短剣を煌めかせて突進する。

 俺は瞬時に、火炎弾フレイムの魔法を発動した。

 余計なことを考える暇などなく、ただ自分の父親を守るために、そうした。

 一瞬で現れた火炎の渦が、襲撃者をのみこみ吹っ飛ぶ。

「きゃああああああ!」

「うわぁあああああ! 魔法だ!」

「何事だぁあ!」

「誰か!」

 大人たちが喚きながら逃げ出し、両親も兵士たちに囲まれてどこかへと移動する。

 父親は、俺を抱っこしたまま移動していたが、途中、何度も俺を見た。

 これは、ばれたな。


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